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第8章 親密な関係になりたい

399★取り敢えず、和輝達のコトは保留+桜の思い出*side蓬莱家*

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 《光珠》という名の《生気》の塊りを難なく作る、生きた製造機と言っても過言では無い和輝は、白夜達・真族にとっては、とても魅力的な存在だった。

 勿論、和輝達兄妹及び、その身内な幼馴染みや友人達は、白夜達・真族をかっこうの獲物と思っている、おぞましい〔バンパイア〕達や〔グール〕達にとっても、欲しがる意味は違えど、ひどく魅力的な存在であった。

 後者の〔バンパイア〕達や〔グール〕達にとっては、文字通り美味しそうな獲物なのだ。

 三人三様の思考に入り、しばらく沈黙の後、白夜が思い切って切り出す。

 「取り敢えず、和輝君達のコトは保留としよう
  私達にも、考える時間が必要だ

  なに、早急に何らかの対策をしなければならない状態ではない
  紅夜、勝手に動くなよ……良いですね、蒼夜兄さん」

 もう、この話しは終わりと、話しを切り上げる白夜に肩を竦める。

 「そうだね…っと、そうそう…紅夜、私にも【記憶】を観せて欲しいな」

 蒼夜からそう言われた紅夜は、ちょっと嘆息してから首を振る。

 「いや……蒼夜兄上、それは、後でってコトで…〈カオス〉や〈サラ〉も
  兄上達に呼ばれるのを待っているだろうし…………
  やっぱり…夜明け待たずにを、元居た場所にもどるんだろ」

 ちょっと上目遣いで、寂しそうにそういう紅夜に、夜明け前に、元居た場所に戻らなければならない蒼夜と白夜は、顔を見合わせてから、肩を竦める。

 白夜よりも時間制限がある蒼夜は、ふっ嘆息として、時計を見てから頷く。

 「ああ……もう…こんな時間なんだね……気付かなかったよ
  本当に、楽しい時というモノは、時間が過ぎるのが早いね

  私に残された時間は、後2時間ちょっとしかないね
  〈カオス〉には、可哀想なコトをしてしまったからね

  それじゃ、早速で悪いけど、連れて来てくれないかい
  まだ、私達は帰国してないコトになっているからね」

 蒼夜の依頼に、紅夜は白夜を振り返って言う。

 「取り敢えず、もう時間が時間ですので、2頭ともすぐに連れて来ますね
  兄上達に残された時間は、あまり無いようですから………

  それで良いですか?白夜兄上?……それと、和輝達の報酬の話しは
  2頭を連れて来た後でと言うコトで、よろしいですか?」

 そう紅夜に確認された白夜は、やっぱりちょっと嘆息して頷く。

 「ふぅ~……ああ、そうだな……私も、蒼夜兄さんほどはキリキリに
  時間的に切羽詰まっては居ないが……やはり…完全な夜明け前には
  あちらに戻らなければならないからな

  まだ、私はあの地のホテルに滞在しているコトになっているからな
  では、すまないが、2頭を連れて来てくれないか、紅夜」

 「はい、では、直ぐに連れて来ますので、少々お待ちください」

 2人の承諾をとった紅夜は、そう言ってソファーから立ち上がり、リビングを出たのだった。
  

  


 ◇◇◇◇◇





 一方、3頭のボルゾイ…〈レイ〉〈サラ〉〈カオス〉と共に、恋人である紅夜が部屋に帰って来るのをひたすら寂しく待つ桜は拗ねていた。

 まったく、紅夜は、何時までも何をしているのかしら?桜は寂しいのに
 直ぐに、もどって来ると思ったいたのに………どうして帰ってこないの?

 頬をプクッと膨らませ、手持ち無沙汰に新しいスマホをいじりながら、内心て呟く。

 いっそのこと、和輝のコトを呼んでしまえば良いのかしら?
 せっかく、帰って来ましたのに、紅夜は兄ぃ様達にちょくちょく呼ばれて
 全然、桜と一緒に居てくれないんですもの………

 はぁ~……なんか寂しくなったら、お腹が減って来たような気がしますわ
 そうですわ…確か、和輝が作ってくれたケーキが、まだありましたわ

 ああ、そう言えば、たしか スープもたっぷりと残っていたはずですわ
 ケーキの前に、じっくり煮込んだ野菜スープのポトフを食べましょう

 そう考えた途端、桜のお腹が可愛らしくキュルキュルと鳴く。
 空腹感を自覚した桜は、お腹を撫でながら小首を傾げる。

 いったい、桜のお腹はどうしてしまったのでしょうか?
 どちらかというと、桜は、成長期でも小食でしたのに?

 途端に、姉の桃が生きていた時期が、桜の脳裏に思い浮かぶ。

 『ほらほら、桜……野菜も残さないで食べてね

  今日は、白夜さんが新鮮なモノを手に入れて来てくれたから
  お野菜のスープを作ったのよ

  どれもこれも、味が濃くて、美味しいわよ』

 桃がエプロンをつけて、出来立ての手料理をテーブルに起きながら言うと、白夜が静かに微笑わらって頷く。

 『そうだな…桜は小食だからな……桃が作った料理を全部とは言わないが
  せめて、半分ぐらいたべられるようにならないとな』

 懐かしいですわね………まだ、あの頃は、白夜兄ぃ様が真族という
 特殊な種族の人だとは、知りませんでしたけど

 桃姉ぇ様と桜と、家族3人で暮らすのは、とても楽しかったですわ
 よく、白夜兄ぃ様は、フラリッと消えましたけどね

 数日すると、帰って来る時には、両手に余るような野菜や肉を含めた
 様々な食料品を持って帰って来てくれましたわね

 今更の疑問ですが?白夜兄ぃ様は、どこからあれら多くの食料品や
 香辛料などを手に入れてきていたのかしら?

 











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