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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

094★悪あがきとは理解(わか)っていても………

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 「桜が入っただけの湯船だし
  どうってことねーしな」

 ふぅ~…つい2日前にも
 優奈と真奈に乱入されたしなぁ

 そう言えば、桜って実際の
 年齢って幾つだ?

 あの優奈や真奈並に、羞恥心の
 無さってお嬢様だからか?

 優奈や真奈は、小さい時から
 俺が面倒見ていたんで
 兄妹だから理由付くけど

 まぁ…恋人がハリウ○ドの
 俳優してるセイもあるかも
 だけど…流石に………

 っと、考えるの止めよう
 俺には、そういう意味で
 桜を見るコトはないからな

 軽く身体を洗い汗を流した和輝は、なんのためらいもなく、湯船に入って肩までしっかりと浸かる。
 ほぉ~……っと吐息を零れ落とした和輝は、内心で思ったコトを口にしてみる。

 「そういえば、桜って幾つ
  なんだろう?

  身体的な見掛けだけなら
  優奈や真奈とさほど変わらない
  ように見えたけど………

  あれで、成人した恋人が
  居るんだから………

  まず間違いなく、妹達よりは
  確実に年上だよなぁ?

  でも、まさか俺と同い年とか
  年上ってコトはねぇーよなぁ?

  いや、まて、あの時学校がとか
  言ってなかったか?
  あとで、それとなく聞いてみよう」

 見当違いだったら不味いからな
 そういうコトに関しては
 女の子って煩いもんな

 ゆっくりと暖まった和輝は、湯船からザバッと上がり、その足で脱衣所に向かう。
 バスタオルを手に取り、丁寧に水滴を拭い取り、真新しい下着とパジャマに着替える。

 ふむ…袖とズボンが少し長いかな?
 ぐらいですんだな

 白夜さんて、俺より大きいけど
 そこまで、身長がある人では
 なさそうだな……

 でも、勝手に借りて良かったのか?
 ちょっと、そこが疑問だけど
 しょーがねーよな

 あの桜の様子じゃぁ
 何を言っても無駄そうだしな

 そんなコトを考えながら、和輝は洗濯乾燥機の周辺を見回す。
 そしてすぐに、側面に設置された、風呂の水を吸水する装置を見つける。
 が、それを手にとって判ったのは、設置はされているが、使われたコトが無いというコトだった。
 ようするに、用意はされているが、しようしたコトが無いのだ。

 「まっ…いっか………
  とりあえず、湯船から
  風呂水を引っ張って
  洗濯機のセットしよう」

 そう肩を落として呟いた和輝は、側に液体洗剤のボトルを発見し、ソレも未使用であるコトに気付き、脱力してしまう。

 マジで、もしかして
 1度も使ったコト無いのか?
 いや、流石にそんなコトねーよな

 きっと新しいモノに買い換えた
 ばかりなんだろう

 そう無理矢理判断した和輝は、とりあえず、吸水装置をセットして、まとめられた長い吸水ホースを引き伸ばして、まだ充分に暖かい湯船の水を洗濯機へと引き込みセットする。
 スイッチを押して、水量が必要な高さまで来たのを確認し、和輝は吸水装置を停止する。

 「よし、洗濯だけ風呂水を
  使えれば充分だ

  あまり資源の無駄にはしたく
  ないからな

  残りの湯は明日、庭の植木に
  でも撒いてやろう」

 吸水装置を元の場所へと設置しなおし、和輝は未開封の液体洗剤のボトルを手に取り、フタを開けて中栓を外し、定められた量を投入して、ピッピッと設定のスイッチを押す。
 ちなみに、柔軟剤も未開封であったので、それも定められた量を所定の場所に投入していたのは言うまでも無い。

 よし、これで、明日の
 朝には乾燥しているはず

 さーて、桜がベッドで待っている
 だろうから、寝室へと行くか………
 っと、その前にリビングの電源
 切ったか確認しておこう

 我ながら、無駄な足掻きって
 思うけど……はぁ………

 内心で大きな溜め息を吐いた和輝は、とりあえずリビングとキッチンの電源を落としてあるかを確認する為に、リビングへと向かった。











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