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第8章 親密な関係になりたい

384★たぶん実年齢は16歳、見掛けは10歳?*side蓬莱家*

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 白夜の質問のオンパレードに、蒼夜は内心でほぉ~っと溜め息を吐き出す。

 ふぅ~…危ない危ない……良かったよ、白夜が父上の残した新しい子に
 興味を持ってくれて………

 また、白夜があの時みたいに『なぜ、私が当主なんです』なんて
 ごねだしたら、コトだからねぇ~………

 あの時の怒り狂う白夜を説得するのは、本当に大変だったからねぇ……
 白夜こそが、真族宗主・蓬莱家の正当な当主だという、長老達に向かって

 『なにを言うかっ貴様らっ…蒼夜兄さんは、私と同じ父上の血を引く…』

 と、激怒した時は、本当に宥めるのが大変だったからねぇ~…はぁ…~
 ここで、白夜にごね負けたら、今の気楽な立場では居られなくなって
 しまうのは確実だからねぇ………

 可哀想だとは思うけれど、やっぱり当主は白夜の方が向いているからね
 私は、こうして、まだまだ各地にいるかもしれない、父上の落とし胤を
 捜し歩く、気ままな生活をしたいからねぇ~………

 なにより、血族の探査能力は私が一番だと自負しているしね
 本当に、ごめんね、白夜

 心の中で両手を合わせつつも、蒼夜は何時もと変わらない、穏やかな表情を保っていた。
 蒼夜が、そんなコトを考えているとは夢にも思わない白夜は、身を乗り出して聞く。
 そんな白夜に、蒼夜は優し気な表情を保ったまま、何とも言えないモノを滲ませながら言う。

 「シリブローリェフ・ホォーラ…そう、男の子で実年齢はたぶん16歳
  ただし、見た目はせいぜいが……そうだねぇ~…10歳ぐらいなんだ

  ちらっとしか調査できなかったんだけどね
  ホォーラって、たぶん蓬莱から取ったなんじゃないかな?

  名前の方は、確か銀色の獅子とかいう意味だったかな?
  スラヴ系にしては、かなり色白の子だったよ

  髪色が灰褐色?ブルーグレイ?蒼銀というよりは少し灰色よりかな?
  瞳がなんとも綺麗な子だったよ

  どうも、感情によって変色するみたいだし
  かなり小柄だから、栄養状態も良いとは言えない感じだったね」

 白夜は、蒼夜の報告に、片手で両目を覆い、半分腰を浮かして乗り出していた身を、ドサッとソファーに預けて、疲れたような口調で聞く。

 クッ……もっと早く、見付けられていれば………
 見掛けが10歳ぐらいとは……流石に予想以外の姿だ

 栄養状態が良くないとは?………いや、実年齢が16歳でその姿とは
 落ち着け白夜、ちゃんと情報を整理しなければ………

 いくら藤夜兄さんを、正気に戻す儀式を行う必要があったとはいえ
 一時的に、放置できる程度ではあるというコトだろう

 蒼夜兄さんの様子を考えれば、そこまで悪い状態ではない…はず
 取り敢えず、私達の異母弟というなら、その子の最善を考えねば……

 大きく深呼吸をして、双眸を覆った手を外しながら、白夜は蒼夜に問う。

 「それで、周りの人間の反応はどうなんですか?
  栄養状態が悪かったとしても、そこまで成長しないコトを
  周囲の人間は、おかしいと思っていないんですか?」

 しかし、16歳というと…時期から考えると……
 藤夜兄さんと一緒に、父上が【狩る者】達に襲われる少し前辺りか……

 そうなると、本当に、父上の最後の子かも知れないな
 いや、見落としている子も、まだたくさんいるかもしれないが………

 年齢を考えたら、居てもその子より年下は1人か2人だな
 父上は、基本的に抱え込むのは、常にひとりだから…………

 まずは、その見付かった子の対処からだ
 事実、父上の子で異母弟ならば、新しい血だ
 喜んで我が家に迎え入れよう

 まぁ…蒼夜兄さんの嗅覚に引っかかったんだ、まず間違いないだろう
 そういう意味で、ハズレを引いたコトはないから、異母弟だろう

 ちょっと頭痛がするポーズで、少し落ち着きを取り戻した白夜からの問いに、蒼夜はにっこりと笑って言う。

 「ああ、今のところは問題ないと思うよ」

 クスッと意味深に笑って言う蒼夜に、白夜は首を傾げる。

 問題ない?…見掛けが実年齢より幼いのに?…それは、どういうことだ?
 人間達は、異質なモノを感じ取れば、容赦なく排除にかかるはずだが?

 我々のような、異質さを平然と許容し、容認する和輝達のような人間は
 本当に、極稀ごくまれなのだが?

 「それは、周囲の者達から、不審に思われていないといコトですか?」

 白夜の問いかけに、蒼夜はクスッと嗤う。

 「……うん…正解……そういうコト」

 蒼夜のもったいぶりに、白夜は率直に聞く。

 「どうしてと聞いても、良いですか?」

 話しの先を急ぐ白夜に、蒼夜はそれ以上話しを引き延ばさずに答える。

 「それはね、彼のこれまでキビシイ生活の環境と共にね
  特殊な病気だと思われているからなんだ」

 蒼夜の言葉に、白夜はわけがわからないという表情で、首を傾げる。

 「生活環境は理解わかりますが……特殊な病気ですか?」

 不審そうに言う白夜に、蒼夜は説明を加える。

 「そう、成長できない病気だと思われている」

 蒼夜の話しに、白夜は不可解そうな表情で復唱する。

 いや、それってたんに、父上の血が……真族の特色が強く出ただけでは?
 えぇ~とぉ……でも、それが…そこでは病気と認識されるのか?

 「成長できない病気……ですか?」
 

 


 






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