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第8章 親密な関係になりたい

416★和輝の支配力って………

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 3頭がちゃんとリビングに入るのを確認した和輝は、頬を膨らませている桜に向き直って提案する。

 「なぁ~桜…紅夜…取り敢えず、3頭もリビングに素直に入ったから
  俺達も入って、何か口にしないか?
  併設されているキッチンで、何か作ってやるからよ」

 和輝の言葉に、桜はケロッと機嫌をなおす。

 「まぁ…本当ですの?」

 その顕著な態度に、和輝は肩を竦めて、紅夜にもリビングに入るように顎をしゃくる。

 「ああ…その様子じゃ…野菜スープだけじゃ…全然物足りなかったんだろ
  なんか、新しいモンを作ってやるから、そんなに怒るなよ

  ほら、リビングにはいろうぜ…なっ紅夜…あいつらも、待っているしな
  それに、あんまりここでもたもたしていると、キッチンに置いてある

  クッキーやおとっときのケーキを食われちまったりして………
  あいつらってば、頭が良い、器用だからな、戸棚や冷蔵庫開けて
  ちゃっかりと、食べちゃうかも…………」

 そんな和輝の言葉に、桜はたったとリビングに戻る。
 勿論、和輝の作ったモノにハまっている紅夜も慌ててリビングへと向かう。

 手作りのクッキーやケーキを3頭に盗み食いされていないか、確認するために急ぐ、キャッシュな2人の姿に、和輝はくすくすと忍び笑いを零しながら、リビングへと向かう。

 和輝がリビングに足を踏み込むと同時に、桜と紅夜がハモって叫ぶ。

 「「あぁ~……〈カオス〉〈サラ〉〈レイ〉っっ!!………」」

 2人の声に、和輝はどうした?という表情で、首を傾げながら3頭の姿を探す。

 和輝が見た3頭は、クッキー缶、それも一番大きな缶を、それはそれは楽しそうに転がしていた。

 差し詰め『この缶、どうやったら開くかなぁ~……』っという、こころの声が聞こえてきそうな姿で、足先で3頭でコロコロと転がす姿だった。

 和輝は、そんな3頭の悪戯に、怒らずに言う。

 「あ~あ…やっぱり、そういうコトしていたかぁ~……
  本当に、頭が良いよなぁ~……クスクス
  〈カオス〉〈サラ〉〈レイ〉……カモンッ………」

 名前を呼び、顔を上げた3頭に、軽く手を振りながら、和輝は自分の足元に3頭を呼ぶ。

 何時、まかり間違って、缶の蓋がケコッと開いたりして、誰が食べるかで3頭でケンカをしてもおかしくない状況なのに、困った顔してクッキー缶を取り上げない2人に、和輝は嘆息する。

 おいおい…なんで、取り上げないんだよ、紅夜……はぁ~……

 性別や身長などを考えて、そういうコトから桜を除外する為、必然的に責められるコトになるのは紅夜だったりする。
 が、状況が状況なので、和輝は紅夜を言葉にして責めたりはしなかった。

 もう既に、失言がボロボロと出るほどお疲れの紅夜に、追い打ちをかけるのは流石に可哀想だと思う和輝だった。
 だから、和輝はクッキー缶から3頭を引き剥がす為に、手元に呼んだのだ。

 和輝の呼び声に、3頭は大きなクッキー缶を転がすのを止めて、たたっと和輝の前に駆け寄り、スタッとお行儀良くお座りをして、愛らしくお手のポーズを取る。

 その姿が、和輝に対して評判が良いと認識しているので、少しでも優遇してもらえるようにと、そういう姿をとる3頭だった。

 「よぉ~し、良い子だなぁ~……〈カオス〉〈サラ〉〈レイ〉
  今、なんか美味しいモンを作ってやるからなぁ~……
  ちょっとソファーで待っていてくれな」

 頭を撫でられた3頭は、和輝の言葉をきちんと理解りかいしたようで、さっきまで一心に蓋が開かないかと転がしていたクッキー缶は目もくれず、それぞれのお気に入りのソファーへと飛び乗って、くるりんっと丸まり、街の体制へと入った。

 その姿を黙って見ていた紅夜は、内心で大きく溜め息を吐いていた。

 はぁ~……俺の言うコトだって、あそこまで素直に聞かねぇ~つーのに
 あんな状態の3頭から、クッキー缶なんて取り上げようもんなら
 絶対に、しつこく絡まれるのにぃ………

 最低限、三枚は強奪しないと、おとなしくソファーになんか戻らないのに
 和輝なんて、命令しただけで………あの支配力、白夜兄上、越えてるぜ

 なんとなく、拗ねた気分になって、やはりお気に入りのソファーに座り込み、クッションを抱き込んで、和輝の姿を視線で追っていた。

 が、そっちを見る余裕の無い和輝は、キッチンにはいり、転がされていたクッキー缶をキッチン台へとひょいっと置く。
 そして、パタパタと野菜のストックカゴや冷蔵庫に戸棚などを開けて、材料を確認する。

 「ん~と……ああ、この辺も良い状態になっているな
  ふむ…パン生地の発酵が良い状態より、少し早いかな?ぐらいだから

  これなら、室温に戻せば、オーケーかな?
  ピザ用の生地も、良い状態だから、直ぐに焼けるな」

 野菜カゴや冷蔵庫の中身を確認した和輝は、お腹が空いたを連呼していた桜を振り返って言う。

 「さくらぁ~…腹減ってるって言ったよなぁ……」

 和輝の確認に、桜はコクッと頷いて言う。

 「うん…もう…お腹が…ぐぅ~ぐぅ~になってしまって………
  さっき食べた野菜スープも、身体のどこかに消えてしまったみたい
 
  クラクラして、なんか眩暈もしますし…身体にも力が入らなくて……
  桜は、際限なしに物が入る、クラインの壷にでもなった気がする

  とにかく、すぐに食べられるモノを作って欲しいですわ」













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