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第9章 忍び寄る妖しい気配

445★何処から来たモノなのか………

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 和輝の言葉に、確かにと頷く竜也は、裏掲示板に投稿された不鮮明な写真などを検証して言う。

 「う~ん……これでいくと、2種類のタイプに別れるね
  典型的な半獣タイプと、人型と獣型を使い分けるタイプだね」

 竜姫は、溜め息を吐きながら首を振る。

 「やぁだぁ~……もしかして違う種類ってことぉ~……
  敵になるか?無害か?は判らないけど……まず味方ではないわよねぇ」

 竜姫の言葉に、竜也も頷いて言う。

 「まぁ…ああいうヤツ等って、基本的には、人間の天敵だからね
  観方みかたを変えれば、この地球という世界の増えすぎた人間の
  間引きを担っているっとも言えるしね

  人間にとっては【悪】でも、世界の均衡を保つ為の【善】だからね
  とは言え、本音を言えば、悪い奴等を餌食にしてくれるんなら
  ボクとしては、放置したいところなんだよね

  ただ、残念なコトに、狙われるのって善良でか弱い女子供なんだよねぇ
  まぁ…あいつらにしても、悪人って美味しくないんだろうね」

 竜也の言葉に、和輝は肩を竦めて言う。

 「それこそ、そういう悪人の魂のを好むのは、本物の悪魔ぐらいだろうさ

  善悪の判断がちゃんとできるにもかかわらず、なんの罪悪感もなく
  他者を傷付け、貶めて愉悦に浸るような、こころが腐敗し切った

  それこそ、爛熟して腐り落ちる寸前の果実のような魂ってヤツには
  俺達には感知できないような、妙なエネルギーを内包しているんだろう

  それは、たぶんに魂の《力》ってヤツからできるモノなのかもな
  まぁ…実際、悪魔と呼ばれているモノは、まず本物は居ないけどな

  だいたい、法王庁から派遣されているエクソシストが退治するヤツって
  基本的に、妬み嫉みで穢れ落ちた、普通の人間の邪霊だからなぁ……

  いや、極稀に、本当に本物の悪魔も居るようだけどな
  俺は、まだ、そういうのに出合ったコトないし………
  そんなモンに、会いたいとも思わないけどな」

 和輝の言葉に、竜姫と竜也は何とも言えない表情でハモッて言う。

 「「同感、そんなモノには、会いたくない」」

 それまで黙って聞いていた紅夜は、首を傾げつつ言う。

 「なぁ和輝、俺達・真族もソレ人間の天敵なのかなぁ?」

 自分達の存在理由に不安を覚えたらしい紅夜に、和輝は首を振る。

 「いや、そういう意味じゃ、逆じゃねぇ~かな?
  均衡を保つという意味でも、例えで言うなら……そうだな

  【善】と【悪】、【光】と【闇】、【聖】と【魔】みたいな
  《対》の存在なんじゃないかな?

  だから『良き神々の末裔』ってモンも存在するんだし
  大丈夫、紅夜達、真族は【光】の側だよ」

 和輝にそう言われて、なんとなく紅夜はホッとする。

 「そっかぁ………なんか、和輝にそう言われるとホッとするなぁ……」

 そんな紅夜に、クスッと笑った和輝は、ここ最近考えていたコトを口にする。

 「まぁ…ある種の俺のたわごととして聞いて欲しいんだけどな………」

 そう前置きした和輝に、竜也が首を傾げて言う。

 「何をだい?」

 竜也の合いの手に、和輝は言葉を紡ぐ。

 「いや、紅夜達、真族も含めて、ダーナ神族等の神話系の種族とかの
  根源の推察ってヤツをなんとなくしていたんだ

  色々な神話だとかを考察して、たどり着いたひとつの可能性の話しだ
  まず、前置きとして多重世界理論……いわゆる、パラレルワールドだ

  俺としては、パラレルワールドってモンは存在していると思っている
  肉体を失い、この現実世界で死亡した人達の魂が生まれ変わって
  新たに生活する空間があっても、おかしくないと思うしな

  そう言う、他次元空間との間にある障壁みたいなモノにたわみが生じて
  スポット的に穴が空いて、堕ちる者達が居るじゃないかなぁ?と
  俺は思っているんだよな

  長いスパンの間に、障壁が厚くなったり、薄くなったりしてさ
  時には、空間が融合したりして、淘汰されて行くんじゃないかな?

  そういう時に、増えすぎた空間が、似たような空間と融合して
  空間の淘汰が行われるんじゃないかな?

  例えば、日本で言えば、ある時期を境にして、妙に妖怪なんかの話しが
  爆発的に増えたりしているだろう……河童とか、天狗とか、鬼とかさ

  いくらパラレルワールドとはいえ、無限増殖は無理だろうからな
  何事にも、キャパの限界値ってモンがあると思うんだよな

  で、空間同士が融合して、適応能力があったモノだけが生き残れる
  そして、淘汰されて融合した空間の元にはあまり影響はないが

  融合して消えるコトになった空間に居た生き物の大半は
  新たな空間に馴染めずに自然淘汰で消えて行ったんじゃないかな?

  言うなれば、この俺達が生きる世界に、魔素なんて呼ばれるモノは
  現時点では、認識されていないし、存在していないコトになっている

  けど、俺は《光珠》って言うエネルギーの結晶体を作り出せるし
  狂信者集団は《転移》なんてコトができるだろ

  そして、真族は、スマホ代わりに鏡を使って空間を繋げられる
  ようするに、未知のエネルギーを使えるわけだ

  ただ、この世界には、魔法が存在しないし、魔素と呼ばれるモノも無い
  たぶんに、融合したとしても、そういうモノは分解されちまうのかもな

  融合した異世界から流入するモノに人間もいると思うしな
  そういう人間は、この世界に準じて魔力が消えちまうんじゃないかな

  ただ、融合してそんなに経たない頃は、魔力があって使えるけど
  時間経過と共に、その魔力も失われちまう………とかな

  ほら、ケルト神話だとかドルイドだとかって魔法が出て来るし
  神々って呼ばれるモノは、特殊な《能力》を持った異世界人だった
  とかなら、ロマンもあるしな

  あと、ファンタジー小説や漫画ってぇーのは異世界をかいま見ている
  って、言われているだろ

  なら、同位置の平衡世界なら行き来もできるんじゃないかな?
  ただし、高次元や低次元ってモンもあるから、さまざまだろうしな

  基本、落ちるのは簡単だけど、のぼるのは難しいモンだし
  そういうコトを考えてたんだよ

  あいつらは、何処から来たのかってさ……
  まっ…考察のひとつで、俺の考え過ぎってコトもあるだろうけどな

  ただ、これ以上、変なモンが出現して来るなら、そういうのも有りかも
  って、疑った方が良いかもしれないな」

 和輝の言葉に、竜也と竜姫は顔を見合わせ、紅夜も自分達は何処から来たのか?を考えるのだった。









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