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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
122★和輝、副担任の金田に言い返す
しおりを挟む落合の言葉に、和輝は胸ポケットに入れてある生徒手帳を出して開く。
そして、そこに入れていた免許証を、生徒手帳ごと渡す。
受け取った落合は、その免許証を確認する。
「ふーん、バイクに大型も
オーケーなのか………」
なるほどと頷く落合に、和輝は言う。
「一応、取得できるヤツは
ある程度、取ってあるぜ」
「んー…そうか
んで、車の使用目的は?」
落合は駐車場使用の為の書類を出して、無造作に書き込んで行く。
それを副担任の金田は歯軋りしながら、喉の奥でグルルとうなりつつ、側に居る。
担任の落合が甘い為に、ソレを追及しないなら、副担任の自分が注意しなくてはという、勝手な思い込みの正義感から、まだ、その場に居座っているのだ。
そう、現在の金田は、和輝に口撃…もとい、攻撃材料になる落ち度を探しているのだ。
が、和輝も落合も、ソレを完璧に無視する。
絡まれるのは面倒だと、居ない者扱いなのだ。
「バイト先の都合
短ければ、2週間程度で
必要なくなるかも
しれねぇーけど………
伸びる可能性もあるし
一応、駐車場を確保して
おいた方が良いかと思って……
今、バイト先からの依頼で
妹達ごと住み込みしてんだ
その為の小学校の送り迎いに
車が必要でさぁ………
1度は断ったんだけど
どうしてもって頼まれて
当主が屋敷に帰って来るまで
って契約で、住み込みなんだ」
そういう和輝に、完全無視された金田は、怒って再び吠える。
「神咲ぃー…誰が、学校に
車で乗り付けて良いと言った
学生の分際で………」
耳元で喚かれた和輝は、あまりの鬱陶しさに言い返す。
「必要だから、わざわざ
ここに来てんだろーが
いちいち耳元で喚くな
みっともない
俺は苦学生なんだぜっ
親父が死んじまったから
俺が妹達の面倒を
みているんだよ
俺がみなくて、誰がみて
くれるって言うんだ
それでなくても、最近
小学生を狙った変質者が
登下校時に出没してて
気がたってんのによぉ
ったく、コレだから………
自分の行動が常に正しいとか
思っている、熱血馬鹿は
嫌いなんだよっ」
そんな和輝に、金田は更に和輝の気分を害するコトを言う。
「お前のように
素行の悪いガキに
妹の面倒などみれるかっ
しかるべき公共機関の
福祉施設にでも預けるのが
1番安全だろうが
その妹達だって
お前のような未成年に
守られるよりも
よっぽど安全だろうが」
言い合う副担任の金田と和輝に、落合はどう口を挟もうかと悩んだ。
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