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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
085★桜は甘いモノが欲しい
しおりを挟む「ぅん…こんなモンだろうな
犬に…あまり熱いのは良く
無いからな
ぬる目よりも温かいくらいで
充分だろう
桜のスープはもう少しかな?
ふむ、どうせだからミルクを
足してシチュー風に仕上げるか
ミルクは切れた筋肉繊維の
再生に欠かせない栄養素だし」
そう口中で呟きながらも、和輝は〈レイ〉用と〈サラ〉用のスープ皿に温めた野菜スープ入りミルクを分けて、コトッと所定位置に置く。
「食べて良いぞ
良い子だったから
クッキーも付けてろう」
そう言って、和輝はクッキーを2枚づつ分け与える。
野菜スープ入りの暖かいミルクを飲み終わった〈レイ〉と〈サラ〉は、和輝にもらった2枚のクッキーをソッと咥えて、お気に入りのソファーへと移る。
どうやら、そこで食べるのが良いらしい。
ショリショリという軽い音をたてながら、ゆっくりと2枚のクッキーを食べ終えた2頭は、ベロリンッと舌舐めずりをした。
美味しかったとうっとりしている2頭に、とりあえずケンカする心配が無いコトを確認してから、桜を浴室へと迎えに行く。
和輝は脱衣所のドアを開けながら、中へと声を掛ける。
「桜、良くあたたまったか?」
和輝からの言葉に、既に用意されたモノに着替え終わっていた桜は、素直に答える。
「ああ、もう平気ぃ~……
でも、お湯に浸かったらねぇ
エアーサロ○パスしたところ
なんかスゥースゥーして
変な感じがしたよぉ~………」
「まぁー…そうだろうな
それはエアーサロ○パスに
入っている、鎮痛成分の
セイだから気にするな……
それより、自分でリビングに
歩いてこれるか?」
和輝の問いに、いまいち自分の体調に不安の残る桜は、首を振りながら答える。
「無理だと思うから
和輝が連れて行って」
桜がそう言って、両手を伸ばせば、和輝はあっさりと応じる。
「オーケー…んじゃぁ~
さっさとリビング行って
温めたスープでも飲んで
もう一眠りだな
まだ、充分な休息をとった
というには、睡眠時間が
短すぎるからな」
そう言いながら、和輝は桜を抱き上げて、リビングへと戻り、ソファーへと降ろした。
桜をソファーへと降ろした和輝は、温めたスープをスープ皿へといれて、テーブルへと運ぶ。
「ほい、野菜ベースのスープだ
ちょうど良い温度に温めて
あるから、すぐに飲めるぞ
あぁ…スープ飲んだら桜も
クッキー食べるか?
なんなら、ドーナツも出すぞ
少しぐらいなら、今の時間に
食べても良いだろうし」
太ってしまうから~……的な言葉が当てはまらない桜は、さっさと和輝が出したスープを飲んで、スイーツを視線でねだる。
「ぅん……飲み終わったようだな
じゃあ…クッキーとドーナツな
……なんなら、疲労回復の為に
プリンでも食べるか?
砂糖と卵と牛乳が主原料で
出来ているプリンは、理論的にも
疲労回復が実証されているからな」
和輝は、冗談半分で言ったのだが、なんとなく甘いものに餓えている感覚のある桜は、もらったクッキーやドーナツには手を付けず、即答した。
「プリン…食べる……でも
何か飾ってくれ
可愛くだぞ」
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