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第8章 親密な関係になりたい
408★ボルゾイ達のお迎えは、もう到着しているようです
しおりを挟むふっ……いや…紅夜の答えなど、最初からわかっていましたわ…はぁ~…
やっぱり…期待するだけ無駄でしたわねぇ~……くっすん
桜だって、物凄く寂しいのに……紅夜は全然側にいてくれない
とは言っても、仕方がないのも確かなコトです
あと少しの我慢ですわ……それにこの後は和輝も来てくれるはずですし
藤夜兄ぃ様のコトも無事終わったのだし………
和輝1人で、桜の真族への変移に必要な《生気》をまかなえるから
兄ぃ様や姉ぇ様達が《生気》を狩り集めしなくて良くなったのですし
もう諦めるしかないのよねぇ…あと少しの辛抱よ、桜
だから、ここは、紅夜を追及するのは止めておきますわ
「もう……いいですわ…仕方がないコトですもの
どうせ、時間の都合とかで、夜明け前には、兄ぃ様達は本来いる場所に
帰ってしまうのでしょうし………
本邸に行っても〈カオス〉と〈サラ〉を連れて行っても
すぐに、桜のもとに戻って来てくれるのでしょう?
そう思って、我慢することにしますわ……だから、紅夜
さっさと、和輝と一緒に、あの3頭を連れて帰って来て欲しいわ」
桜からお許しの入った言葉をもらい、ホッとした紅夜は、ちょっと困ったような表情で言う。
「ああ…すぐに帰ってくるから……その…ごめんな、桜
蒼夜兄上も白夜兄上も、忙しいひとだから…愛犬の顔を見たら
あっちに跳んで帰っちまうからさ……
そしたら、ゆっくりとできるから、もう少しだけ我慢してくれな
それに、上手くいけば、和輝の妹達と幼馴染み達が数日は居てくれる
なんか、学校の方が臨時休校になりそうから………」
紅夜の言葉に、桜は肩を竦める。
「うん……わかっていますわ、紅夜……取り敢えず、和輝が向こうで
3頭を捕まえて、待っていると思いますから、行って連れて来て……」
「おう…ちょっとだけ、待っていてくれよ…すぐに、連れて来るからよ」
そう言って、ドアを開けて出て行った紅夜を見送った桜は、ひとつ溜め息を吐いて、温め途中だった野菜スープを食べる為に、リビングに併設されたキッチンへと戻って行くのだった。
◇◇◇◇◇
一方、聞くことは聞いたし、紅夜が首輪と引き綱を持って来るという確約をとった和輝は、スマホを切って、無意識に肩を竦める。
ふぅ~……〈カオス〉と〈レイ〉と〈サラ〉の3頭全部で、大脱走ねぇ
つーか、紅夜のヤツ…今頃、やっとペットハウスに戻って来たのか?
いやはや…ご苦労なこった……本当に、不憫なヤツだな
せっかく帰って来たのに…愛する女の側に居たいだろうに………
ああ…きっと、あれだな………自分が桜の側に居たいからってコトで
海外にいる兄貴達を、何らかの方法で呼び出したからだな
錯乱している藤夜さんを、正気に戻す為の儀式の準備のあれこれを
面倒くさがって、兄貴達に丸投げした分のツケだな
……と、なると、本当にペットハウスに戻ったんじゃないな
呼び出した兄貴達から、せっかく無理して一時帰国したんだからって
『自分の愛犬に会いたい』とか言われて、迎えに来たのかな?
うわぁ~……ありそう………いや、マジで、不憫なヤツ
だから、紅夜のヤツ、しぶしぶとペットハウスに戻ったんだな
でもって、ドアを開けた途端に、3頭に飛び出されたんだろうなぁ~
すげぇ~簡単に、理由や状況の想像がつくもんなぁ~………
きっと、ドアを開けた途端に、3頭にダッシュで逃げられるなんて
カケラも思ってなくて、油断していたんだろうなぁ………
まっ……逃亡された理由なんて、どうでもイイか……はぁ~
クスクス………なんつったって、この屋敷のゲストハウスに
短期の住み込みってコトで、優奈や真奈と一緒に泊まった初日にも
〈サラ〉と〈レイ〉はペットハウスを脱走して、こっちに来たもんな
和輝は、ほんの数日前の出来事を思い出して、肩を竦める。
さて、そうなると……やっぱり…もう…絶対に居るよなぁ~…外に
〈サラ〉や〈レイ〉は、俺がゲストハウスに居るの知っているんだから
勿論、藤夜さんを正気に戻す為の儀式の時に〈カオス〉も来ていたから
俺がここに居るコトをちゃんとら認識しているだろうなぁ………
ボルゾイって、足の早い犬種だからなぁ~………はぁ~………
ひとつ大きく溜め息を吐き出した和輝は、自室のドアをそぉ~っと開けて、辺りの気配を探る。
ん~と…良し…優奈も真奈も深く眠っているな
輝虎は?……うん…大丈夫、熟睡かっとんでいるな
神経質な竜也は?………ああ、やっぱり気疲れしたんだなぁ
もう寝ているから、オッケーだな
竜姫と乙姫も、かなり深く眠っているな…よしよし
これなら『何処に行くんだ?』なんて、聞かれずに済むな
ふぅ~……ホッとするぜ
さぁ~て、んじゃぁ…ちゃっちゃと着替えて………って?……
うふふふ………やっぱり…もう居るのかあいつら…今気配を感じちまった
ちっ…しょうがねぇ~な………ジャージに着替えたかったんだけとなぁ
鳴かれると不味いから、このまま外に出るか?
あっ…そうだ…あいつら……クッキーでちょとごまかすか?
そう思いついた和輝は、おやつ用として用意しておいたクッキー缶に手をのばす。
ん~…と、小さい方の缶で良いかな?どうせ、ペットハウスに行くんだし
気配を綺麗に絶ったまま、和輝はそぉ~っと自室から出る。
和輝は、貴重なアルバイト先という認識から、1人で部屋を使っていたので、同室者が居ないコトもあって、部屋から出ても誰にも気付かれるコトは無かった。
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