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第8章 親密な関係になりたい

381★【記憶】を観せる行為はまだ終わらないようです*side蓬莱家*

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 和輝が、監視用の隠しカメラの存在に気付いているかのように、チラリッと流し見た瞬間、蒼夜と白夜は、無意識に互いの手を握りあっていた。

 そして、お互いの顔を見合わせ、無言で、の和輝の強い視線の意味を考える。

 たんなる偶然と呼ぶには、明確な意思を持っての視線だった気がして、それを気のせいだとは思いきれなかった。
 まるで、ゲストハウスの日常を覗き見する自分達をさげすむような強い視線にかんじてしまったのだ。

 白夜は、何とも言えない恐怖心と、同時に、いたたまれないような羞恥心を覚える。
 当然、同じ視線を浴びた蒼夜も、白夜とあまり変わらないモノを感じていた。

 だが、紅夜と藤夜は【記憶】を観るという行為の真っ最中だった。

 そのお陰で、和輝達のまさに核心を突くような会話も、今の強い視線にも気付かなかった。
 その為、蒼夜と白夜の何とも言えない複雑な気持ちや雰囲気にも気付かなかった。

 なんとなく、意識的な逃げの為に、紅夜と藤夜に視線を滑らせた蒼夜と白夜は、お互いの顔を見合わせて嘆息する。

 そして、お互いが何時の間にか、手を握りあっているという事実に気付き、どちらからともなく手を離して、何とも言えない苦笑いを浮かべる。

 その気まずい雰囲気を破ったのは、蒼夜だった。

 「まだのようだねぇ~」

 蒼夜のセリフに、白夜もちょっと呆れ顔で頷く。

 「そのようですね……藤夜兄さんが正気を無くしたときからですからねぇ
  あれから、一族の中にも、色々とありましたからね……はぁ~……」

 白夜の言葉に、蒼夜はクスッと笑う。

 「紅夜は、その派手な見掛けや、職業からは想像つかないほど
  律儀で優しい性格をしているからねぇ~………

  きっと、途中を飛ばしたりしないで、自分の知るすべてを、包み隠さず
  一族で起こったコトを、藤夜に観せてあげているんだろう」

 蒼夜の言葉に、白夜は小さく嘆息する。

 はぁ~…こちら私や蒼夜兄さんには、こちら私や蒼夜兄さんの予定というモノがあったんだがなぁ………

 紅夜の性格を考えれば、正気を失って狂乱していた藤夜兄さんが
 不憫なのだろうが……気持ちはよぉ~く理解わかるのだが………

 私達が、父上を失った、あの時からのコトを考えれば
 かなりの時間をようするだろうな……ふぅ~困ったモノだ

 いくら、その【記憶】を覗き込むという方法を取り入れ、情報を正確に
 それでいて、時間的な意味で凝縮して伝えるにしても………

 やはり、それ相応の時間は必要なのは仕方がないコト……ただ、できれば 
 そういうコトは後日、もっと落ち着いた時にして欲しかったな

 とはいえ、あの様子の藤夜兄さんの様子ではな……はぁ~……

 藤夜兄さんが正気を失う前、蒼夜兄さんは自分の都合が悪くなると
 すぐに有耶無耶にして、はぐらかしていたからなぁ………

 きっと、今を逃したら、説明してもらえないと踏んだんだろうなぁ……
 で、その標的に、素直な紅夜が選ばれたってところだろうな…ふっ

 再び嘆息した白夜に、その気持ちに気付いた蒼夜が首を振る。

 「まぁ…こればかりは、しょうがないよねぇ………
  【記憶】を観るのを、途中で止めさせるのもなんだし」

 蒼夜の発言に、それが良く理解わかっている白夜も頷く。

 はぁ~…こういう時の時間って、ほんとぉ~に長く感じるものだな
 まして、あの時、和輝君と視線が合った気がするだけに………

 私達より直接、わりと長く交流のある紅夜に、和輝君のコトが聞きたい
 私達、真族のコトを…どこまで把握し、どう思っているのかを………

 いや、それに、本来、彼らへの報酬の話しをするはずだったのに………
 私はケチケチする気は無いから、要求金額に上乗せするけど…じゃない

 「ええ、そうですね……私達で、後で説明するのも大変ですしね
  いや、私も【記憶】を観せるには、それ相応の時間がかかるとは
  理解わかっているんですが……こう、気が急いてしまって……」

 一生懸命、当主をまっとうしようとする四男の白夜に、蒼夜は滲むような微笑で頷く。

 「ああ、そうだね………」

 そして、心底すまなそうに、人一倍苦労を背負い込みやすい、年の離れた白夜を、不憫に思う蒼夜は、すこしぼやくように言う。

 「本当に、ごめんねぇ白夜…君にばかり、苦労をかけて………
  本当なら、長男の私が当主を務め、一族を纏めねばならないのに……

  私が代われるもんなら、代わってあげたいんだけどねぇ
  一族の五月蠅い長老達が反対するのは、目に見えているからねぇ

  純血というモノに、妙なこだわりを持つ長老達を説得するのは
  本当に難しいからねぇ………

  だからって、面倒だと姉さんや妹達に任せたりなんてしたら
  長老達はボロボロになって、その血族も………

  下手に丸投げなんてしたら、最悪、一族の崩壊を招きかねないからね

  特に、もみじ姉さんは、見掛けは儚げで嫋やかなのに
  情け容赦ない性格しているからね

  今は、桜の変異に《気》が大量に必要だからってコトで
  必要な《気》をかき集める為に、一族の里を離れて活動しているけど

  あの、今の真族の里へと帰ったら、まず物凄いコトになるね
  どれだけの被害が出るかなんて、私でも想像つかないよ

  私達が桜の変異の為に駆けずり回って、里に居ないのを良いコトに
  長老達は純血を復活させようと、里の若い者を血統主義に洗脳して

  白夜に、一族内の血が濃い女性と、何が何でも婚姻させようと
  虎視眈々としているんだからね

  より濃い血筋の者を誕生させようと、自分達が選んだ血が濃い男を
  もみじ姉さんにあてがおうとしてコテンパンにされたコトは

  綺麗さっぱりと忘れているようだからね……困ったものだよ」

















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