400 / 446
第8章 親密な関係になりたい
399★取り敢えず、和輝達のコトは保留+桜の思い出*side蓬莱家*
しおりを挟む《光珠》という名の《生気》の塊りを難なく作る、生きた製造機と言っても過言では無い和輝は、白夜達・真族にとっては、とても魅力的な存在だった。
勿論、和輝達兄妹及び、その身内な幼馴染みや友人達は、白夜達・真族をかっこうの獲物と思っている、おぞましい〔バンパイア〕達や〔グール〕達にとっても、欲しがる意味は違えど、ひどく魅力的な存在であった。
後者の〔バンパイア〕達や〔グール〕達にとっては、文字通り美味しそうな獲物なのだ。
三人三様の思考に入り、しばらく沈黙の後、白夜が思い切って切り出す。
「取り敢えず、和輝君達のコトは保留としよう
私達にも、考える時間が必要だ
なに、早急に何らかの対策をしなければならない状態ではない
紅夜、勝手に動くなよ……良いですね、蒼夜兄さん」
もう、この話しは終わりと、話しを切り上げる白夜に肩を竦める。
「そうだね…っと、そうそう…紅夜、私にも【記憶】を観せて欲しいな」
蒼夜からそう言われた紅夜は、ちょっと嘆息してから首を振る。
「いや……蒼夜兄上、それは、後でってコトで…〈カオス〉や〈サラ〉も
兄上達に呼ばれるのを待っているだろうし…………
やっぱり…夜明け待たずにを、元居た場所にもどるんだろ」
ちょっと上目遣いで、寂しそうにそういう紅夜に、夜明け前に、元居た場所に戻らなければならない蒼夜と白夜は、顔を見合わせてから、肩を竦める。
白夜よりも時間制限がある蒼夜は、ふっ嘆息として、時計を見てから頷く。
「ああ……もう…こんな時間なんだね……気付かなかったよ
本当に、楽しい時というモノは、時間が過ぎるのが早いね
私に残された時間は、後2時間ちょっとしかないね
〈カオス〉には、可哀想なコトをしてしまったからね
それじゃ、早速で悪いけど、連れて来てくれないかい
まだ、私達は帰国してないコトになっているからね」
蒼夜の依頼に、紅夜は白夜を振り返って言う。
「取り敢えず、もう時間が時間ですので、2頭ともすぐに連れて来ますね
兄上達に残された時間は、あまり無いようですから………
それで良いですか?白夜兄上?……それと、和輝達の報酬の話しは
2頭を連れて来た後でと言うコトで、よろしいですか?」
そう紅夜に確認された白夜は、やっぱりちょっと嘆息して頷く。
「ふぅ~……ああ、そうだな……私も、蒼夜兄さんほどはキリキリに
時間的に切羽詰まっては居ないが……やはり…完全な夜明け前には
あちらに戻らなければならないからな
まだ、私はあの地のホテルに滞在しているコトになっているからな
では、すまないが、2頭を連れて来てくれないか、紅夜」
「はい、では、直ぐに連れて来ますので、少々お待ちください」
2人の承諾をとった紅夜は、そう言ってソファーから立ち上がり、リビングを出たのだった。
◇◇◇◇◇
一方、3頭のボルゾイ…〈レイ〉〈サラ〉〈カオス〉と共に、恋人である紅夜が部屋に帰って来るのをひたすら寂しく待つ桜は拗ねていた。
まったく、紅夜は、何時までも何をしているのかしら?桜は寂しいのに
直ぐに、もどって来ると思ったいたのに………どうして帰ってこないの?
頬をプクッと膨らませ、手持ち無沙汰に新しいスマホをいじりながら、内心て呟く。
いっそのこと、和輝のコトを呼んでしまえば良いのかしら?
せっかく、帰って来ましたのに、紅夜は兄ぃ様達にちょくちょく呼ばれて
全然、桜と一緒に居てくれないんですもの………
はぁ~……なんか寂しくなったら、お腹が減って来たような気がしますわ
そうですわ…確か、和輝が作ってくれたケーキが、まだありましたわ
ああ、そう言えば、たしか スープもたっぷりと残っていたはずですわ
ケーキの前に、じっくり煮込んだ野菜スープのポトフを食べましょう
そう考えた途端、桜のお腹が可愛らしくキュルキュルと鳴く。
空腹感を自覚した桜は、お腹を撫でながら小首を傾げる。
いったい、桜のお腹はどうしてしまったのでしょうか?
どちらかというと、桜は、成長期でも小食でしたのに?
