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第8章 親密な関係になりたい

403★おねだりされたけど上げませんでした*side蓬莱家の桜*

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 和輝と紅夜が帰宅したんで、ルンルンで迎えに出向いたら……たら……
 地下室にある座敷牢から、正気を失った藤夜兄ぃ様が出て来て……

 赤光を放つ双眸で和輝に襲い掛かって、その首筋に噛み付いたのを見た時
 正直に言いますと、もう、絶対にダメだと思いましたわ…万事休す…と

 それなのにですわ…不思議なぐらい、藤夜兄ぃ様がしたおぞましいコトを
 みぃ~んな気にもしていないのですもの?……流石に?が浮かびましたわ

 紅夜ですら、腕に抱えた〈カオス〉が居なかったら気絶していたでしょう
 見掛けに反して、紅夜は繊細だから…よくぞ、倒れなかったと思いますわ
 
 そんな中で、首筋を齧られた和輝も、それを目の当たりにした竜也君や
 竜姫ちゃんなんて、テキパキと藤夜兄ぃ様をあて落としをしているし
 意識を失った藤夜兄ぃ様を、気にもしないで輝虎君が運んでくれましたわ

 その後で『いやびっくりしたねぇ~……』って言いながら夜食を………
 みぃ~んな、平然としていて、桜達の方がドキドキしましたわ

 夜食を食べるだけ食べて落ち着いた和輝達は、自分が〔バンパイア〕だと
 思い込んでしまった藤夜兄ぃ様を、正気に戻す為の話しを始めましたわ

 どうして、あの流れで、自然とそういう風になったのか今も不思議ですわ  
 忌み嫌い、処分しようと走らずに、そこで、正気にしようと…………

 ただ、その中の会話から、藤夜兄ぃ様みたいな例はわりとあるコトだと
 流石の桜でも理解わかりましたわ

 そう、和輝達は、こういうコトに慣れているのだと………
 だから、藤夜兄ぃ様を正気に戻す為の儀式をする言った時
 桜は反対しませんでしたわ

 実は、長男であり真族として実力がおありにある蒼夜兄ぃ様が
 何度も、藤夜兄ぃ様を正気に戻そうとして失敗していたコトを
 だから、和輝達には告げませんでしたわ

 そして、見事、和輝達は藤夜兄ぃ様を正気に戻しましたわ
 あれだ、蒼夜兄ぃ様が苦心しても、成功しなかったモノを………

 そして、儀式の成功を祝って、プチパーティーを開いて…………
 やっぱり、そこでも桜はしっかりと食べましたわよ

 こうして考えても、イベントがいっぱいあったぶんだけ食べている
 いや、ある意味で、それ以上に何度も食べているんだけど………

 桜は、紅夜や白夜兄ぃ様が心配するほど、小食だったはずなのに?
 はて?…桜の身体は、どうなっているのでしょうか?

 これは、真族に変異中だから、こんなにカロリーとエネルギーの
 消費が大きいというコトなのかしら?

 和輝が高校から帰って来てから、食事&お茶の回数を指折りした桜は、不可解という表情で首を傾げる。

 はぁ~…何がどうしてだか、考えても理解わかりませんわね
 ただ、食べても食べても、直ぐに物凄くお腹がすごく空くのは確かですわ

 ああ…もう、グズグズと考えても、意味は理解わかりませんけど
 とにかく、このどうしようもない空腹感を癒す為にも、ここはさっさと
 和輝が作ってくれた野菜スープを食べましょう

 そう決断した桜は、すたんっとソファーから立ち上がり、握りこぶしで宣言して言う。

 「悩んでも仕方ありませんわ……決めましたわ……和輝の作った
  お野菜たっぷりスープを食べて…この空腹を癒しますわ

  きっと、お腹が空いているから、気分が滅入るんですわ
  はぁ~…紅夜は戻って来ないし……寂しいですわ」

 その言葉に、桜の足元に居た3頭は、ガバッと立ち上がり、お耳をピンッと立てて、お座りポーズでえっへら笑いを浮かべて、桜を見上げる。

 が、とうの桜は、そんな3頭へと気配りしてやる余裕もなく、キッチンの電磁調理器の上に乗せられている、圧力なべに入った野菜スープを飲む為に、ズカズカと歩く。

 胸張りポーズも空しく、すげなく置き去りにされた3頭だったが自分達も野菜スープが欲しくて、すかさず桜の後をついて歩く。

 しかし、桜は、3頭に野菜スープを分けてやる気など、最初から持ち合わせてなかった。
 だから、素っ気なく自分の回りでアピールする3頭の姿に知りぬふりをする。

 ああ…せっかくですもの、温めて食べましょう
 やはり、冷えているスープよりも温かいモノが良いわ

 そう思いながら、桜は電磁調理器の上に鎮座する圧力なべを見下ろす。

 ふむ……圧力なべで全部温めると、時間がかかってしまいますわね
 ここは…そうですわ、桜が食べる分だけよそって、レンジで温めましょう
 それなら、すぐに食べられますものね

 桜は、棚の中からスープ皿を取り出し、温水で軽く表面を洗い流す。
 和輝が、洗われて乾いた状態でしまっておいた皿を、そうしていた時に、桜はなんとなく聞いてみたのだ。

 『和輝?どうして洗浄済みの皿をわざわざ洗うの?』と。

 桜がそう聞くと、和輝は少し苦笑しながら、なぜかを答えた。

 『うん…ああ…確かに、このペットハウスは一見すると綺麗だけどな
  ちゃんと、清潔に保たれているようにみえるんだけどなぁ……

  結構、知らないうちに、外から不衛生なハエやゴキブリなんかが
  侵入しているもんなんだよ

  ほら、こいつらって、結構、ここペットハウスから逃亡するだろう
  ようするに、そういう時に、ドアとかが開けっ放しになるからさ

  そうすると、知らないうちに、家ん中に侵入していたりするんだ
  そいつらハエやゴキブリが、夜中に徘徊している可能性があるからな

  こうして流水でサッと洗い流すだけでも、つけられた汚れの90%以上
  綺麗に洗い流されるんだ

  まっ…極端に綺麗にし過ぎるのは、かえって身体に良くないけれどな
  こうして、衛生を考えるのは大事なコトなんだぞ』

 

 






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