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第1章 新しいバイトが………

020★兄の心配と苦悩

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 だぁー…桜ちゃ~ん…それってよぉ
 胸を張って言うコトじゃねぇーだろ
 けど、やっぱ無駄な抵抗だったか

 まぁ…この惨状じゃしょーがねぇ…
 実際に、つらそうだしな…はぁ~

 「はいはい、わかりましたよ
  ったく、親父はたしかに
  医者だったけどよぉ………

  俺は医者じゃねぇつぅーの
  でも、しょうがねーか」

 両ヒジに両ヒザ、そして、犬の手綱を握っていた両手の甲の半ばから小指に向かって手首周辺まで、擦り剥けているのを見て、和輝は肩を竦める。
 和輝は請われるまま、2頭の犬〈レイ〉と〈サラ〉を待合室に置いたまま、下着姿の桜を脱衣所へと運んだ。

 俺は、あいつじゃねぇーから
 女の子の下着なんて上手に
 脱がすなんて出来ねぇーぞ

 さて…困ったな……まして
 傷口に触らないように
 ソッと脱がせるなんて、無理

 同じ年とは思えないぐらい女の子が大好きで、そういう相手に事欠かない友人の1人を思い浮かべつつ、和輝は桜を脱衣所にある壁際の椅子へと座らせた。

 「桜、自分で脱げるか?」

 和輝の問いかけに、桜は一言。

 「無理」

 「無理って………」

 困りきった和輝に、桜も切実なのでごり押しする。

 「だって、下着を脱ぐのに
  この傷だらけになった腕を
  動かすなんて痛くて出来ない

  下着は買えば良いから………
  さっきみたく鋏みで切って
  外して欲しい………」

 あ~ぁ…やっぱり…そうなるか…
 傷口の都合上…ソレしか無いとは
 思っていたけどよぉ………

 俺は、そういうコトに萌える
 変態じゃねぇーから………
 出来ればやりたくなかったな

 優奈か真奈の未使用の下着って
 買い置きあったかなぁ?

 深い溜め息を吐いた和輝は、腹を決めてキャミソールをみる。

 えーとぉ…なんかコレ高くねぇ?
 しまむらとか通販カタログで
 見たこと有るヤツより……

 なんかレースとか多くて……
 マジ高級品じゃないか?
 ものすごぉーく高いんじゃねぇ

 コレ切らないと無理か?
 肩紐のあたりを調節すれば
 もしかして脱がせられるかな?

 桜が身に着けているキャミソールを改めて見て、鋏みで切ることをためらっているらしい和輝に気付き、あっさりと言う。

 「キャミソールは肩紐を切れば
  簡単に脱げるから
  さっさと切って………

  和輝、考えるだけ無駄だから
  どうせ、痛み無くコレをソッと
  脱ぐのなんて無理だから……」

 桜からの羞恥心のカケラも無い言葉に、和輝はふかぁ~く溜め息を吐く。

 マジで、優奈や真奈となぁ~んら
 変わらないぞ…この羞恥心の無さ

 兄としては、そろそろ2人に
 羞恥心を覚えて欲しいところ
 なんだけどなぁ~……ハァ~…

 桜に、兄貴や姉貴が居たら
 きっと今の俺と同じコトを
 考えただろうなぁ~たぶん
 
 はぁ~あ…たしかに考えるだけ
 時間の無駄だよなぁ~

 いまだに、自分と一緒に風呂に入りたがる優奈や真奈のセイもあって、とことん羞恥心の無い桜の行動に対して、和輝は無感動だった。
 ゆえに、和輝はそんな桜に異性であるというコトを微塵も感じていなかった。

 「はいはい…しょーがねぇー
  んじゃ…切っちまうぞ……

  てーと、パンティーの方も
  脱ぐの無理か?」

 和輝の問いに、桜はあっさりと答える。

 「無理」

 「そっか………」








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