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第8章 親密な関係になりたい

396★真族のコトを和輝達に話せたら良いのに………*side蓬莱家*

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 ふ~ん………和輝のヤツ、俺を使って、あの【狩る者】達を
 つり出そうってのかよ?

 確かに、戦力にならないわ、足手まといだわ、身体の長子も悪いわの
 三拍子揃った桜よりも、俺の方が良いのは確かだな

 もし、本当に和輝に誘われたら、俺は誰が止めても、絶対に参戦するぞ
 あいつらは、俺の大事な桜を狙ったんだからな

 それに、和輝達と一緒なら、怖いモンなんてねぇ~しな
 いざって時は、和輝に《光珠》をもらえば良いんだし

 などと、少しお気楽なコトを考えていた紅夜は、扉が開く音に思考を破られ、反射的に音のした方に振り返る。

 「……あっ……おかえりなさい、蒼夜兄上
  その…藤夜兄上の様子はどうですか?」

 振り返った紅夜の心配そうな表情に、蒼夜はにっこりと笑う。

 「大丈夫だよ、紅夜………君は、本当に心配性だねぇ~……クスクス
  本当は、桜の為に狩り集めた《生気》だったけどねぇ~………

  今の桜には、和輝君という最高の《生気》提供者が居るからってコトで
  藤夜に、直接注入して来たから………あれなら、朝までぐっすりだよ」

 蒼夜の言葉に、紅夜はホッとした表情になり、白夜へと向き直る。
 
 「蒼夜兄さん、藤夜兄さんのコトですが、本気で治療を考えてみますか?」

 白夜の言葉に、蒼夜は少しだけ苦い顔をする。

 「私も、できればそうしたいと思うけどね
  どこまで、和輝君達のコトを信用して良いかがねぇ~………

  ………と、そう言えば白夜、紅夜には、もう言ったのかい?
  末っ子のコト?」

 はぁ~…藤夜を寝かせて帰って来たら、即、その話題かい?
 私だって、本当にそうできるなら、そうしたいよ

 藤夜のあの姿は、あまりにも可哀想すぎて………
 でも、まだ、和輝君達を信用しきれないのも確かだ

 もしもを考えてしまうと………どうしても、怖いんだよね
 だから、藤夜を心配しているのは理解わかるけど、ごめんね

 だから、ここは、別の話しで、白夜と紅夜の興味をそらして、ごまかそう
 実際、父上の最後の落とし胤だろうしね

 彼のコトも、ああは言ったけど、早急に片付けた方が良いだろうからね
 本気で【狩る者】達も、おぞましき〔バンパイア〕達も蠢きだしたからね

 白夜と蒼夜を交互に見てから『何のこと?』と、紅夜は首を傾げる。

 えっとぉ~…今、蒼夜兄上が言った末っ子って、もしかしなくても……
 俺のコトじゃねぇ~気がするんだけどぉ?

 あっ…そうなるとぉ……新しい兄弟ってコトかな?
 それも、末っ子って言うんだから、弟になる子が見付かったってコトか?

 首を傾げた紅夜は、白夜に向き直って聞く。

 「えっとぉ~…何の話しですが?末っ子って?……白夜兄上、蒼夜兄上
  もしかして、父上の落とし胤で、新しい子が見付かったんですか?
  末っ子ってコトは、俺より年下ってコトですよね」

 嬉しさを滲ませて言う紅夜に、蒼夜はクスッと笑う。

 やっぱり、紅夜も弟が欲しかったんだねぇ~……見付けて良かったよ
 流石に、あれぐらいの年になると、下が欲しくなるものなのかな?

 「ああ、そうだよ……名前は、シリブローリェフ・ホォーラと言ってね
  現在16歳なんだ…まぁ…見掛けは、かろうじて10歳くらいかなぁ?

  今ね、ある国の児童福祉施設に居るんだよね
  だから、なかなか父上の子として、見付からなかったんだ

  なんと言っても、見掛けが10歳ぐらいだからさ
  父上の子なら最低でも15歳前後だと思っていたからねぇ~……

  ちなみに、施設の職員はね、彼のコトを病気だと思っているんだ
  そう、成長ホルモンがちゃんと分泌できない特殊な病気だと

  『ホルモン分泌不全低身長症』とか言う、珍しい病気だとね
  私達、真族の特性が、かなり強く出たらしくてねぇ…成長が遅いんだ

  普通、私達真族と人間のハーフだと、成長が良いはずなんだけどねぇ
  だから、そういう意味では、期待できる《能力》持ちかもしれないね」

 蒼夜がそう丁寧に説明すると、紅夜は耳と尻尾がニョキニョキッと生えてきそうなぐらい喜ぶ。

 勿論、生えた耳はピンッと立って前を向き、尻尾はパタパタと振られる。
 というような、幻影が見えそうなほど、現金にも、嬉しそうな表情になる。

 勿論、真族という特殊な血を引いてはいても、獣人ではないので、それはありえないコトなのだが………そのぐらい、紅夜は嬉しそうにしていた。
 そんな紅夜の姿に、白夜は微笑みを浮かべて言う。

 「時期を見て、末っ子を迎えに行かねばならないと思っているのだが
  迎えに行く時は、お前も一緒に迎えに行くか?紅夜?」

 白夜からの誘いに、紅夜は嬉しそうに頷きかけてから、ハッとしてポリポリと頭を掻いて首を振る。

 「……いや、やっぱり…いいです……今は、桜が動ける状態じゃないので
  せっかく、仕事の方が俳優志望で、進退の協議中で撮影が中止になって
  日本に居られるの時に、あまりこの屋敷を離れるわけにいきませんから

  はぁ~…マジで…和輝達が、完全に俺達の味方になってくれて
  何時でも動員できるならなぁ~……なんの心配も無いのになぁ~……」

 本音を零れ落とす紅夜に、蒼夜と白夜は微苦笑を浮かべる。

 「まだ、私達のコトを話すのは、時期尚早だろう
  いくら桜の異変や、藤夜兄さんの暴挙を許容してくれたとはいえ……

  だが、いずれは、きちんと話して、受け入れてもらうつもりだ
  だから、もう少しだけ、待っていてくれ………」













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