お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

第３章 蓬莱家で住み込みのお仕事

141★和輝が雇われた理由

　「了解…幸い、輝虎君も
　　一緒に住んでくれるという
　　話しだしね

　　って、これが新しいバイト先の
　　仕事とどう関係があるんだい？」

　竜也からの質問に、和輝はニッと笑って言う。

　「だから、新しいバイトがコレさ」

　「？　コレ？　って…なんだい？
　　お犬様のエサ用…っていうコトは

　　もしかして、お犬様のお世話係り
　　ってコトかい？」

　竜也からの答えに、和輝は頷く。

　「お犬様のお世話係りって………
　　竜也…ちょっとどころじゃなく
　　古臭いぞ、それ

　　せめて、ペットシッターって
　　言ってくれよ
　　今は、そういう業種の職業も
　　あるんだからさ　

　　まぁー…でも、そういうコトだ
　　それも、ちょー面倒くさい犬の
　　ペットシッターなんだ

　　ん～……そうだなぁ～…竜也

　　『蓬莱ですけど
　　ペットシッターを
　　お願いしたいんですが』

　　って、ペットシッターの
　　派遣会社に電話してみろよ

　　そうすれば、俺みたいな一介の
　　高校生が雇われた理由が
　　よぉ～く理解（わか）るぜ」

　和輝にそう言われた竜也は、スマホでペットシッターを派遣している会社を探し、１番広告が派手で、繁盛していそうなソコにポチッとねをしてみた。
　数回のコールで、直ぐに繋がったが………。

　竜也が和輝に言われた通りの言葉を口にした途端に、最初の対応が錯覚かと思うほど限りなく冷たい対応をされた。
　そして、ブツンッと切れたスマホの画面をしばらく見詰め、竜也は和輝を振り返る。

　「えぇーとぉ…これは
　　どうなっているんだい？
　　和輝」

　竜也の怪訝そうな表情での質問に、和輝は軽く返す。

　「…ヤッ…これがさぁー
　　問題のある犬なんだなぁ

　　犬種もさることながら
　　性格に、かなりの問題が
　　あるんだな、これが

　　別のペットシッターの
　　派遣会社にかけてみるか？

　　たぶん、桜の口ぶりからして
　　反応は同じだろうけどな」

　和輝からの言葉に、竜也は首を振る。

　「いや、いいよ…これで充分に
　　理解（わか）るからね

　　それで、大丈夫なのかい？
　　そんな犬の面倒を見るなんて」

　少しだけ心配そうに言う竜也に、和輝はニッと笑う。

　「俺には、めっきりおとなしくて
　　可愛いだけの犬だぜ

　　それに、かりに言うコトを
　　聞かなくても、俺なら
　　実力行使でおとなしくさせる
　　つーコトだって出来るしな

　　実際、さっきもペットハウスに
　　食品を納入しに来た男達には
　　すっげー威嚇してたけど

　　俺のいうコトは聞いたぜ
　　テリトリーに入られたって
　　唸っていたのにな」

　その傲岸な発言に、竜也は納得顔をする。