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第8章 親密な関係になりたい

415★せっかく設置してあるんだから、ちゃんと閉めましょう

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 ふむ……スマホから聞こえて来た桜の様子を考えるとなぁ………
 簡単で、手っ取り早く作れて、腹に溜まるモノが良いかな?

 どうやら、紅夜も腹減ってるみたいだしな
 うん?……んんぅ?………なぁ~んか忘れて………って………

 ハッとした和輝は、既に幸せ感に浸っても隣りをほけほけと歩く紅夜の姿から、すっかり自分が何をしなければならないかをろ、綺麗さっぱりと忘れているコトを見て取り、内心で溜め息を吐く。

 こぉ~やぁ~?……もしかしなくても、すっかりと忘れねぇ~か?
 蒼夜さんと白夜さんの愛犬を、本邸に連れて行くって使命?

 いや、そんなことは、流石にねぇ~よなぁ~…たぶん
 だって、ちゃんと紅夜自身が、自分で俺に言ったぞ

 『なぁ~和輝ぃ~……疲れているところ悪いんだけど
  あの《光珠》ひとつくれねぇ~か?

  まだ、この後、一度桜ンところに行ったら、桜と〈レイ〉を
  ペットハウスに置いて〈カオス〉と〈サラ〉に2頭を連れて
  本邸に行ったりする用事が残っているからさぁ…………』

 いや、あの時は、ちゃんと覚えていたけど……かな?
 あの様子だと、マジでゲストハウスに来て《光珠》を欲しがった時の言葉

 もう、記憶の中から綺麗さっぱりと忘れ去っている気がするな
 まっ…紅夜の気持ちも、理解わからなくは無いけどな

 ただ、流石に本邸で紅夜が連れて来るはずの愛犬を今か今かと待っている
 蒼夜さんと白夜さん、ちっと可哀想じゃねぇ~かぁ~……

 まぁいい………ペットハウスに行って、様子を見てから言おう
 今言っても、何のことだって、バックレるに決まっている

 なんか食いモンの話しを振ってから、一応は言ってみっか?
 ちょっと食べれば、素直に愛犬達を連れて行くかもだし………

 などと考えているうちに、ペットハウスにあっという間に着いた2人と33頭だった。

 「はぁ~……なんだかなぁ…和輝が居るゲストハウスに行って
  ペットハウスに帰った来るのに30分もかかって無いはずなのに
  なんか、気分的にやっと帰って来た………って、気がするぜ」

 ぼやく紅夜に、和輝はちょっと苦笑いを浮かべ、肩を竦めて言う。

 「まっ…俺にとっても紅夜とっても、濃厚な1日だったのは確かだな」

 そんな和輝の言葉に、やっぱり肩を竦めた紅夜は、桜のお小言を覚悟しながら、ペットハウスのドアを開けて言う。

 「ただいま、桜」

 そう言いながら、紅夜は〈カオス〉と共に、開いたままになったていた三重の扉を通り抜ける。
 〈サラ〉と〈レイ〉を連れた和輝も、紅夜と〈カオス〉に続いて玄関の中へと入り、素早く、まずは玄関の鍵を閉める。

 勿論、逃亡した3頭をまた回収したくないので、通り抜ける時に、三重の扉もちゃんと鍵を閉めておく和輝である。

 そして、ドアを閉めて紅夜の方を振り返って和輝が見たモノは、玄関のドアが開いた音と、紅夜の声に反応して、リビングから出て来た桜だった。
 桜は、腰に手をあてて、開口一番に言う。

 「まったく…遅いですわよ、紅夜
  桜は、温めたスープを一杯飲み終わってしまいましたわ」

 和輝の予想した通り、頬を膨らませて、ぷんぷんしている桜が出迎える。
 そして、紅夜はというと、そんな桜に、平身低頭という言葉がぴったりくるほど、身体を小さくして謝る。

 「ご…ごめん………」

 あうぅ~…やっぱり……遅いって…怒っていたか…
 わかっていても…気分がへこむぜ

 なんかなぁ~…やっぱり…過度のストレスを感じているセイかなぁ?
 桜じゃないけど、すげぇ~腹が減っている気がする…はぁ~……

 項垂れる紅夜と、腰に手をあてて、ぷんすかしている桜のやり取りを聞き、和輝は苦笑いを浮かべる。

 まっ…紅夜と桜……予想通りの展開だな
 ちょっと面倒っちゃ面倒だけど、やっぱり小まめに戸締りは必要だな
 また、3頭に、今度は『遊びましょ~』って、逃亡されたらたまらない

 和輝はチラリっと、廊下と玄関の間に設置されている、たった今閉めて来た三重扉とドアを確認する。
 勿論、そういう風に設置されている為、鍵は外からでもちゃんと外せる仕様である。

 あー…うん…ちゃんと鍵は閉めてあるよな
 桜も面倒がらずに、きちんと三重扉の鍵をかけておけば

 紅夜がドアを開けても、容易く3頭に、逃げられなかったのに………
 別に、外からだって、入る時にちゃんと鍵が外せるんだからさ

 まぁ……紅夜が、本邸からすぐに帰って来ると思っていたからだろうな
 たぶんに、2度手間を面倒くさがって、鍵を掛けなかったんだろうな

 和輝はおとなしく自分の行動にあわせていた〈サラ〉と〈レイ〉の頭を撫でてやり、首輪を外してやる。

 「まぁまぁ……そんなに怒るなよ、桜」

 そう言いながら、和輝は紅夜が握っていた〈カオス〉の首輪も外す。

 「ヨシ…良い子だ〈カオス〉〈サラ〉〈レイ〉…ほら、リビングに入れ」

 そう言って、首輪を外されて自由になっても、おとなしく側で控えて命令を待つ3頭の頭を優しく撫でてやりながら、リビングを指さす。

 3頭は、和輝の命令に従って、素直にリビングへとトテトテと静かに歩いて向かう。



 
 

 

 

 

 
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