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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
083★和輝の嗜好は?
しおりを挟む桜は、和輝の手が与えてくれる心地よさに、もうちょっと浸っていたいという思いと、お風呂で独りになりたくないという心理が働いて言う。
「うん…もう少し……
脚や腕を擦って欲しい
だいぶ良くなったけど
まだ、あちこちが引き
攣っているような気が
して、怖い
とくに腰の辺り…もっと
擦って欲しい………
そこをさすられると
ほわぁ~っと暖かくなって
すごく気持ち良いのぉ~」
腰ねぇ~…そういえば……
うち(カンザキ医院)に来る
じーちゃんばーちゃんが
腰痛で痛がっていた時に
もみ擦ってやったら喜んでたっけ
現在の桜ってばソレに近いわけか
まぁー身体を支える主要部分だから
負担がかかったセイだな
などと考えながら、桜からの依頼に、和輝はクスッと笑って快諾する。
が、流石に年頃の男子高校生とは思えない、枯れた思考をしていたが、幸いそのコトを口にすることはなかった。
「オッケー…んじゃ…もう少し
腰まわりをマッサージしたら
シャワーを浴びような
身体を寝汗で冷やすのは
良く無いからな」
そう言いながら、和輝は桜の背面、特に肩甲骨周辺と腰周辺を丁寧に揉んでやる。
その際に、血液や体液を全身に流通させる背骨を、丁寧に擦ってやっていたのは言うまでも無い。
筋肉痛の緊張から解放された桜は、和輝から横溢する《生気》に、全身を包まれる気持ち良さにうっとりとする。
桜が半分うっつりうっつりし始めた頃、和輝は声を掛ける。
「桜…着替えって何処だ?
ずいぶん、寝汗もかいた
みたいだし……
パジャマは湿っていたから
新しいモンに着替えた方が
良いぞ、絶対
ああ、勿論、下着類もな」
自分から和輝が離れてしまったコトに不服を覚えながらも、桜はゆっくりと上半身を起こし、震える指で隣りの部屋を指す。
「向こうの部屋のタンスに
着替えがある
持ってきてもらえるか?」
まだ…身体が震えている……
あれだけ、和輝に全身を
マッサージしてもらったのに
「オーケーあっちの部屋な」
そう言って、和輝は寝室から出て、通ってきた部屋へと移動し、タンスを漁る。
「この辺で良いかな?
下着にパジャマの上下
あとは、タオル類と」
着替えの一式を用意した和輝は、寝室に戻って、どこかまだぼーっとしている桜に、見せて言う。
「この辺りで良いか?」
言われて、桜は和輝が持って来たモノを確認して頷く。
「うん、大丈夫………」
頷いたのを確認し、和輝は桜を抱き上げる。
「んじゃ、風呂に入ろうな、桜
ゆったりと湯船の中で筋肉を
解きほぐすのも良いぞ
マッサージだけじゃ足りない
だろうからな」
そう言って、自分をひょいっと抱き上げて、脱衣所へと運ぶ和輝に、桜はちょっとだけ……いや、かなり、ガックリしていた。
桜って、魅力無いのかなぁ?
昼間も思ったけど………
和輝は、全然、桜を女として
見ていない気がするのだが……
下着姿どころか、全裸でも
和輝は全然反応してない
それでも、男子高校生なのか?
それとも、和輝の嗜好って
アッチなのかな?
もしそうならば、見目の良い
紅夜に反応するはず
なんと言っても、紅夜は
ハリウ○ドでも、かなり
有名なんだから………
よし、もう一度確認して
みよう
などと、桜が内心で思っているなど露知らず、そういう意味では、かなりどころではなく淡白な感覚しか持ち合わせていない和輝は、桜を抱えて浴室に続く脱衣所へと運び、室内にあった椅子へと降ろす。
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