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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

158★和輝は、古武術のお師匠様を思い出す

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 「ふ~ん、真族ねぇ~………
  長命で治癒力に長けている…か

  う~ん…そういう種族の存在
  今まで聞いたコトねぇーけど

  まっ…そういう人達が居ても
  全然おかしくはないけどな

  なんと言っても、この日本は
  八百比丘尼や、浦島太郎っていう
  おかしな民話がゴロゴロしている
  自然崇拝の国だからな」

 いや、マジで…技術や知識
 生活様式なんかは先進国なのに
 宗教感が緩くて寛容だし
 どこよりも柔軟な民族だから

 多少の種族的違和感があっても
 柔軟に受け入れる素養があるから

 そういう種族が、流れ流れて来て
 住み着いたとしてもおかしくない

 などと思いつつ、深く考えずにそう言う和輝に、桜は自分が多大な失言をしたコトに気付かずに、小首を愛らしく傾げて言う。

 「それが何か関係あるの?」

 桜からの問いに、和輝は自分の古武術の師匠の特殊な能力を思い出しながら言う。

 あぁ…そう言えば……
 あの人と随分と会ってないな

 今どうしているかなぁ?
 変幻自在のお師匠様は?

 「あのな、桜

  民話や伝承なんてモンは
  大半が虚言や空想や妄想で
  出来上がっているんだ

  ただし、たいがいにおいて
  その一部は真実だったりする

  治癒能力や長命なんてモンは
  結構、その辺にコロコロと
  転がっているモンだぞ

  事実、俺が教えてもらった
  古武道のお師匠さんなんて
  幾つだか全然判らない人だった

  その気になれば、20歳前から
  100歳をとうに過ぎた姿にまで
  化ける人だったからな」

 和輝の言葉に、それを聞いていた桜は、思わず呟いてしまう。

 「化けモン」

 桜の一言に重々しく頷きながら、和輝は言葉を続ける。

 「そう、立派な化けモンだろ
  化生っていうのはさぁ

  ああいう不思議な人を指して
  言うんだろうなぁ………

  とにかく、そういう人から
  俺は、特殊な古武術を
  習ったわけだ

  だから、多少、桜が異変を
  起こしたくらいじゃ驚かないぜ

  事実、俺はお前のそれに
  驚かなかっただろう

  そういう身体的な変化を
  見慣れているからさ

  俺のお師匠さんなんて
  瞳の色くらい自由自在
  に変化させるからな

  気分しだいで
  七色に変化する瞳にだって
  出来たくらいだからな

  俺は、ある日突然見知らぬ人に

  『よう、しばらくぶりだな』

  って、声をかけられたら
  まず間違いなく
  俺の古武術のお師匠さんだと
  思っている

  なんせ、変幻自在の人だからな」

 桜は和輝の言葉に、両目を真ん丸にする。

 「変幻自在?」

 「ああ…だから、桜も
  心身を制御するコトを
  覚えると便利だぞ

  ……ってコトは………」

 そう言ってから、和輝はハタッとあるコトに気付く。

 って…までよ…そうすると…
 桜ってば、環境の変化や
 自分に向けられる人の悪意とか

 そういうモノに、えらく弱いって
 コトになるんじゃないか?

 真族っていう種族は
 たぶんにか弱すぎて
 身を守る為に変異したか……

 また、一族で生活していた
 場所が生きるのに過酷過ぎて
 その環境に適応する為に
 変異したかのどちらかたろうな

 桜は、間違いなく弱い方だな
 フム…似たり寄ったりだから
 惹かれ合うってヤツかな?









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