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第8章 親密な関係になりたい
417★ピザの魅力に負けて、用事を放棄しました
しおりを挟むきゅ~ん…と、項垂れてそう言う桜に、和輝はクスッと笑って言う。
「そっか、そんなに腹へっているんだな……それじゃピザなんてどうだ?
チーズとハムをトッピングして焼くだけのピザでも食うか?
なんなら、チーズましましで、ハムの他に蒸した鶏肉乗せてさ
それとも、ベーコンをカリッと焼いたのでもトッピングするか?」
和輝の言葉に、桜はピクンッとする。
それこそ、愛犬達と変わらない耳や尻尾等が桜に有ったなら、その耳をピーンと立てて、お尻尾をふぁっさふぁっさと振っていただろう。
「ピザですか?…勿論、食べますわっ……あれ?…でも、そのようなモノ
入っていたかしら?」
疑問という表情で、首を傾げる桜に、和輝はニッと笑う。
「ああ、昨日、ピザ用の生地を作っておいたんだ
だから、ピザならすぐにできるぜ
んで、あの3頭には、やっぱり作り置きしてあるスープと
ピザの風トーストでも与えるかな?
特に、激痩せした〈カオス〉には、疲労回復に最適な
ボイルした胸肉にチーズたっぷりでさ……うん?どうだ?桜?」
和輝の提案に、桜はパァ~っと表情を輝かせる。
うふっ……好きなモノをトッピングして直ぐに焼いたら食べられるピザ
美味しそうですわぁ~…うふふふ…桜もボイルした胸肉も欲しいですわ
「ピザ、嬉しいですわ…桜はトッピンクにボイルした胸肉も追加ですわ」
うっ…和輝の手作り焼き立てのピザ……マジで喰いてぇ~……
その瞬間、食い気という名の欲望に負けた紅夜は、自分のするべきコトを綺麗にポイッとして、主張する。
「あっ…俺も…俺も…和輝の作ったピザ食べるっ……焼き立て食べたいっ
ハムとベーコンとチーズましましでぇ~…あっボイルした胸肉も」
和輝は、その紅夜の発言を聞いて、大きく溜め息を吐いた。
だぁ~…紅夜ぁ~……やっぱり……もう、全部面倒くさくなったな
あの人達が帰って来ているコト、隠したかったんじゃねぇ~のかぁ?
蒼夜さんや白夜さん、本邸に帰って来ているの無視するのかぁ?
愛犬が来るの待ってんじゃねぇ~のかよ
はぁ~……爺やさん達も、苦労するよなぁ……
これはもう、そんなコトどうでも良くなっているな
取り敢えず、試しに蒼夜さんや白夜さんのコトを紅夜に振ってみるか?
「なぁ~…紅夜ぁ~……お前、3頭を迎えに来た時に言ったよなぁ」
和輝に話しを振られた紅夜は、何のこと?という表情で振り返る。
「あ~……なに?」
えっ……桜には、焼き立てのピザ食うかぁ~……って言ったのにぃ~…
俺には、ピザを食べさせてくれないのか?
ちょっとしょげながら、首を傾げる紅夜に、和輝は溜め息混じりに言う。
「だからぁ~俺に《光珠》欲しいってねだった後に、言ったろうよ
『まだ、この後、一度桜ンところに行ったら、桜と〈レイ〉を
ペットハウスに置いて〈カオス〉と〈サラ〉に2頭を連れて
本邸に行ったりする用事が残っているからさぁ…………』って
それって、本邸で飼い主の蒼夜さんと白夜さんが待ってるってコトだろ
ここで、ピザなんて、呑気に食っていて良いのかよ、マジで
本当に、連れて行かなくて良いのか?
このままここで、のんびりピザなんて食べてて連れて行かなかったら
後で、確実に怒られると思うぞ、紅夜」
和輝の指摘に、疲れ切っている紅夜は首を振る。
へっ?……えっ?……えぇっ?………だぁぁ~……うわぁ~…不味いっ
俺ってば、すげぇ~取り返しのつかない失言…最初にしていたのかぁ?
……つっても、もうこうなったら、今更どうしようもないけどさ
和輝ってば、完全に確信しているみたいだし
それに、和輝のヤツ、蒼夜兄上や白夜兄上が、本邸に帰って来ているのが
当然のコトだと思っているようだし………
そう言えば、藤夜兄上を正気に戻す為の儀式の準備をしている時も
そんなコトを言っていたよな………嗚呼、マジで今更だわ
だぁ~もういいや…どだい、俺が和輝に隠し事するなんて無理なんだから
和輝の言う推測や憶測ってほとんど予知…いや、この場合は千里眼かな?
そうなんだから、いちいち気にしたって、なんの意味もねぇ~もんな
それよりも、今は、焼き立て熱々のピザが食いてぇ~よぉ
たぁ~っぷりのチーズにぃ~…厚切りハムにカリカリに焼いたベーコン
いや、ソーセージとか…後は、ボイルした胸肉も良いけど……
いっそ、揚げたての唐揚げとか……色々とトッピングしたのを食べたい
それも、熱々のをハフハフしながら………
「ぅん…ああ…平気平気……それよりも、俺もピザ食いてぇ~ピザぁ~」
その紅夜の答えに、和輝はガックリする。
あははは……紅夜のヤツ…もう隠すコトもポイッとしてやがるぜ
つーか、そんなにピザを連呼するほど、腹が減ってるのかよ、紅夜
まぁ…3頭を迎えに来た時の様子からして、もう色々と限界だったんだな
俺でもわかるよな、露骨に失言だらけだったし………
でもな紅夜、当主の白夜さんや、その兄貴である蒼夜さんは
自分達に、そういう特殊な《能力》があるコトを、俺達に対して
隠して起きたかったんじゃねぇ~のかよ?
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