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第7章 儀式という夢の後
374★やっと、藤夜さんの治療の話しができます
しおりを挟むふむふむ……確かにな………って、あれ?…どこから脱線したんだ
確か、藤夜さんの身体の治療の話しをするはずだったんだよなぁ……
………じゃない……このまま話していたら、話しが先に進まない
和輝は更に言い募ろうとする竜姫の目の前に手をあげて言う。
「なぁ…それはそこまでにしようぜ
なんか、話しが思いっきり途中からズレたぞ」
和輝の言葉に、竜也も輝虎も、そして自論を更に展開しようとしていた竜姫も、そこでハッとする。
そう、藤夜をどういう風に治療しようかという話しをする予定だったというコトを思い出して………。
「ああ、そうだったね…う~ん…いったいどこから話しがそれたのかな?
ボクは、藤夜さんの治療の話しをするはずだったのに………」
竜也の言葉に、竜姫もちょっと熱くなり過ぎたと反省し、申し訳なさそうに言う。
「本当にねぇ~……ゴメンっちょっと力説しちゃったわ
って、ところで、藤夜さんの状態って、和輝の見立てはどうなのよ?」
竜姫の問いに、和輝は竜也に向き直って言う。
「取り敢えず、藤夜さんが今の生活に落ち着いたらかな?
もう、怪我や火傷の治療をするのには、遅いだ早いだなんて段階は
とうの昔に越えちまっているからな
まぁ…とにかく浄化と再生の儀式で、精神状態は正常になったんだから
もう、通常の治療をして充分じゃないかな?
性質的には、見た感じ、冷静沈着で温厚な感じの人だったからな
落ち着いて説明すれば、きちんと理解すると思うぜ
治療の了承が得られたら、竜也の親父さんところで、傷付いていない
正常な細胞を採取して、移植用に培養してもらうってのはどうかな?」
和輝の言葉に、輝虎はうんうんと頷く。
「すごく身動きがつらそうだったからな、せめて皮膚の引き攣りだけでも
解消されれば、もう少し生活しやすくなるだろうし………」
輝虎の言葉に、竜也は眼鏡の中央をチョイッと持ち上げて、提案する。
「ねぇ…和輝、藤夜さんだけど、落ち着いたら、ウチの朝露総合病院に
入院させられないかな?
皮膚の培養にも時間がかかりそうだし、移植手術のコトも考えるとさ
それに、培養した皮膚が定着するまでの期間もあるしね
あれだけの広範囲の皮膚を張り替えるとなると………
かなりしっかりとした、健康管理も必要だと思うんだよね
診断の結果によっては、腱や血管、筋肉にいたるまで培養して
健全なモノと交換する必要があると思うんだよね
ボクの父だったら、余計な詮索なんてしないしね
特に和輝が頼むなら、多少違法なコトだって、秘密厳守でしてくれるよ
それに、あの両目だけどさ……再生治療とかできないかな?」
竜也の言葉に、和輝も無意識に顎に手をやりながら頷く。
確かに、再生治療は、すごぉ~く魅力的だよなぁ~………
いや、皮膚の方は無事な部分があるから、まぁ~難なくできるだろうけど
はたして、傷無しの眼球細胞ってのはあるのかな?藤夜さん
まず、再生だと、それが大前提だからなぁ~………あとは………
「ああ、それは、俺も考えたぞ…竜也のおじさんは、口が堅いしな
流石に、あの姿じゃ日常生活もつらいだろうし………
あんなに、皮膚のあちこちが、盛大に溶け固まって、ケロイド状態で
引き攣れちまっているとなぁ………
いっそうのコト、皮膚の培養して、あのケロイド部分一帯をペロッと
深部まで丁寧に剥がして、綺麗さっぱりと張り替えた方がイイと思う
あの状態じゃ、皮膚呼吸もままならないだろうし……たしか前に
おじさんってば、皮膚移植するのに上っ面を剥がして張るだけじゃ
到底無理っていうような、深度で広範囲のケロイドの人にさ
保険外治療だとか言って、本人にもその内容は企業秘密だって言って
移植した皮膚の下に、特殊な培養液を注入して治療したよな
深部まで熱が浸透して、深部細胞が傷だらけだからってさ……
ほら、確か……あの女性って女優だったっけ……一時通って
おじさんがかかりきりで診ていた女性……あれから来ているか?」
和輝の確認の言葉に、竜也もそれが誰かを思い出して頷く。
「ああ、あの女性ね……たまぁ~に定期健診で来ているよ
確か、ドラマの撮影中の事故ってコトんなっているけど
あれって、嫉妬からの殺人未遂だったって話しみたいだよ
ちなみに、どこからどう見ても、綺麗に治癒ってたよ」
竜也の報告に、和輝はニッと笑って言う。
「へぇ~…あれ、成功したんだやっぱり……なら藤夜さんにも使えるな」
「ふむ、というコトは、和輝も携わったってコト?」
「少しだけな…おじさんに、実験に付き合って欲しいって言われてさ
俺の結晶化させる前の《光珠》を培養液に混ぜたんだよ」
「なるほど…まったく、見た目は生真面目なのに……あのマッドめ
だけど、そうか…和輝の《光珠》を使ったんだね……なるほどね
だから、あの女性は実年齢よりかなり若く見えるんだね
納得したよ…って、ことで、藤夜さんにもソレを使うつもりなんだね」
竜也からの言葉に、和輝はニッと笑う。
「ああ、流石になぁ~……竜也の言うように、血管や腱に筋肉なんかも
培養したモンと交換が必要そうだしな
あの失明している両目だって…おじさんの地下研究施設の培養ポッドで
いっそうのコト、眼球細胞から完全再生しちまえばイイって思うしな
それに、細胞の適合率さえ良ければ、紅夜か蒼夜さんあたりからでも
じゅうぶんな眼球細胞を融通してもらえるだろうしな
ただ、藤夜さん自身の眼球細胞からは、ちょっと無理だろうな
根本から、傷付いている可能性のほうが強いだろうからさ」
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