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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
065★みんなそれぞれお疲れさん
しおりを挟むあっ…高校が見えてきた
って、コトは、もう少しで
桜の家だな
和輝がそんなコトを考えているうちに、車はよく整備された私道に入る。
私道に入って数分で、古めかしい大きな門が現れた。
運転手が何かをしたらしく、それにあわせて、スゥーと音も無く門が左右に開く。
そして、和輝達を乗せた車は、その大きな門をすり抜けて、敷地の奥へと進む。
その背後で、自動的に開門された大きな門扉が、今度も静かに音も無く閉じて行くのを、和輝はミラー越しに見た。
へぇ~…門に自動開閉装置が
付いているんだ
これだと、この車に何らかの
遠隔操作用の装置が取り付け
られているのかな?
ソレに反応するように
作られているのかな?
確かに、いちいち車から降りて
門の開閉するのは手間だもんな
ここの車を借りるんだから
あとで、それもきちんと
教えてもらわないとな
和輝がそういうコトを考えているうちに、スゥーと車が停車する。
〈レイ〉と〈サラ〉が暮らす、まさにお犬様的な、犬専用の平屋の前に着いたのだ。
車が完全に停止すると、船をこいでいた蓬莱家の爺やがパチッと双眸を開く。
眼光も素晴らしい、意志のしっかりした双眸が、和輝を見詰める。
その双眸が、和輝に桜を抱き上げるコトを、無言のうちに要請する。
爺やの視線に含まれるモノを的確に読み取った和輝は、自分に寄りかかり、気持ち良さそうに眠る桜を、しょうがなく抱き上げる。
どぉ~して、自分で……
ってーのは、年寄りには
無理だとしても………
せっかくボディーガードが
いるのに、なんで俺に桜を
抱き上げさせるかなぁ?
もしかして、何か桜を
抱き上げられないような
問題があるのか?
もしもだけど、みんながみんな
桜と同じような体質だとすると
体調異変を起こしている者に
触れると、似たような反応を
するっていう可能性はあるな
血族ならなおさらな
敏感過ぎて、共振しちまうとか
そういう共通因子を、彼らも
持っているのかも………
まぁー単なる俺の推測だけど…
もし、マジにそうだったら
大変だよなぁ………
さてと、2人を起こして
車から降りるか………
「優奈ぁ…真奈ぁ……
着いたみたいだから…
起きろ…降りるぞ」
その声に反応して、双子の妹は、目をこすりながら起き上がる。
「はぁ~い」
「ん~着いたんだ」
2人がそれぞれの手荷物を握ったのを見計らったかのように、ボディーガードの1人が、車のドアを外から開けてくれる。
「爺やさんから先にどうぞ」
和輝の言葉に、ウムッと頷き、蓬莱家の爺やが先頭で、車から降りるのを見ながら、双子の妹達に声をかける。
「そしたら、優奈と真奈が
先に降りてくれ………
俺は見ての通り桜を
抱えているし………
〈レイ〉と〈サラ〉を
連れているからな
最後に降りる」
「はぁ~い」
「オッケー」
和輝の言葉に頷き、蓬莱家の爺やに続いて、優奈と真奈が車から降りる。
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