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第7章 儀式という夢の後

377★キレた和輝の悪だくみは………

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 竜也は、竜姫の行動和輝の隣りに座るに、ちょっとだけヒキッと苦み走ってから、和輝の言葉に含まれる真意を憶測してみる。

 「それは……すごくおもしろそうだねぇ~…和輝
  それで、その様子だと〔バンパイア〕と〔グール〕の居場所の
  見当は付いているようだね」

 2人の反応に、和輝は楽しそうに嗤って言う。

 「なぁ~に…簡単だろぉ~……〔バンパイア〕と〔グール〕の【巣】を
  わざわざ探さなくったって、今回、白夜さんがうろついた地域にさ

  あいつらを、引っ張って行って戦わせればイイだけじゃん
  あそこに居るってコトは、前々から知っているんだし………

  俺達は、あいつらの本拠地がどの辺りか知っているし
  ダミーの営巣地が、どの辺りにあるかなんてコトも知っているしな

  仮に、俺達が知っている場所から多少ズレていたって、現地に行けば
  正確な場所も、すぐに判るだろう

  あいつらの発散する臭気は、独特だからな
  俺達は、あいつらの苦手な地域も、把握しているんだから
  どうってコトないさぁ~………」

 和輝の笑みに含まれた意味を、正確に把握した竜也は、ポンッと手を叩く。

 「ああ…そうか…時間切れで、転移」

 竜也の言葉に、竜姫も夏得という表情で頷く。

 「確かに、あいつらってタッチアンドゴーで、標的とした者を襲撃して
  一定時間が経過すると、転移でもって、速攻で逃げる

  襲撃した場所から、自分達の【巣】や安全地帯に帰るみたいだもんね
  今回の襲撃で、それが確認できたのは大きいわね」

 竜姫のセリフに、和輝がとても楽しそうに言い放つ。

 「ああ……8年前、警察に捕まって、留置場に放り込まれたはずなのに
  あいつらが易々やすやすと逃げたけど………

  狂信者集団の手先となっている誰かの手引きか?
  そういう、魔術や呪術的な何かじゃ無いか?って話していたけど

  今回のコトで、確証したからな……転移を使って、逃亡しているって
  なら、あいつら狂信者達の何時もの手を逆手にとってやろうじゃねぇ~か」

 和輝のセリフに、竜也も人の悪い笑みを浮かべて言う。

 「確かに、狂信者達の常套手段を利用するのは、良い考えだねぇ
  まして、彼らの武器は、あれでも、聖別されたとかぬかす聖剣や

  同じく、聖別したとか言う、銀の弾丸を込めた銃だからねぇ~……
  クスクス……効かないモノ振り回している間に接近戦になって

  あっという間に、取っ組み合いになっているはずだね
  本当に、聖別されているモノならいざ知らず

  無差別殺人を繰り返す、かれらの〔ケガレ〕を帯びた剣や銃弾に
  そんなモンは宿っていないからねぇ~………」

 竜姫は、和輝と竜也のセリフに、嬉々とする。

 「クスクス………取っ組み合った状態での戦闘が長引けば
  時間切れになって、そのまま狂信者達の本拠地に……ごあんなぁ~い

  あのくっさぁ~い〔バンパイア〕と〔グール〕ごと転移するハメに
  なるの確実じゃない……うわぁ~…すごくおもしろそう

  きっと、蜂の巣をつついたような、大騒ぎになるわねぇ~……」

 同じように、人の悪い笑みを浮かべて言う竜也と竜姫に、和輝はニッと嗤う。

 「そういうコトさぁ~………結局のところ、刃物や飛び道具の類いが
  ほっとんど効かない〔バンパイア〕と〔グール〕とは、最終的に
  どうしたって、取っ組み合いになるからな

  クックククク………あの狂信者達には、あいつらと取っ組み合ったまま
  本拠地に転移してもらおうじゃねぇ~か

  はき違えた、正義なんてモンを振りかざして、他人を襲うだから
  少しは本物の化け物共と戦ってもらわねぇ~となぁ……

  ちょっとばかり、人より特質したモンを持っているってだけで
  ろくな確認もなく、勝手に異質だと判別して、問答無用に付け狙って

  躊躇いも容赦もなく、襲撃して来るようなやからに、同乗の余地無し
  正義の断罪を謳っているんだから、せいぜい、頑張って、世に蔓延る

  本物の化け物退治を、あの狂信者達にしてもらおうじゃねぇ~か…
  なっ……そう思わねぇ~か?」

 乙姫は、竜姫から手渡された、砂糖ミルク入りのコーヒーを飲みながら、過去に狂信者集団に襲われたコトのある和輝達の話しを、それまで黙って聞いていた。

 が、乙姫は小首を傾げて聞く。

 「ねぇ~…和輝くん……あの狂信者の集団だけどさぁ………
  撃退されるコトを警戒して、出て来ないってコトは無いのぉ?

  2度も失敗しているんだったら、流石にもう
  襲ってこないかもしれないじゃない?」

 和輝は、乙姫の疑問に、再び人の悪い嗤いをニッと浮かべて言う。

 「そう思うだろう…普通ならな……でも、あいつらつて普通じゃないから
  そういう意味じゃ大丈夫だぜ

  あいつら狂信者共は、マジで懲りるってコトを知らない人種だから
  それにな、俺達が揃って海外に出るってコトになれば、まず間違いなく
 
  好機と踏んで襲いに来るぜ……あいつらは、そういうやつらだからな
  なに、呼び餌が必要だっていうなら、紅夜に協力をしてもらえば良いさ」













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