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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
071★食料も嗜好品もペットハウスから
しおりを挟む和輝の質問に、真奈は肩を竦める。
「優奈なら、この家のリビング
のキッチンにいるよ
とても設備が良いって
喜んでいたからね」
返って来た答えに、和輝は少しだけ苦笑する。
「そっか…んじゃ、優奈呼んで
ペットハウスのリビング良くか
あっちの対面式になっている
キッチンで、さっそく夕食
作りでもすっか?
余裕があったら、お菓子作り
するのも良いしな」
料理やお菓子作りが結構得意な和輝だったが、最近はめぇーいっぱいバイトに時間をつぎ込んでいた為、手の込んだお菓子などはずっと作っていなかった。
それだけに、和輝の言葉に真奈は嬉しそうな顔をする。
「本当? 和兄ぃ~……
だったら、私は和兄ぃ特製の
シフォンケーキが食べたい」
和輝は腕に絡みつく真奈に優しく笑いかけながら、リビングへと向かう。
勿論、真奈を腕に絡みつかせたまま………。
さほど広い家ではないので、すぐにリビングに到着する。
「優奈ぁ…あっち行くぞぉ…
ペットハウスで、あいつらと
俺達の夕食つくりに行こうぜ」
そう言いながら、ひょいっと顔を出せば、優奈はキッチンの冷蔵庫の中身を確認しているところだった。
声を掛けられて振り返った優奈が、ちょっと困ったような表情で言う。
「あっ……お兄ぃちゃん
ここの冷蔵庫………
何も入ってないよ」
その杞憂に満ちた表情に、和輝はクスッと笑う。
「嗜好品だったら、あっちから
小分けして、こっちに持って
くれば良いだろ
珈琲・紅茶・緑茶・ココアとか
色々とあったぞ
そんな中から、適当にこっちで
飲む分だけ持ってくれば良いさ
ほら、行くぞ
どうせ、メシは最初からあっちで
作る予定だったんだから………」
和輝に言われて、自分が勝手に黄昏ていたコトをちょっと恥ずかしそうにしつつ、真奈が腕に縋っているのを見て、優奈も対抗心から反対側の腕に、同じように絡みつく。
父親が死んで以来、バイト三昧で、何時も寂しい思いをさせてしまっていると実感した和輝は、2人の好きにさせてやる。
一応の部屋割りも済ませたので、和輝は妹達を左右の腕に絡みつかせたまま、桜の眠っている〈レイ〉と〈サラ〉の居るペットハウスへと向かった。
ほんの5分ちょいの距離をゆったりと散歩するように歩きながら、和輝達兄妹は再びペットハウスへに戻って来た。
そして、再び三重の扉を潜り、玄関に入って、広いリビングに入ったら、2頭のボルゾイは、そこに居なかった。
「あれ? 〈レイ〉と〈サラ〉が
居ないよ? お兄ぃちゃん」
優奈の疑問に、真奈が推察で答える。
「きっと、桜ちゃんのところで
一緒に眠ってるんだよ」
「そうだな、んじゃ………
ちょっと桜と2頭の様子を
確認してくるから………
お前達は、材料を出して
洗っておいてくれ………」
和輝の言葉に、優奈も真奈も嬉しそうに頷く。
一緒にご飯作りするというコトが楽しくてしょうがないのだ。
「うん、夕飯に使いそうな材料
とりあえず、出しておくね」
「和兄ぃ…お菓子用の材料も
出した方が良い?」
真奈の言葉に、和輝は柔らかく笑いながら頷く。
「そうだな、同時進行で作れる
ヤツは一緒に作っちまおうか
食後のお茶菓子も欲しいな
デザートとは別に、何種類か
お菓子を作ろう」
和輝からの言葉に、双子は嬉しそうにはしゃぐ。
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