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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

099★和輝の儚い希望と現実

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 「そういう意味じゃ
  興味無いな

  立派にお嬢様で意味不明な
  桜に付き合う勇気なんて
  俺は持ってないんでな

  悪いけど、俺には仕事が
  あるから………

  このまま、桜はあんたに
  引き継いでもらって良いよな

  その…どうやってやるか
  知らないけど、桜に《気》を
  供給してやってくれ

  ああ…そうそう、紅夜は
  朝食どうする?」

 和輝のあまりにもつれない反応に、不服は覚えるものの、紅夜はそのごく自然な言動に興味を持った。

 ふ~ん、和輝にとって
 桜に《気》を供給するのは
 既に当然のコトみたいだな

 こいつは、どこまで俺達の
 コトが理解(わか)ってるんだ?

 どこまでなら、許容できる?

 そんなコトを考えながら、紅夜はペロッと唇を舐めて答える。

 「ここで、桜と一緒に食べるぜ
  どんな料理がでるか楽しみだ」

 紅夜からの予想通りの答えに、和輝は肩を竦めて、ベッドから降り立ち、ベッド下へと落とされている、脱がされた下着やパジャマを無造作に着込む。

 ああ…あとで借りた…この
 パジャマ洗っておかないとな

 ふぅ~下着は買って返そう

 いくら洗濯したからって
 1度着用したモンを
 返す気にはなれないぜ

 ん~…昨日洗濯したジャージ
 まだ、乾燥してないよなぁ?
 たぶん………

 いったん、あっちの家に戻って
 着替えないと、散歩もできねーや

 ところで、紅夜って何時まで
 桜の側に居てくれるんだ?

 今の桜の状態を考えると
 出来るだけ、紅夜には
 長く居て欲しいんだけどな

 「んで、紅夜
  あんた何時まで居られるんだ?
  ずっと居られるのか?」

 そう、出来れば
 この屋敷にずっと居て
 桜の面倒を見て欲しいな

 俺は〈レイ〉と〈サラ〉の為に
 雇われた、ペットシッター
 なんだからさ

 それも、なんちゃってで
 犬のプロじゃねーし

 桜の面倒までみるのは
 バイト外の仕事だと思うし

 でも、そんなコト言ったら
 あの爺やさんや紅夜に………

 『気になるんだったら
  家政婦しますか(するか)?』

 って、言われそうだもんな

 和輝としては切実な問題なので、紅夜が屋敷に帰って来て、桜と暮らしてくれるコトを切に願うが、やはり現実は厳しいモノだった。

 「残念だけど、明日には
  ハリウ○ドなんだ

  その後は、どこだっけかな?
  まぁ…結構、撮影の都合に
  振り回されるから………

  何時、何処に、居るとは
  言い切れないんだ」

 その紅夜の答えに、和輝はガックリする。

 この蓬莱家の当主・白夜さんは
 何時帰って来るんだろう?
 はぁ~……俺の神経持つかな?

 桜の体調異変が落ち着けば
 こんな煩わしいコトも
 治まるのかな?

 はっきりと、現状に疲れを覚える和輝に、紅夜は更なる追い討ちを掛ける。

 「和輝……桜に手軽に《気》を
  供給する方法教えてやろうか

  ちょー簡単で、とぉ~っても
  楽しい方法だぞ」









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