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第8章 親密な関係になりたい
382★長老達が寄り集まる長老会って何の意味があるんでしょう?*side蓬莱家*
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蒼夜の言葉に、長女の見掛けとかけ離れた高い戦闘能力と治癒能力を思い起こして、どんなコトをしでかすかを想像して、白夜はプルプルと首を振る。
「あまり怖いコトを言わないで下さい、蒼夜兄さん
それでも、まだ椛姉さんは理性的だから良いじゃないですか
話せばちゃんと話しを聞いて、合理的だと思えば指示に従ってくれます
それよりも、私は帰って来た柊姉さんや楓姉さんのコトを考えると
頭が痛いんですから………
あの2人は《力》こそすべてだって、力尽くでごり押しするんですから
確か、柊姉さんや楓姉さんは、長老達が連れて来た男達と力比べしたんですよね
血筋だけで選んだ、父上とさほど年齢の変わらない者達を連れて来て
激怒した姉さん達は『身の程をわきまえないこと思えないように』って
立候補した男達全員を、立ち上がれない程叩きのめして
そのまま去勢するって物凄かったって聞いてますよ
なんでも、私が怒って隠れ里から離れて、桃と桜と居る時に
そういうコトをしでかしたと聞いてますよ
ただ、今回は物凄く幸いなコトに藤夜兄さんが正気に戻っているんで
姉さん達は、藤夜兄さんを構ってくれるとは思うんですよね」
純血の白夜と父上が居ないのを良いコトに、勝手に椛姉さんに
自分達が選んだ婿をあてがおうとして、コテンパンにされたというのに
懲りずに、柊や楓にも同じコトするんだから
あの時は、ほんとぉぉぉぉ~に大変だったよ、いや本当に泣きたかった
静かに激怒する椛姉さんと、威圧全開放の柊や楓
いくら私が、純血種にほぼ近いとはいえ、怖かったからねぇ~………
血筋にこだわるっていうんなら、その序列に従って欲しいもんだよ
変な妄執にかられて、純血種にこだわる長老達の好き勝手をさせるから
新しい子供が生まれなくなっているというのに………
そろそろ本気で、真族の者達と袂を別たなければならないかな?
長老達に従う者達に、あの隠れ里を明け渡して、私達は旅だとう
とは言っても、もう、この国のこの地に足場は作ってあるからね
次に、私達の気持ちをないがしろにするなら、決断する時かもしれないね
蒼夜は心の中でそう呟いて、父親亡き後、唯一の純血となってしまった白夜へと憐憫の視線で言う。
「ごめんね白夜、私も、隠れ里に残った母上を危険に晒せないから
長老達に強く言えないんだ」
隠れ里に残る蒼夜の儚げな母親を思い出しつつ、白夜は肩を竦めて言う。
「ふっ……こればかりは、しかたがありませんから……
私達兄弟姉妹の中で、両親が共に、完全な純血なのは私だけですから」
自分が受け継いだ、純粋な真血がゆえと、理解っている白夜は、哀しそうに首を振る。
そんな白夜に、蒼夜は重く溜め息を吐く。
「あそこまで、真血の純度にこだわり、自分達で選んだ長なのだから
その命令は絶対と随従するならまだしも………
唯一絶対のはずの、長である白夜の足を引っ張るコトはするくせに
いざ、一族の存亡の為にも、結束が必要だって時に………
あのジジイ連中は、全然協力しようって気がないんだからね
本当に、困った人達だよ」
そんな心優しい長兄・蒼夜の言葉に、白夜は哀愁を滲ませた表情で首を振る。
「本当に…なんの為に、長老会などというモノが存在するのか………
その年の功で、一族を纏める為の補助をしてくれるならまだしも
余計なコトばかりにクチバシを突っ込んで、妙な自己主張をして
一族に、いらぬ混乱ばかりを引き起こす
本当に、どうにかならないものかな?……はぁ~……
桃と桜と一緒に、身軽に暮らしていたころが懐かしいよ」
長としての苦労を滲ませる白夜の発言に、蒼夜は肩を竦める。
そんな穏やかで冷静な蒼夜の性格をみるにつけ、白夜は自分の至らなさに歯噛みする。
蒼夜兄さんが温厚なのを良いコトに、あやつらは、言いたい放題しおって
あぁ~…腹が立つ……今、思い出しても、はらわたが煮え繰り返るわ
その思いのまま、白夜は蒼夜についついグチってしまう。
「だいたい、真族の長の地位も、当主に誰が立つかを決めるのは
私達蓬莱を名乗る兄弟姉妹の間で決めれば良いコトのはずなのに………
長も、当主も、真血の濃さから言えば、蒼夜兄さんでも良いはずです
知性・教養・人格、そして、真族の《能力》……そのどれをとっても
蒼夜兄さんは、なんら私と劣るところなど無いというのに………
いや、人格という意味で言うなら、出奔したという瑕疵があり
血筋的にも、血の濁りという問題を抱える私などよりも
蒼夜兄さんの方が、よほど秀でているというのに………あやつらは
いや、それ以前が、我が蓬莱家の長子である椛姉さんを
ただ、女性に生まれたというだけで、長の候補から外すのだから
純度という意味で言うなら、蒼夜兄さんとトントンなのに………」
ちなみに、ここでいう蓬莱家とは、真族の宗主の家名を表すモノである。
蓬莱を名字を名乗れるのは、真族の長や当主が認めた場合のみである。
時代によっては、真族の長と、当主が別々の者が担うコトもあった。
