お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

第２章 和輝ペットシッター？になる

051★桜の野望？は叶うのか？

　どうも、庇護する対象に弱いらしいと本能的に感じ取った桜は、情に訴えるように言う。
　和輝としても、実に美味しい話しであるコトから、無碍にも出来ないので、返答に困ってしまう。
　和輝は身を乗り出すようにして、訴える桜を手振りで座らせてる。

　「理解（わか）ったから
　　少し落ち着けよ、桜

　　これは、俺だけで決められる
　　コトじゃないだろう

　　優奈や真奈と相談するから
　　ちょっと待っててくれ………

　　あと、傍観を決め込んでいる
　　爺やさんとしては、今の桜の
　　提案はどう思われますか？」

　桜の言動に内心ではかなりハラハラしていた爺やは、それでもその動揺をおくびにも出さず、さり気ない援護射撃を入れる。

　「そうですね、ご当主・白夜様は
　　桜様が望まれるコトは、出来る
　　限り叶えて差し上げたいと
　　常々、おっしゃっております

　　私としても、ご多忙な白夜様や
　　紅夜様がいらっしゃらないので

　　お寂しい桜様がお望みですので
　　できれば、桜様のご提案を
　　快諾して欲しいと思います」

　爺やの言葉に、和輝は頷いて言う。

　「わかりました、では妹達に
　　相談してみますね」

　そう言って、和輝は席を立ち、客間のドアを開けて、双子の妹達を呼ぶ。

　「真奈、優奈、ちょっと良いか？
　　相談したいコトあるから
　　降りてきてくれるか？」

　和輝の呼びかけに答えて、真奈と優奈が客間へと戻って来る。

　「なに？　和兄ぃ？」

　「どうしたの？　お兄ちゃん？」

　２階の私室から降りて来た双子を客間に入れて、和輝はとりあえず聞いてみる。

　「あのな……優奈…真奈
　　これから俺の言うコトを
　　聞いて、どの選択が１番
　　良いか考えてくれ

　　まず最初に、俺は桜の………
　　正確には、桜の兄貴に雇われた
　　あの〈レイ〉と〈サラ〉の
　　ペットシッターとしてな

　　それでな、今、桜はデケー
　　屋敷にひとりなんだわ
　　いや、使用人の爺やさん達は
　　いるけど………

　　現在、身内がひとりも屋敷に
　　居ないらしいんだ

　　一応、桜の兄貴か恋人が
　　戻って来るという期限で
　　そこから学校に通って
　　欲しいって言われている

　　それでだ、お前達は
　　どうしたい？」

　和輝の言葉に、２頭のボルゾイに未練がたっぷりとあった優奈が、嬉しそうにする。

　「ほんとぉ～…お兄ぃちゃん…」

　優奈とは対照的に、真奈はしれっと聞く。

　「メリットは？」

　真奈からの言葉に、和輝は桜の言葉をそのまま言う。

　「まず、住み込みってコトで
　　食費が浮くな
　　リースから買い取りンなった
　　アレの支払いに回せる

　　お前達の学校は、俺が車で
　　送り迎えするコトになるから
　　変質者騒ぎの予防になるな

　　ついでに、特別手当が出るから
　　金銭的な余裕が出来る…かな？」