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第8章 親密な関係になりたい
429★異種交配できるようだ
しおりを挟むどうして、こう…和輝君に対して、口が軽くなってしまったんだか?
《儀式》によって、真族に入りたてで、一族への変移が始まっているだけに
注意力が散漫になっている桜はしょうがないとしてもねぇ………
物凄く繊細で、一族の者達相手でも、警戒心の塊りのような紅夜や
長となってしまったがゆえに、慎重すぎるほど慎重なはずの白夜まで……
はぁ~…このぶんじゃ、白夜や紅夜には、紅夜君への処分は無理そうだね
和輝君に、手を下す時は、私がするしかないね……これは
蒼夜は自分の中で覚悟を決めて、飲んでいたコーヒーのカップを、コトッとテーブルに戻して、内心を綺麗に押し隠したまま、何でもないコトのように、敢えて答える。
「和輝君が、どういう意味で、それを聞いたか判らないけど
別に……一族に変化する為の《儀式》を受けなくても
お互いに、相性が良ければ、普通に子供は産めるよ
妊娠率は、普通の人間とそうたいして変わらなかったと思うけど……
それが、どうかしたのかな?」
何気なくを装いながら、蒼夜は和輝の様子を窺う。
一方の和輝は、蒼夜に答えをもらって、なぁ~んだという表情になって肩を竦める。
「あっ…普通に産めるんですか?
てっきり、そういう《儀式》をちゃんと受けないと
妊娠能力が身に付かないのかと思ったから………
えぇ~とぉ……誰か、身近な者で……俺が知っている人で……
その……言い方は難ですが……混血の人っていますか?」
首を傾げて聞く和輝の意図は理解はできなかったが、紅夜があっさりと言う。
「俺」
紅夜の言葉に、和輝は向き直って聞く。
「えっ…紅夜が?………」
和輝の言葉に、紅夜は頷いて、続けて言う。
「ああ……お陰で、お袋が死んだんで、父上の後始末に走っていた
蒼夜兄上が、俺を迎えに来てくれたんだけど………
けど、一族の里に連れて行かれたら……『雑種』がって………」
口さがない侮蔑を込めた発言の数々を思い出し、紅夜はシオシオとしおれる。
「あっ…そっかぁ~…桜が、白夜さんや蒼夜さん達の父親って
すげぇ~種馬だって言っていたっけ
そうだよなぁ~…紅夜も腹違いの兄弟だって言っていたもんな
なぁ~んだ…混血可能なのかぁ……そっかぁ~……
俺ってば、一代雑種のレオポンを想像していたんだよなぁ~……
人間まんまでも、ちゃんと次代が残せるんだ」
和輝の反応と発言に、4人は首を傾げる。
そんな中、紅夜が代表して、和輝に聞く。
「なぁ~…和輝、そのレオポンって?なんなんだ?」
その存在を知らないらしい紅夜と、やはり同じような表情を浮かべ、知識として知らないコトを見て取り、和輝は説明する。
「ああ、知らないのかぁ?……一時期、ちょっとした話題になったんだぜ
同科の異種交配で子供はできるのか?ってコトで試作された混血児なんだ
その混血児っていうのか、レオポンっつーヤツなんだわ
ことの始まりは、他種とのかけ合わせで子供はできるか?ってヤツで
それならば、同じ大型の猫科同士なら、交配可能じゃないか?
ってコトになって、ライオンとレオパード…ようするに、ヒョウな
ライオンのメスに、ヒョウのオスを交配してできたのが、レオポン
ただ、残念なコトに、次世代を残せない交配だったんだ
同じ猫科の大型肉食獣のというくくりの中だったとしても
そんだけ、ライオンとヒョウの遺伝子は離れているって証拠なんだ
他にも、ライガーつーのがいて、これは母親がトラで父親がライオン
逆に、父親がトラで母親がライオンをタイゴンっていうのもいる
ただ、総じて生殖能力が無くて短命のようだった
まぁ、余談だけど、タイゴンのメスには、僅かに生殖能力があってな
オスのライオンとの交配出産に成功した例がある
その中に奇跡的な異種強勢が出たのも居たらしい
なんでも、体高……え~と、地面から肩までの高さな
その体高が1.32mで、体長が3.5mで
ライタイゴンと呼ばれていたらしい
まぁ…それはさておき、俺が言いたいのはさ
同じ科で異種交配しても、子供って普通はできないってコトなんだわ」
和輝の言っているコトは、一応理解はできるが、そこに秘められた意味が理解らずに、桜は聞き返す。
「ふむ、よくわかりませんわ…それが、なんだというのです?」
一心に、和輝に要求していたケーキを食べていた桜が、訳が分からないから、自分に理解しかすいように説明して欲しいと、視線で訴えながら、ホークをガジガジと齧り、小首を傾げる。
そんな桜と同じように、瞳に疑問というモノを浮かべる紅夜に、和輝は聞く。
「紅夜と桜は、子供を作れるんだろ?」
和輝の問いに、紅夜は最長老に言われたコトを口にする。
「ああ……身体に、たぁ~んと精力?…《生気》?を溜めて頑張れば
ちゃんとできるって言われたけど」
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