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第1章 新しいバイトが………
044★爺や、和輝を観察して驚く
しおりを挟む玄関から動こうとしない爺やと、その背後にひっそりと控える2人のボディーガードに、桜は首を傾げる。
「爺や、とにかく上がって
話し合って欲しいのよ
和輝は、白夜兄ぃ様が
許可するならば
ペットシッターをしても
良いと言ってくれたの」
桜からの言葉に、他人の家に上がるコトをためらっていた爺やは頷いて、靴を脱いだ。
そのあとに、寡黙な2人のボディーガードも続く。
「どうぞ」
そう言いながら、和輝はスリッパを出してから、桜を抱いたまま廊下を移動する。
そして、コツンと待合室のガラスを叩き、ガラッとガラスを開ける。
「なに? 和兄ぃ………」
「どうしたの、お兄ちゃん?」
双子の妹達からの質問に、和輝が声をかける。
「何処まで終わってる?」
和輝の質問に、優奈が先に答える。
「〈サラ〉の毛玉は全部取ったよ
今、最後の毛梳きしてたの
ね、真奈ちゃん」
「〈レイ〉の方も、毛玉は
全部取り終わったよ
毛梳きも終了したよ
2頭とも、濡れタオルで
全身をよぉ~く丹念に拭いたから
手触りもオーケーって感じかな?」
2人からの答えに、和輝は頷く。
「クスクス……ご苦労さん
んじゃ…お茶を頼めるか?
客間のほうな
あぁ〈レイ〉と〈サラ〉も
連れてきて良いぞ
どうせ、桜の犬だ」
そういう和輝に、2人はそれぞれ頷く。
「はぁ~い」
という優奈に対して、真奈は………。
「オッケー……んじゃ……
私が、2頭を連れて行くから
あんたは、お茶を用意して、優奈」
「うん、じゃあ真奈ちゃんは
2頭を連れて、先に行っててよ
すぐに、ここを片付けて
お茶を持って行くから………」
2人が役割分担を決めたのを確認して、和輝が言葉を続ける。
「それじゃ………
こっちのドアから出ろな
台所の方のドアは
鍵をかけたままだからな
俺は先に客間に行ってるぞ」
そう言って、和輝は桜を腕に抱いたまま、客間へと移動した。
そんな和輝の後を、待合室から2頭の引き綱を握って出て来た真奈が続く。
桜を迎えに来た蓬莱家の爺やと、2人のボディーガードの目の前を、良く躾けられた犬のように、2頭のボルゾイはおとなしく歩く。
その2頭に、散々手を焼いていた爺やは、信じられないモノを見た思いだった。
ほぉ~……これは…是非
2頭のペットシッターとして
雇いたいものですね
桜様がご自分で選んだ
この神咲和輝という少年は
白夜様並の支配力を有している
方らしいですね
こんなに、あの気まぐれな2頭が
おとなしいとは………
この目で見ても、信じられませんね
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