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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

089★和輝折れる、桜勝利

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 ああ…そうか………
 桜の恋人の職業って
 俳優だったっけ

 それもハリウ○ド映画に
 出演しているような

 じゃくなて、マジで困ったぞ

 「あのなぁ…桜……
  お前が気にしなくても
  紅夜さんだっけ…は
  気にすると思うぞ、流石に

  好きな女が他の男と
  一緒に居るの………」

 そう、困惑顔で、もう一度言ってみるが………。

 「桜の大変な時に
  側に居ない方が悪いっ

  こんなに桜が寂しいと
  思っているのにぃ~

  怖くて眠れないのに
  側に居てくれない者に

  桜のコトをとやかく言う
  権利なんて無いっ

  和輝が紅夜のコトを
  気にする必要など無いわ

  それよりも、桜は和輝に
  側に居て欲しいのよぉ

  目が覚めて、誰も側に
  居ないのは怖かったから

  今は…ひとりになるコトも
  耐えられないのよぉ………

  桜をひとりにしないで、和輝」

 全身に走り抜ける筋肉の痙攣によって、穏やかな安眠から叩き起こされた時に感じた、言い知れない恐怖を思い出して、桜は震える。

 自分の腕に縋り付いて、恐怖に震えながら一生懸命に訴える桜に、和輝は折れるしかなかった。

 なんか、俺の腕に縋って泣く
 桜の姿が、優奈や真奈と
 ダブっちまうな

 2人に泣かれてるようで
 ダメだと言いずらいんだよなぁ
 
 うぅ~……俺がきちんと…
 桜の筋肉のケアーしとけば
 こんな怖い思いを、桜に
 させなかったんだよなぁ

 あうぅ~…罪悪感が……

 自分の中の罪悪感に負けた和輝は、小さく嘆息して完全に折れる。

 「ったく…しょーがねぇーなぁ
  わかったよ

  でも、今日だけだかんな」

 和輝から妥協の言葉を引き出した桜は、涙目のまま嬉しそうに顔を上げる。
 その瞳に溜まった涙に、和輝の罪悪感が刺激される。
 が、そんなコトを知らない桜は、確認するように言う。

 「本当か?」

 その不安がどこか滲む確認に、和輝は安心させるように言う。

 「ああ、また筋肉痛に
  誘発されて………

  桜の体調や意識が
  おかしくなっちまうのは
  いただけないからな

  何度もそういうコトを
  繰り返すのはなぁ………
  精神的にも、肉体的にも
  良くないしな

  変なふうに治癒能力が
  暴走したりすると
  かえって危険だからな

  体内に保有する《生気》を
  大量消失した結果

  飢餓感から身喰いしすぎて
  正気を失っちまうコトだって
  あるからな

  精神的にも、肉体的にも
  安定していないってコトで
  今回は折れてやるよ

  だから、さっさとソレを
  食べちまえよ
  ほら、生クリームが
  溶けちまうぞ
  
  それから、腕を離してくれ
  俺も、珈琲をもう1杯
  飲みたいんでな

  んで、桜はどうする?
  もう1杯分
  ミルクティーあるけど?」










  
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