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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
161★蓬莱家の男性とボルゾイの名前
しおりを挟む嘆く桜の言葉を聞きながら、和輝は考える。
深夜兄ぃ様?
何番目の人か知らないけれど
兄弟でボルゾイを飼っている
ってコトか
この家に、本当は何頭の
ボルゾイが居るんだ?
いや、それはともかくとして
桜が気軽に連れて歩ける犬か?
そりゃーすげぇー温和な犬だな
甘えん坊でおとなしい性格と
賢く温和なボルゾイ同士の
間に生まれたねぇ………
思わず2頭を交互に見ながら、和輝は首を傾げつつ言う。
「いや、それって育て方
いぜんだと思うぞ、桜
見るからに、まだ、こいつら
遊びたい盛りじゃねーのか?
年、若いだろう?
犬種にもよるだろうけどさ
大型犬って何かで成長が遅い
って、聞いたコトあるし……
両親の性格もさることながら
育った環境も、性格に影響する
だろうしなぁ………
まっ…桜や白夜さんが甘やかした
コトも原因のひとつだろうけど
ここが、それだけ自分達にとって
安心出来る環境ってコトだろうし
ところで、その深夜さんて人は
何番目の兄貴になるんだ?
白夜さんにとって、兄貴なのか?
それとも、弟なのか?
あと、その温和で賢いボルゾイの
名前はなんて言うんだ?
教えてくれ………
どの人が誰で、飼い犬がどれかだか
判らなくならないようにさ」
和輝の言葉に、桜はコクッと頷いて答える。
「ああ、そうだな
深夜兄ぃ様は、3番目よ
白夜兄ぃ様は、4番目なの
ちなみに、紅夜は6番目よ
深夜兄ぃ様と、たった1週間
違いの差で、2番目になった
のが、藤夜(とうや)兄ぃ様
でも、深夜兄ぃ様の方が早く
見付かったからねぇ………
藤夜兄ぃ様に、よくお前の方が
弟だって言っていたのよ」
そう言ってから、桜はフッと口を閉ざす。
姉である桃の急死と、2番目の兄である藤夜を襲った、仕組まれた交通事故のコトを思い出してしまうが、桜は勇気を振り絞って、和輝に明るく言う。
「そうそう、 深夜兄ぃ様の犬は
〈ライト〉というのよ」
……ぅん? なんか、今……
微妙な間があったな……
何かあったな?
まっ……今は聞かないでおこう
何時か、桜が話す気になった時
その理由を教えてくれるだろう
それにしても、今まで聞いた
蓬莱家の当主・白夜さんの
兄弟って夜の字が付く名前
ばかりだよなぁ…………
いやそれよりボルゾイの名前も
面白いよなぁ………
〈カオス〉に〈ライト〉かぁ……
混沌に対して光明ってところかな?
いったい、どんな色合いの
ボルゾイなんだろう?
「ふ~ん…〈ライト〉か……
なぁ…桜…そのボルゾイの
写真はねぇーのか?
一応、予備知識として欲しいな
この2頭の両親なんだから
やっぱりこいつらと同じ
金色がかった茶色と白色の
姿をしているのか?」
和輝からの質問に、桜はニチャッとチャシャ猫笑いをする。
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