お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

ブラックベリィ

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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

145★竜姫と乙姫の事情

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 「……んで、竜姫もってのは
  どうしてだ?

  乙姫1人だと、男2人に
  女の子1人になるってコトを
  心配してんのか?

  こいつらにかぎっては
  そういう心配なんて
  必要ないと思うけど」

 和輝の質問に、竜姫は憤る。

 「竜也や輝虎相手に、そんな
  心配なんてひとカケラも
  してないわよ

  そんなケダモンになるほど
  飢えて無いでしょ…どっちも

  それよりも、問題なのは
  あのアパートの大家よ

  危なそうなヤツに付き纏われた
  あげく、アパート追い出された
  乙姫を心配して、私が泊めたら

  もう1人一緒に住むのは
  契約違反だって言うのよ
  契約した時に、そんな条項なんて
  なかったのにっ

  そのうえで、来月から家賃上げる
  なんて、唐突に言うし………

  両親に連絡するから、なんて
  言われた日には、冗談じゃない
  って感じよっ」

  勢いごのんで言う竜姫の言葉に、和輝は深く溜め息を吐く。

 「死んだウチの親父や竜也の
  親父さんほどには酷くなくても
  竜姫の親父さんも問題ある人
  だもんなぁ………

  ふっ………3家族で、旅行なんて
  した日には………」

 感慨深げに、当時のコトを口にし始めた和輝の言葉を、竜也がぶった切る。

 「和輝……思い出すから…
  止めてくれないか

  それに、そんな話しをしていると
  本当に出没するよ
  噂をすれば、影ってね

  今、暇がポツポツとあるんで
  僕も困っているんだ

  父さんは、和也おじさんのコトを
  本当に好きだったからね」

 強い口調で、竜也は和輝のぼやきをさえぎる。
 三人三様に父親で苦労しているので、3人とも押し黙る。
 そんな中、唯一その家族間のおそろしい実態や過去を知らない輝虎が、自分の腕時計を見て言う。

 「うん…和輝…時間良いのか?
  妹達は、和輝の迎えが来るの
  待っているんじゃないのか?
  待たせるのは可哀想だろう」

 何時もより、少しだけ口数の多い輝虎に、竜也は頷く。

 「そうだね………優奈ちゃんと
  真奈ちゃんは?、和輝が迎えに
  来るのを首を長くして待って
  いるだろうから………

  続きは、車に乗ってからにしよう
  それじゃいこうか、和輝」

 竜也に促された和輝は、ひとつだけ溜め息を吐いて頷く。

 「ああ…んじゃ…竜姫も乙姫も
  ウチに来るんだな
  で…どうする?

  一緒に車に乗って行くか?
  小学校で降ろすコトになるけど」

 どうするんだ?と、和輝に話しを振られた竜姫が答える。

 「勿論、乗って行くわよ」

 「オーケー…そんじゃ…
  輝虎が、助手席な
  竜也達3人は、後ろの座席に
  座ってくれ……」

 その言葉に、コクコクしながら、4人は和輝と一緒に駐車場へと向かう。
 先を歩く和輝のあとを付いて歩きながら、竜也はごねるだろう優奈と真奈をどうやって宥めようかと思案していた。













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