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第7章 儀式という夢の後

380★ようやく、イベント盛りだくさんだった今日が終わる

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 だぁぁ~……不用意に、竜也にそんなコトを聞いた俺がバカだったぜ
 この手の話しをさせると、昔っからすごかったっけ……はぁ~……

 久しぶりのコトだから、すっかりと忘れていたぜ……マズったわ
 ここはもう、竜也の好きにさせるかな?

 どうせ、蓬莱家ってかなりの金持ちみたいだし、その辺は大丈夫だろう
 紅夜だって、その辺は要求してくれって言っていたから、お任せだ

 和輝の降参というポーズに、竜也は嘆息する。

 「まっ…しょうがないね
  後で、ボクが請求書を書くから、それに名前だけは入れてね

  ああ…勿論、輝虎くんと乙姫さんもね
  で、竜姫はどうする?自分で請求書を書くかい?」

 竜也のセリフに、和輝のコーヒーを煎れながら、竜姫は肩を竦める。

 「今回は、竜也に頼むわ……書式とか内容を統一した方が良いでしょうし
  ………と、はい、和輝」

 そう言って、竜姫がコーヒーを差し出す。

 「おっ…サンキュー…竜姫」

 竜姫からコーヒーを受け取り、和輝はコーヒーの香りの中に混じる、甘い香りを楽しむ。

 一口啜ると、コーヒーの苦味と砂糖の甘味の中に含まれるブランデーが口腔に広がる。
 猫舌なのを考慮して、煎れられたミルクたっぷりコーヒーを、和輝は一気に飲み干す。

 「はぁ~……美味しかった……サンキュー竜姫
  猫舌の俺には、ちょうど良い温度だったぜ」

 コーヒーを飲み終わった和輝は、ソファーから立ち上がり、みんなに異論が無いかを再度確認する。

 「それじゃ、請求書の類いはぜぇ~んぶ竜也に一任で良いかな?」

 和輝の確認に、全員が頷く。

 「俺は、そういうのわからないから、竜也にお任せで良い」

 輝虎がそう言えば、乙姫もうんうんと頷く。

 「だよねぇ…ここは慣れている竜也くんにお任せぇ」

 そういう乙姫に続いて、竜姫も再度頷く。

 「アタシも、竜也にお任せね」

 竜姫も頷いたコトで、和輝は竜也を見て言う。

 「つーことで、俺と妹達の2人分も任せるわ」

 竜也に、思いっきり勉強した金額と主張され、今日のあれやそれを入れれば、それもそうかと思った和輝は、長いながぁ~い今日の終了の宣言をする。

 「それじゃ…取り敢えず、今日はもう遅いから、寝るとするか………
  あとは、明日……というか、もう今日だけどな

  全部、起きたら考えればイイさ……担任の落合さんや学校への連絡もな
  十分な睡眠を取って……すっきりした頭で、あとは考えよう

  つーコトで、今日は…これで解散」

 その宣言に堪えるに、全員がソファーから立ち上がる。

 「それじゃぁ~和輝くん、竜也くん、輝虎くん、お休みなさぁ~い…
  行こう、竜姫ちゃん」

 わりと元気良くそういう乙姫に、同室を振り分けられた竜姫も頷く。

 「だね、んじゃ、お休み和輝、竜也も輝虎も、良い夢を……
  それじゃ、行こうか乙姫」

 と言って、連れだって歩き始める。

 「ああ、お休み、乙姫、竜姫」

 「ふむ、お休み」

 と、和輝、輝虎の順でのお休みの挨拶をし、最後の竜也は竜姫に追加で声を掛ける。

 「はい、お休み…乙姫さん………
  竜姫、後で和輝ともう一度、藤夜さんの治療計画を、3人で話そう
  何か見落としあるかも知れないからさ」

 「オーケー…寝て起きたら、何か思いつくモンあるかもだもんね
  インスピレーションは大事だからね………んじゃお休みぃ~……」

 父親が医師資格持ちで、国境なき医師団に参加して、一緒に連れまわされた仲だけあって、共通認識と知識をほぼ共有している3人は、肩を竦めながら、似たような苦笑いを浮かべつつ頷き合う。

 そして、女性陣が消えれば、輝虎が竜也を振り返る。

 「それじゃ、俺達も振り分けされた部屋に帰って寝るか?
  それとも、まだ、和輝と何か話しあうか?」

 問われた竜也も、流石にちょっと疲れを感じているので、首を振って言う。

 「いや、ボクもこれで今日は休むよ……それじゃ、部屋に戻ろうか?」

 平屋一軒家とはいえ、ゲストハウスとして現在は使用されているが、使用人の家族用の為、そこまで部屋数が多くない為、和輝の妹達で一部屋、乙姫と竜姫で一部屋、竜也と輝虎で一部屋、そして、和輝で一部屋としていた。

 全員が事前に振り分けられた部屋へと消えた後、和輝はリビングをグルリと見回して、フッと何とも言えない表情で笑う。

 そして、全員のコーヒーカップなどを手早く片付けて、リビングのテーブルを軽く拭いてから部屋に戻る為に出た。

 さて、全員のコーヒーカップは洗ったし…テーブルも拭いた
 うん、なにも洗い残しらしいモンは無いな

 最後にリビングを出た和輝は、無意識に振り返り、室内を本邸から覗き見るソレを意図せずに、チラリッと見てから、現在私室となっている部屋へと向かうのだった。

 ちなみに、何かに気付いたわけではなく、和輝のそれは最後の点検だっただけである。
 
 はぁ~……今日は、ほんとぉ~に…色々とあったよなぁ~……
 考えなきゃなんねぇ~コトも、これからやらなきゃなんねぇ~コトも
 色々とあるけど、取り敢えず、疲れたから寝たい……

 そう思って部屋へと戻る和輝だが、本当の和輝の安眠が来るのは、もうしばらく先のコトである。
 が、やっと終わったぁ~と思っている今の和輝には、そんなコトはわからない先のコトだった。










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