上 下
444 / 446
第9章 忍び寄る妖しい気配

444★〔バンパイア〕に〔グール〕に続いて、人狼も現れたらしい

しおりを挟む


 まったりとしている間に、あっという間に午前中が過ぎ、お昼になったが、流石に朝食が遅かったので、もう少し後にすると言うコトになった。

 竜也は、持ち込んでいたミニのノートパソコンで、そういう裏掲示板をあさりまわっていた。

 「和輝、ヨーロッパの方でも、動きがあるようだよ」

 その言葉に、竜姫がげんなりしたように言う」

 「うえぇ~…本格的に、あいつらの繁殖期に入ったんだぁ………」

 いやそうに言う竜姫に、竜也が首を振って言う。

 「ほんとにね…〔バンパイア〕に〔グール〕が特に困りものだよね
  特に〔グール〕って臭いし、一度標的になると執拗に狙うし貪欲だしね

  フィクションのゲームや小説と違ってアンデットなんかと違って
  結構、知能は高いし、一般人に紛れるのも得意だからねぇ」

 そんな竜也の言葉に、和輝も困ったように言う。

 「ああ、特に半島や大陸には多いんだよなぁ~………
  いや、政治形態とかの都合で、紛れ込みやすいセイもあるだろうし

  日本ほど戸籍制度がしっかりしてないしな
  ただ、最近は、日本でも戸籍の無い子供が増えているから……」

 そういう奴等に紛れ込まれると困る……という話しに持っていこうと下のだが、竜姫が途中で和輝の話しをぶった切って、握りこぶしをして言う。

 「そんなの、無責任な男のセイでしょ……いや、無責任な政治家かしらね
  何時、自分達がその立場になるか判らないから、男尊女卑のままなのよ

  まったく、下半身がだらしがないのから、DV男に、マザコン男
  そういうろくでもない男達の被害者である女性を放置どころか

  加害者の人権ばかりを主張して、被害者は二次被害に三次被害でも
  ぜぇ~んぜん、知らん面だものねぇ……

  犯罪を犯した者を変に擁護する、頭のおかしな人達がいるセイで
  傷付いた被害者に対して『犯罪に巻き込まれる方が悪いんだ』って

  平気でのたまうような人達まで出るような世の中だものねぇ~……
  ほぉ~んと、日本もだいぶ末期だわぁ~……

  だから、あんな無差別殺人を平気で行う犯罪者集団が出没するのよ
  犯罪の温床になるようなコトばかりしているから………

  本来、その資格の無い者が、平気な顔で政治家として居座って
  アタシ達の血税を無駄なコトに、盛大にぶん撒いているんだから

  そういう奴等って〔グール〕や〔バンパイア〕と変わらないわよ
  この日本という国に寄生して…じゃないっ…今はあいつらのコトだわ

  和輝、日本で無戸籍の子供が増えているのは、確かに問題だけど
  それがどうかしたの?もしかしてあいつらと関係ある?」

 竜姫の憤りに、肩を竦めた竜也と和輝だったが、そう声を掛けられた和輝が嘆息しながら答える。

 「ああ、その無戸籍ん中に紛れて、どうも繁殖しているようなんだよなぁ
  〔バンパイア〕の方は、そういう意味でプライドが高いから居ないけど

  〔グール〕の方は、そういうの全然気にしないから……それどころか
  貧困の中に居れば、臭さもごまかせるってんでかなり紛れている

  ついでに、イジメを受けている側に基本居るからな
  イジメをした方が何らかの理由によって、突然消えても疑われない

  つーのを利用して、肥え太った美味しそうな子供を捕食しているんだ
  ただ、そういう子供って、親から感心ないから、居なくなっても……

  ってコトで、国内の行方不明者の何割かは、残念なコトに〔グール〕の
  餌食になっているんだよなぁ………

  〔バンパイア〕も厄介だけど〔グール〕も問題なんだよなぁ
  ついでに、どうやら、今回は両方の繁殖期が重なっているようでな

  大規模な…〔グール〕による人為的な都市災害とかあるかもな
  例えば、地下鉄での脱線事故だとか、崩落事故とかな
  まず、一番狙われるのは、人口過密地帯だろうなぁ…………

  過疎地だったら根こそぎ食べちまって、なり替わりするだろうしな
  半島の奴等がよくやる手だが……〔グール〕もそうなんだよな
  いや、あっちから不法入国した奴等が〔グール〕なだけか………

  例えていうなら、〔バンパイア〕は、性格上インテリ系に紛れる
  かたや〔グール〕は、不法滞在者やヤクザに紛れやすいんだよな

  そんな中、出生届がされていない無国籍の子供達が増えたら
  捕食して、合法的になり替わり安い対象も増えるんだよ
  あいつらは、擬態も得意だからな」

 困ったもんだと首を振る和輝に、パソコンをいじって居た竜也が、眼鏡のフレームの中央を神経質に指先で持ち上げながら言う。

 「和輝、今、裏掲示板に面白い投稿が出たよ
  どうやら、人狼まで出たみたいなんだ
  まだ、ボク達に対して、実害があるかは判らないけど………」

 そう言う竜也に、竜姫が言う。

 「それで、その人狼の出現場所って、いったい何処よ?
  どの地域で、どのぐらいの頻度での目撃情報なの?」

 矢継ぎ早に言う竜姫に、竜也はちょっと困惑したような表情で言う。

 「実はさ、この日本なんだよねぇ~……その目撃情報
  しかも、関東と東北でちらほららしいんだ

  確定じゃないから、なんとも言えないけどね
  本当に、人狼なのか………ボクは疑問かな?」

 そんな竜也の言葉に、和輝は首を傾げて言う。

 「さて、そいつはライカンスロープとしてどの程度なんだろうな?
  完全に二つの姿を使い分けるコトができるタイプか?

  獣頭に爪や牙が出る程度で、途中までの獣化で止まっちまうタイプか?
  それによって、身体能力もかなり違ってくるからな」
  











しおりを挟む

処理中です...