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第1章 新しいバイトが………

027★別に珍しいコトじゃない

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 困惑と動揺と、僅かな安堵感の混じった桜の表情に、和輝は肩を竦める。

 「落ち着け、桜
  俺はな、お前みたいな
  自然体で特異体質の人間を
  何人か知っている

  たとえば、普通にしてても
  治癒能力に優れた人物なんて
  結構いるぜ

  その中には、自分の意思で
  身体についた傷を治癒させる
  コトだってできる

  実際、俺も小さい傷なら、自分で
  治癒するコトが出来るからな
  流石に、大きな傷を完全に
  治癒させるコトは無理だけどな  

  それでも、一時的な止血ぐらいは
  出来るから、結構重宝してるぜ

  それに、幼馴染みにも
  俺と同じコト出来るヤツいるし

  まぁ……ちょっとの才能と
  鍛錬しだいで出来るモンだろ」

 和輝の言葉に、桜は小首を傾げて言う。

 「和輝も…自分の意思で
  傷を治癒させるコトが
  出来るのか?」

 呆然とした面持ちで言う桜に、和輝はあっさりと頷く。  
 
 「あぁ…桜みたいに、完全に
  傷口を治癒させるってーのは
  流石に無理だけどな……
  ある程度は出来るぞ

  だから、桜に必要なのは
  その治癒能力を、いかに制御
  するかというコトだろう
 
  自分の意志で治癒能力を制御
  出来ないと、自滅するぞ

  桜の言う《気》については
  よく理解(わか)らないけど
  俺の習った古武道にも
  似たような言葉がある」

 「似たような?
  それはどんな言葉なの?

 好奇心を持ち出した桜の様子に、少しホッとしながら和輝は自分が習った古武道の中の言葉を教える。

 「古武道の中に《気力》という
  言葉がある
  俺達の間では、その《気力》とは
  《意志力》でもあるってな

  だから、その《意志力》で
  傷口から噴き出る鮮血を
  ピタッと止めちまうのだって
  ザラにあるコトなんだ

  ようは、その《意志力》が
  完全に制御出来ているか
  出来ていないかが重要なんだ

  ……っと、それはさておき
  桜は普段、恋人や兄貴から
  どうやって………

  その《気》ってモンを
  もらってるんだ?」

 和輝の説明に、緊張が緩んだ桜は、小首を傾げてからあっさりと答える。

 ふ~ん…そんな人間もいるのか
 ……だから、和輝は私の傷口が
 異様に早く治癒した姿を見ても
 あまりこだわらないのだな

 ならば、多少なら、私達の体質の
 話しをしても平気かな?

 「普段は、口移しでもらってる
  桜は出来ないけど………

  前に、どうやってやっているの
  って、聞いたら……

  白夜兄ぃ様は、下腹に《気》を
  溜めると言っていたけど………」

 「あぁ…丹田な……なるほど
  なんとなく理解(わか)った」

 「和輝は、今の説明で
  理解(わか)るのか?」

 桜からの質問に、空手や合気道の他に、少しのあいだ習っていた古武道の気功法を思い出す。

 「あぁ大体はな
  俺自身は使ったコトないけど
  気功法っていうのがあるぜ」









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