現在、それを決める権利があるのは、長と当主の両方を務める白夜だけだった。
閑話休題
白夜は、自分が長男の蒼夜を差し置いて、真族の長と、蓬莱家の当主の両方を自分が継ぐコトになった経緯を思い出して、プリプリと怒る。
「あまり怖いコトを言わないで下さい、蒼夜兄さん
それでも、まだ椛姉さんは理性的だから良いじゃないですか
話せばちゃんと話しを聞いて、合理的だと思えば指示に従ってくれます
それよりも、私は帰って来た柊姉さんや楓姉さんのコトを考えると
頭が痛いんですから………
あの2人は《力》こそすべてだって、力尽くでごり押しするんですから
確か、柊姉さんや楓姉さんは、長老達が連れて来た男達と力比べしたんですよね
血筋だけで選んだ、父上とさほど年齢の変わらない者達を連れて来て
激怒した姉さん達は『身の程をわきまえないこと思えないように』って
立候補した男達全員を、立ち上がれない程叩きのめして
そのまま去勢するって物凄かったって聞いてますよ
なんでも、私が怒って隠れ里から離れて、桃と桜と居る時に
そういうコトをしでかしたと聞いてますよ
ただ、今回は物凄く幸いなコトに藤夜兄さんが正気に戻っているんで
姉さん達は、藤夜兄さんを構ってくれるとは思うんですよね」
純血の白夜と父上が居ないのを良いコトに、勝手に椛姉さんに
自分達が選んだ婿をあてがおうとして、コテンパンにされたというのに
懲りずに、柊や楓にも同じコトするんだから
あの時は、ほんとぉぉぉぉ~に大変だったよ、いや本当に泣きたかった
静かに激怒する椛姉さんと、威圧全開放の柊や楓
いくら私が、純血種にほぼ近いとはいえ、怖かったからねぇ~………
血筋にこだわるっていうんなら、その序列に従って欲しいもんだよ
変な妄執にかられて、純血種にこだわる長老達の好き勝手をさせるから
新しい子供が生まれなくなっているというのに………
そろそろ本気で、真族の者達と袂を別たなければならないかな?
長老達に従う者達に、あの隠れ里を明け渡して、私達は旅だとう
とは言っても、もう、この国のこの地に足場は作ってあるからね
次に、私達の気持ちをないがしろにするなら、決断する時かもしれないね
蒼夜は心の中でそう呟いて、父親亡き後、唯一の純血となってしまった白夜へと憐憫の視線で言う。
「ごめんね白夜、私も、隠れ里に残った母上を危険に晒せないから
長老達に強く言えないんだ」
隠れ里に残る蒼夜の儚げな母親を思い出しつつ、白夜は肩を竦めて言う。
「ふっ……こればかりは、しかたがありませんから……
私達兄弟姉妹の中で、両親が共に、完全な純血なのは私だけですから」
自分が受け継いだ、純粋な真血がゆえと、理解っている白夜は、哀しそうに首を振る。
そんな白夜に、蒼夜は重く溜め息を吐く。
「あそこまで、真血の純度にこだわり、自分達で選んだ長なのだから
その命令は絶対と随従するならまだしも………
唯一絶対のはずの、長である白夜の足を引っ張るコトはするくせに
いざ、一族の存亡の為にも、結束が必要だって時に………
あのジジイ連中は、全然協力しようって気がないんだからね
本当に、困った人達だよ」
そんな心優しい長兄・蒼夜の言葉に、白夜は哀愁を滲ませた表情で首を振る。
「本当に…なんの為に、長老会などというモノが存在するのか………
その年の功で、一族を纏める為の補助をしてくれるならまだしも
余計なコトばかりにクチバシを突っ込んで、妙な自己主張をして
一族に、いらぬ混乱ばかりを引き起こす
本当に、どうにかならないものかな?……はぁ~……
桃と桜と一緒に、身軽に暮らしていたころが懐かしいよ」
長としての苦労を滲ませる白夜の発言に、蒼夜は肩を竦める。
そんな穏やかで冷静な蒼夜の性格をみるにつけ、白夜は自分の至らなさに歯噛みする。
蒼夜兄さんが温厚なのを良いコトに、あやつらは、言いたい放題しおって
あぁ~…腹が立つ……今、思い出しても、はらわたが煮え繰り返るわ
その思いのまま、白夜は蒼夜についついグチってしまう。
「だいたい、真族の長の地位も、当主に誰が立つかを決めるのは
私達蓬莱を名乗る兄弟姉妹の間で決めれば良いコトのはずなのに………
長も、当主も、真血の濃さから言えば、蒼夜兄さんでも良いはずです
知性・教養・人格、そして、真族の《能力》……そのどれをとっても
蒼夜兄さんは、なんら私と劣るところなど無いというのに………
いや、人格という意味で言うなら、出奔したという瑕疵があり
血筋的にも、血の濁りという問題を抱える私などよりも
蒼夜兄さんの方が、よほど秀でているというのに………あやつらは
いや、それ以前が、我が蓬莱家の長子である椛姉さんを
ただ、女性に生まれたというだけで、長の候補から外すのだから
純度という意味で言うなら、蒼夜兄さんとトントンなのに………」
ちなみに、ここでいう蓬莱家とは、真族の宗主の家名を表すモノである。
蓬莱を名字を名乗れるのは、真族の長や当主が認めた場合のみである。
時代によっては、真族の長と、当主が別々の者が担うコトもあった。
現在、それを決める権利があるのは、長と当主の両方を務める白夜だけだった。
閑話休題
白夜は、自分が長男の蒼夜を差し置いて、真族の長と、蓬莱家の当主の両方を自分が継ぐコトになった経緯を思い出して、プリプリと怒る。
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