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第7章 儀式という夢の後

376★どうやら、和輝は襲撃して来た狂信者集団にキレていたようです

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 竜姫の発言に、乙姫がびっくりした表情で言う。

 「えぇ~……本当、竜姫ちゃん……人間だけにしか《魂》が無いなんて
  そんな与太話しを、いまどき信じているのぉ~……いい大人がぁ?

  今じゃ、亡くなった時に、身体から魂が抜ける重さが有るっていう
  定説さえある時代なのにねぇ~………

  これだけ人類のDNAだとかぁ、生命の起源とか解析されてぇ
  その微妙な重ささえ計量される時代なのにぃ…信じられなぁ~い

  だいたいさぁ…なんでも、人間で確認する前に、まずは動物実験でしょ
  小さな動物から大きな動物まで、何種かの検証するんだからぁ………

  その魂の重さってモノも、動物実験で検出されていると思うんだけどぉ
  まぁ……与太話しの域を出ない話しかもしれないけどぉ

  日本にはさぁ……古くから、一寸の虫にも五分の《魂》とか言う
  言葉あるのにねぇ………確かに比喩かもしれないけどぉ……

  私も、生きているモノには等しく《魂》があると思うしぃ……」

 乙姫のもっとも素朴にして、もっとも的を射た発言に、竜也は苦笑いする。

 「それが、理解わからないから、狂信者なんだよ、乙姫さん
  確かに、この世にはまだボク達が知らない、未知なるモノが溢れている

  所説、色々とあるようだけど、まだ、正確には解読されていない
  霊魂なんかの存在は、その最たるモノだけどね

  それでも、命というモノがあり、その命には《魂》が宿るっていうのは
  ボク達、自然崇拝が残る多神教とでは当たり前の話しなんだけどねぇ

  自分達は【神】に選ばれた種族だなんて、選民意識を持っている
  一神教を崇める者達にとっては、とんでもない話しなんだよ

  自分達だけが、優れた民族だと思い込んでいるからね

  他のモノは、自分達の【神】が、自分達の為に用意したモノっていう
  考えと、感覚を持っているから、平気で粗末にできるんだよね」

 竜也の言葉に、輝虎がうんうんと頷きながら言う。

 「あいつらは、自分達だけが特別だと思っているから、自分達よりも
  秀でたところがある者が存在するのが気に入らないんだ」

 竜姫は、呆れたような溜め息を吐き出しながら言う。

 「はぁ~………【唯一絶対の神】なんてモンを崇めている一神教徒には
  困ったモンよねぇ~…特に、行き過ぎた選民意識を持っている奴等は
  ほんと、手に負えないわ…ふっ…次は、絶対に逃がさないわよ」

 怒る竜姫に、和輝は首を振る。

 「竜姫……次は逃がさないじゃ駄目だろ
  それじゃぁ~これから先も、ずぅ~っとイタチゴッコだろぉ

  どうせやるならば、入念に下準備して、諸悪の根源であるあいつら
  狂信者共の【巣】…そのモノを叩く方が建設的だぜ

  クックックックッ………2度も狙ってくれたんだからなぁ~………
  そのお礼は、たぁ~ぷりとしなきゃなぁ~………

  あいつらに、3度目なんてモンは無いし……させないっ
  きっちりと叩いて、教団そのモノを壊滅させるっ

  2度と復活できねぇ~ようにな
  もしくは、壊滅状態に相当するぐらい深刻なダメージを与えてやるさ」

 クックックックッと喉を震わせ、久しぶりに妖しく嗤う和輝に、竜也は身を乗り出す。

 おやおや…珍しく本気モード全開だねぇ~……あの時以来だね…
 これは、そうとう深くキレたな

 和輝は、自分の庇護する者が狙われたコトが気に入らないんだね
 雇い主の妹の桜ちゃんに、優奈ちゃんと真奈ちゃん、それに乙姫

 8年前のコトを知らない、か弱い女の子が3人も巻き込まれたんだもんね
 そして、その兄である藤夜さんが受けた、言葉に尽くせない残虐な行い

 さて、和輝は、あのとんでもなく罪深い狂信者集団に
 どんな罰を与えるつもりなのかな?…不謹慎かもだけど、楽しみだね  

 そんなコトを考えながら、身を乗り出したままで問いかける。

 「クスッ…おやぁ…その口調からすると、何か良い策があるようだねぇ
  和輝が、そんな風に言うなんてねぇ……どんなコトをする気だい?」

 竜也の質問に、和輝は人の悪い笑みを浮かべて、ニヤッと嗤う。

 「ああ……せっかくだからなぁ~
  ここは、似た者同士で、潰し合いをしてもらおうかなぁ~と思ってな

  あいつら狂信者の本部、もしくは【巣】に該当する場所を見付けたら
  本物の〔バンパイア〕か〔グール〕を、そこに送り込んでやろうと
  思っているんだぁ~………クックククク

  【唯一無二の絶対神】とやらに選ばれ聖戦士だって言うんならば
  邪悪な怪物達と戦ってもらおうじゃないか

  どっちも【神】とやらを崇めている種族だからな
  同類嫌悪でもって、潰し合いをするんじゃないかなぁ~?

  フフフフ……どうだ、おもしろそうだろう」

 和輝からの振りに、竜姫や竜也が、心底楽しそうにかぶりつく。
 お腹が空いている時に、好物の生肉を投げ与えられた肉食の獣のように………。

 「えっ…どうやってやんのぉ~……」

 そう言いながら、竜姫は当然のコトとして、和輝の隣りに座る。
 が、その内心は、脂汗を浮かべていたりする。

 うわぁ~い………ものすごぉ~く…怒っているんだね、和輝

 正々堂々と、正攻法での真っ向勝負が好きな和輝が
 そんなあざとい方法を口にするなんてねぇ………

 あの狂信者集団の襲撃に、かなりキレてるわね
 でも、それはそれで、おもしろそうねぇ~……クスクス…たのしみぃ
 














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