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第8章 親密な関係になりたい

410★嗚呼、主婦根性が抜けない

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 自分の言葉スルーし、和輝を注視して、お愛想を一生懸命振る、その姿に、なぜか脱力感を覚えて座り込む紅夜に、和輝は声をひそめながら言う。

 「紅夜、ちょっとこいつらの一緒に、ここで待っていてくれるか?
  俺、一回部屋に戻って、ジャージに着替えて来るからさ
  流石に、この姿でっつーのは、ちっとな」

 和輝のパジャマ姿を見て、寝る寸前、もしくは、布団に入ったばかりの寝入りっぱなぐらいだったコトを見て取り、紅夜は頷く。

 「ああ…イイぜ……つーか…そのわるかったな」

 ちょっとすまなそうに言う紅夜に、和輝は首を振る。

 「気にすんなよ……それに〈レイ〉と〈サラ〉だったら、俺が桜……
  いや、正確には、白夜さんに雇われてだけどな……ここに来た初日にも

  ペットハウスから脱走して、ここに遊びに来ているからさ
  ああ、それと、ここの玄関の鍵とクッキー缶、持っていてくれよ
  んじゃ、たったと言って来るから………」

 そう言って、軽く手をあげ、和輝は素早く、静かに玄関の中へとスルリッと戻って行く。

 和輝は、気配を消したまま、廊下を通り抜け、自分の部屋に戻った和輝は、動きやすいジャージの上下に着替える。

 脱いだパジャマは、洗面所に設置されている洗濯機の中にポイッと投げ込む。

 そして、洗濯機に放り込んである全員の洗濯物を見て、和輝は首を傾げる。

 ふむ…これだと、全員の着替えが入っているな
 どうせだから、色落ちしにくい物だけでもセットしていくか?

 嗚呼…俺ってば、主婦根性が抜けない……はぁ~…まっ…しゃ~ねぇ~か
 幸いなコトに、ここには選り分ける為のカゴも余分にあるしな

 やっぱり、ちゃんとした一定収入のある親父を亡くしたんだから
 節約するのは大事なコトだしな

 ああ…そうだ……せっかく、ここには、2台の洗濯乾燥機付きが
 設置されているんだから、残りももうひとつの方にセットしよう

 セットさえしておけば、明日の朝は洗濯物を畳むだけで済むもんな
 外で待っている紅夜には悪いけど、ぜぇ~んぶセットして行こう

 となると、一度全部出して、2つに選り分けないとな
 ああ、そういえば、まだ風呂の水も抜いて無かったっけ…ラッキー

 給水の設備も付いているヤツだから、まだ温かい風呂水を引っ張ろう
 確か温水の方がね汚れって落ちやすいんだったよな

 和輝は、まだ充分温かさがある抜いていない風呂水を2つの洗濯機に給水しながら、パッパと洗濯物を選り分ける。
 勿論、2台に入れる洗濯物の量が、ほぼ均等になるようにする。

 ヨシ…選り分け完了……っと、まだ引っ張っている最中か?
 まあイイや、こっちが左側で、コレが右側で良いかな?

 ポイポイと選り分けた洗濯物を放り込み、目安で水量をセットして置く。
 洗剤や柔軟剤なども、ちゃんとセットした和輝は、首を傾げる。

 んぅ~と…後は…何処にでも貼れるメモに伝言を書いて………

 グルリっと区割りを見回して、ちょっと考えた和輝は、一番使うだろう鏡を見て頷く。

 ふむ、洗面台の鏡にでもくっつけて置けばイイかな?
 最初に起きたヤツが、見てくれるだろう……たぶん、竜也かな?


 最初に、コレを見た者へ

 全員の洗濯物は2つに分けて
 洗濯乾燥機にかけたから
 乾いたら畳んで置いてくれ
 
 俺は、脱走した3頭を戻しに行く
 そのままペットハウスに泊まるから

              和輝

 まっ…こんなモンかな?…さぁ~て、紅夜が待っているから行くかぁ
 あの3頭は、ちゃんとおとなしく紅夜の言うコト聞いて待っているかなぁ

 流石の和輝も、ちょっと疲れを滲ませた表情で、玄関に向かった





 ◇◇◇◇◇



 

 和輝がゲストハウスに入ったきり、なかなか戻ってこない間、紅夜は3頭の引き綱の先にある輪を手首に引っ掛け、玄関先でへたり込んでいた。

 はぁ~…なんか…流石に…疲れたなぁ~……はぁ~……かったるい
 せぇ~かく帰って来たのに、全然、桜の側に居られないし………

 なんか、ここんところとみに色々とあり過ぎて、俺の処理能力なんて
 もう、パンクしているよ

 冗談抜きで、何時、和輝達が、俺達の存在に疑惑の目を向けるような
 酷いボロを出してもおかしくねぇ~…ってくらいには、不味い状態だよな

 紅夜は、和輝を玄関先で待つ間、手渡されたクッキー缶と玄関の鍵を、無意識に掌の中でもてあそびながら、くらぁ~く考えごとをしていた。

 はぁ~…妹達や幼馴染み達を連れて、大変な和輝には悪いけど……
 俺も疲れているから、無理難題を言っちまうんだよなぁ~

 嗚呼…いっそのこと《光珠》のひとつも、駄目もとでねだってみるかぁ?
 だって、この後、兄上達の愚痴?に付き合うんだからさ

 きっと、白夜兄上も蒼夜兄上も、向こうに戻らなければならない
 時間切れギリギリまで、俺を放してくれないよなぁ……はぁ~……
 たぶん、夜明け寸前まで……いや、下手したら…もっとかも………













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