途端に、姉の桃が生きていた時期が、桜の脳裏に思い浮かぶ。
『ほらほら、桜……野菜も残さないで食べてね
今日は、白夜さんが新鮮なモノを手に入れて来てくれたから
お野菜のスープを作ったのよ
どれもこれも、味が濃くて、美味しいわよ』
桃がエプロンをつけて、出来立ての手料理をテーブルに起きながら言うと、白夜が静かに微笑って頷く。
『そうだな…桜は小食だからな……桃が作った料理を全部とは言わないが
せめて、半分ぐらいたべられるようにならないとな』
懐かしいですわね………まだ、あの頃は、白夜兄ぃ様が真族という
特殊な種族の人だとは、知りませんでしたけど
桃姉ぇ様と桜と、家族3人で暮らすのは、とても楽しかったですわ
よく、白夜兄ぃ様は、フラリッと消えましたけどね
数日すると、帰って来る時には、両手に余るような野菜や肉を含めた
様々な食料品を持って帰って来てくれましたわね
今更の疑問ですが?白夜兄ぃ様は、どこからあれら多くの食料品や
香辛料などを手に入れてきていたのかしら?
10
お気に入りに追加
371
あなたにおすすめの小説
あやかし第三治療院はじめました。
にのまえ
キャラ文芸
狼環(オオカミ タマキ)はあやかしの病魔を絵でみつける、病魔絵師を目指す高校生。
故郷を出て隣県で、相方の見習い、あやかし治療師で、同じ歳の大神シンヤと共に
あやかし第三治療院はじめました!!
少しクセのある、あやかしを治療します。
〈完結〉続々・50女がママチャリで北海道を回ってきた・道南やめてオロロン逆襲のちにスポークが折れてじたばたした話。
江戸川ばた散歩
エッセイ・ノンフィクション
北海道を7月にママチャリで回ること三年目。
今回はそれまでのマルキンのママチャリでなく、ブリヂストン様のアルベルトロイヤルで荷物をしっかりしたバッグに入れて積んでみました。
するとどんなことが起こったか!
旅行中に書いたそのまんまの手記です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
彩鬼万華鏡奇譚 天の足夜のきせきがたり
響 蒼華
キャラ文芸
元は令嬢だったあやめは、現在、女中としてある作家の家で働いていた。
紡ぐ文章は美しく、されど生活能力皆無な締め切り破りの問題児である玄鳥。
手のかかる雇い主の元の面倒見ながら忙しく過ごす日々、ある時あやめは一つの万華鏡を見つける。
持ち主を失ってから色を無くした、何も映さない万華鏡。
その日から、月の美しい夜に玄鳥は物語をあやめに聞かせるようになる。
彩の名を持つ鬼と人との不思議な恋物語、それが語られる度に万華鏡は色を取り戻していき……。
過去と現在とが触れあい絡めとりながら、全ては一つへと収束していく――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
イラスト:Suico 様
白鬼
藤田 秋
キャラ文芸
ホームレスになった少女、千真(ちさな)が野宿場所に選んだのは、とある寂れた神社。しかし、夜の神社には既に危険な先客が居座っていた。化け物に襲われた千真の前に現れたのは、神職の衣装を身に纏った白き鬼だった――。
普通の人間、普通じゃない人間、半分妖怪、生粋の妖怪、神様はみんなお友達?
田舎町の端っこで繰り広げられる、巫女さんと神主さんの(頭の)ユルいグダグダな魑魅魍魎ライフ、開幕!
草食系どころか最早キャベツ野郎×鈍感なアホの子。
少年は正体を隠し、少女を守る。そして、少女は当然のように正体に気付かない。
二人の主人公が織り成す、王道を走りたかったけど横道に逸れるなんちゃってあやかし奇譚。
コメディとシリアスの温度差にご注意を。
他サイト様でも掲載中です。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎ 〜Romance in Abū Dhabī〜 【Alphapolis Edition】
佐倉 蘭
キャラ文芸
都内の大手不動産会社に勤める、三浦 真珠子(まみこ)27歳。
ある日、突然の辞令によって、アブダビの新都市建設に関わるタワービル建設のプロジェクトメンバーに抜擢される。
それに伴って、海外事業本部・アブダビ新都市建設事業室に異動となり、海外赴任することになるのだが……
——って……アブダビって、どこ⁉︎
※作中にアラビア語が出てきますが、作者はアラビア語に不案内ですので雰囲気だけお楽しみ下さい。また、文字が反転しているかもしれませんのでお含みおき下さい。
笛智荘の仲間たち
ジャン・幸田
キャラ文芸
田舎から都会に出てきた美優が不動産屋に紹介されてやってきたのは、通称「日本の九竜城」と呼ばれる怪しい雰囲気が漂うアパート笛智荘(ふえちそう)だった。そんな変なアパートに住む住民もまた不思議な人たちばかりだった。おかしな住民による非日常的な日常が今始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる