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第7章 儀式という夢の後
370★藤夜さんは成人体、桜は少女
しおりを挟む輝虎は、ちょっと考えてから、和輝に聞く。
「う~ん…良くわからないな………
和輝、どの辺で、そういうコトが判るんだ」
輝虎の質問に、今度は和輝が首を傾げつつ言う。
「う~ん…感覚的なモノだからなぁ……そうだなぁ…しいて言うならば
その身体が持っている《生命力》ってヤツかなぁ?」
和輝の言葉に、輝虎と竜也も同じように首を傾げて、ハモって復唱する。
「「《生命力》?」」
そんな2人に、和輝はゆっくりと頷いて言う。
「ああ《生命力》だ……そうだなぁ~…それを何かに例えるならば
桜からは草木が芽吹く時のような、力強さみたいなモノを感じるんだ
かたや、藤夜さんは、そういう息吹きみたいなモノを…生命の波動
とでも言えば良いのかな?それがあまり感じられないんだよなぁ……」
新しい飲み物を用意している竜姫が振り返って、和輝に聞き返す。
「う~ん…《生命力》ねぇ~…もう少し、アタシにも理解しやすい言葉で
説明してくれる?…ちょっと抽象的だわ」
竜姫からの要請に、和輝はより理解しやすい言葉を模索して、無意識に手を顎に持っていき、考え込みながら撫でる。
「う~ん…そぉ~だなぁ~……理解しやすい言葉で言い表すなら
細胞の代謝率が違うってところかな?
差し詰め、成長が完全に終わっているのが、藤夜さんだとすると
桜の方は、まだまだ成長途中の幼体ってところかな?
そういう差があるって言えば、理解しやすいかな?
ふむ、まぁ……昆虫で言い表すならば………
既に羽化を終えて、成虫になっているのが、藤夜さんで
羽化前の蛹にすらなっていない幼虫のが桜だ」
親が医師というコトで、医学知識がベースにある3人、竜也と竜姫、そして説明する和輝は共通の認識にクスッと笑う。
が、そういう意味では、まだ、和輝達ほど医学知識が無い輝虎は、理解しがたいという表情で、首を傾げて言う。
「うむむむ………成虫?…蛹?…幼虫?……すまん、和輝
なんか、もっと頭がゴチャゴチャになった
理解らないから……もう少し……具体的に教えて欲しい」
輝虎の反応に、和輝は『ああ、そうか』という表情になって言う。
「ああ、悪理ぃ~な……輝虎には、かえって今の説明じゃ……
理解りづらかったか
えっとな……感嘆に言うと………ああ…そうだ…まず現状確認な
藤夜さんって紅夜の兄貴だってコトは理解っているよな」
和輝の言葉に、輝虎は頷く。
「ふむ……確かにそう言っていたな、それが?」
首を傾げる輝虎に、和輝は言葉を選びながら言う。
さて、どんな風に言ったら、輝虎に理解りやすいかな?
「ようするに、あの言い方だと、藤夜さんは、紅夜よりもかなり年上だろ
年齢的にも、既に成人している」
和輝の言いたいコトを理解いできないまま、輝虎は藤夜と紅夜の関係を事実として、頷く。
「ああ、あの2人は兄弟で、紅夜さんは藤夜兄上と呼んでいたな」
話しの流れをどう持っていくか悩んだ和輝は、そのまま言ってみるコトにする。
「勿論、藤夜さんの身体も、実際の年齢は聞いて無いからわからないが
紅夜と、仮に年齢がひとつぐらいしか変わらなかったとしてもだ
年齢的にも、ちゃんとした成人年齢に達しているはずだし
その身体は、見るからに成人している身体だっただろう」
藤夜の身体に、和輝や竜也と共に、火傷防止の為の特殊な薬剤や、濃厚な食塩水を塗った輝虎は、その時に見た藤夜の全裸を思い起こして頷く。
「ああ、いくぶん痩せぎすな身体だったが、見るからに成人男性らしい
しっかりとした身体だったな………それがどうかしたのか?」
輝虎の言葉に頷き、和輝は次に桜のコトを言う。
「そんじゃ、輝虎から見て、桜はどういう風に見える?」
言われた意味が理解らず、輝虎は首を傾げる。
それを見て、和輝は別の言葉にして聞く。
「ようするに、実際の年齢はちょっと横において置いてだ
輝虎から見て、桜は既に完全な成人した身体を持っているように
見えるかどうか?………って、俺は聞いたんだ……んで、どうだ?」
問われているコトは理解いできたが、その内容に含まれるモノには、訳が分からないと思いつつも、輝虎は首を振る。
「いや…まだ…成人女性というには…ほど遠い…少女だと思うが………
年齢を聞かされていなければ、優奈ちゃんや真奈ちゃんと同い年かと
思うほど……その…幼いような気がするのだが………」
和輝は、輝虎の答えに、ニッと笑って言う。
「だからそういうコトだ…実際、実年齢と言ってもその通りじゃないしな
藤夜さんは、完全に成人しているから、もう成長が止まっているんだ」
輝虎は、首を傾げて復唱する。
「もう成長が止まっている?」
輝虎の疑問混じりの復唱に、和輝は説明を更に加える。
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