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第8章 親密な関係になりたい
431★和輝の許容量は予想外に大きく大雑把
しおりを挟むそして、そっと3人は、思念を交わす。
{流石に、能力や才能etc.のあり過ぎる医師って……って感じだねぇ}
{はっきり言って、常識が変なのでしょうね}
{あぁ~…和輝の周りにいる幼馴染みって、なんかみんな似たり寄ったりの感性だったぞ}
{確かにね、同じような能力や知識を共有している者達が側にいればねぇ~……}
{くすくす………その変な医師と同じように、非常識な和輝達ならば
俺達が異種族でも、全然気にしないで付き合ってくれる}
{ああ、これで、私達の一族でも、入院させても大丈夫な病院と医師が
確保できるな………本音で、助かるな}
{これで、ようやく藤夜の身体とかの治療…安心してできるんだねぇ~……}
{そうですね、蒼夜兄さん
みんながみんな、桜のように自己治癒が高いわけではないですからね}
妙に表情が緩んでいる3人と、ケーキ&プリンを満喫して、ご満悦の桜という雰囲気の中、まだ、食べ物をねだれるとふんだ〈カオス〉が、和輝に立ち上がって抱き付く。
アッフッ……アッフッ……くぅぅぅ~ん……くぅ~ん……
「うわっ…と……〈カオス〉ぅ?」
〈カオス〉に抱き付かれた和輝は、その顔から、何を望んでいるか気付き、呆れる。
「まだ食うのか?…流石に、変化中の桜と違うんだから、消化に悪いぞ」
困惑した和輝の言葉に、それぞれ夢見心地だった4人はハッとする。
視線の先では、絶対に何かねだるという決意をもって、和輝に絡む〈カオス〉がいた。
そんな和輝の足元には、やはり〈サラ〉と〈レイ〉が、胸張りポーズで空中に向かって、まるでパントマイムのような、お手とお代わりを繰り返していた。
その世は事も無しというような情景に、4人は溜め息を吐いて苦笑した。
「和輝…3頭とも、何かをもらうまで、絶対に止めないと思いますわよ」
桜からの救いのす欠片も無いセリフに、肩を竦めて言う。
「しょうがないなぁ~……んじゃ、ここは、やっぱりクッキーかな?」
その妥協の入った言葉に、3頭は嬉しそうにお尻尾をふぁっさふぁっさと大きく振って、ささっと和輝から少し離れて待つ。
ちゃんと待機に入った3頭に苦笑しながら、和輝はペットハウスに来た時に取り上げたクッキー缶を手に取り、数が良いというコトで、三枚づつ、トレーに乗せてやる。
「ほら、ご主人様に許可をもらって来い」
和輝の言葉に、3頭は自分の飼い主の前に座って、それぞれお手やお代わりを繰り返す。
それを尻目に、和輝は紅夜にコソッという。
「取り敢えず、蒼夜さんや白夜さんに、怒られなくて良かったな、紅夜」
紅夜にそう言う和輝に気付いた蒼夜と白夜は、目配せする。
{なんであれ、彼は私達の味方で居てくれるようだね
どうにかしないと、いけないかと思ったよ}
{はい……早い段階で、桜の安全の為にと真血を、ひと雫注いであるので
そこまでの危険はないと思っていましたが………流石に………
あそこまで、大雑把だとは思っていなかったので……ホッとしました}
などなど、思念で会話している間に、桜がねだる。
「和輝ぃ~…《光珠》を食べてしまったので、新しいのが欲しいですわ」
そんな桜を少し羨ましそうに見ながら、口ごもる紅夜に、和輝はクスッと笑う。
ほぉ~んと…でけぇ~ずうたいしてんのに、気が細いよなぁ~紅夜って
取り敢えず、桜にさっき作った分を上げて………
まだ作ったヤツの余裕があるから、蒼夜さんと白夜さんに持たせよう
そしたら、紅夜に新しいモノを作ってやるか?
ほんと、紅夜ってガタイのわりに、妙な庇護欲をそそるんだよなぁ~
桜とは別の意味で、性格がめっちゃ可愛いんだから笑っちまうわ
そんなコトを考えながら、和輝は買っておいた100円均一によくある、手早く掌サイズの小さな収納バッグに、胸ポケットから取り出して、コロコロと《光珠》を分ける。
蒼夜さんのほうは、危険はなさそうだから、3つで良いかな?
白夜さんは、危ないところにいるから5つ入れておこう
胸ポケットから取り出した《光珠》を分け入れた後、和輝は桜が要求した通り、それこそ宝石を生み出す精霊のように《光珠》を簡単に作り上げるのだった。
「ほら、取り敢えず3つ……そのロケットに入れておけよ
コレは、どんな薬よりも効くからな
いざって時を考えれば、3つは必要だろうからな」
そんな桜と和輝のやり取りを、蒼夜と白夜はびっくりした表情で見る。
が、紅夜は『自分も欲しい』と言えず、ちょっと拗ねた瞳をしていた。
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