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第7章 儀式という夢の後

361★貴重な《光珠》をいただいたお陰で、祓い清められました*side高嶺*

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 「ああ…そんじゃ…そうさせてもらうわ
  んじゃ、これ以上、高嶺さんの仕事の邪魔をしたくねぇ~から

  俺達は、ゲストハウスに帰るわ…んじゃありがとさん、輝虎帰ろうぜ」

 和輝の言葉に、輝虎も高嶺に挨拶する。

 「うん、そうだな、和輝
  その…高嶺さん…お手数かけました

  それじゃあ…さっさと部屋ン中の荷物を玄関に出して
  ゆっくりと休もう………流石に、ちょっと疲れたな」

 「ああ、そうだな…………って、コトで、高嶺さん、良かったらコレ
  神域内を浄化している人にでも、上げてください

  少しの補助にはなると思いますので……数は少ないですけど
  一種の疲労回復剤みたいなモンですから………」

 そう言って、和輝は短時間で六つほどの《光珠》を作り上げて、高嶺に手渡した。

 「……っ……あっ…はい…ありがたくいただきます
  その…ありがとうございます」

 手渡された《光珠》が放つ、穏やかで温かく優しい《気》がふんわりと高嶺を包み込む。
 その何とも言えない至福感に、ちょっとしどろもどろにお礼を言う高嶺に笑いかけて、言う。

 「それじゃ、ありがとう…まだ、色々と大変だろうけど、お休みなさい」

 「高嶺さん、おやすみなさい」

 和輝に続き、輝虎もそう挨拶すれば、高嶺も穏やかな気分で挨拶する。

 「お休みなさい、神咲さん、佐藤さん」

 その言葉を受け取り、和輝と輝虎は振り返るコトなく、ゲストハウスへと向かった。
 後には、2人の後ろ姿を見送り、高嶺はホッとして胸を撫でおろしいてた。
 が、そんなコト、2人の知ったコトではなかった。

 「はぁ~……やはり、緊張しますね、彼らと相対するのは………
  敵対してないから、穏やかに対応してくれていますけどねぇ………

  しかし…こんな貴重な《気》を物質的に結晶化させたモノ
  しかも、六つもいただいてしまいました………」

 自分の手のひらの上に乗せられた、虹色に輝く小さな結晶体を見て、高嶺はほぉ~っと甘い吐息を零れ落とす。
 手のひらの上にあるだけで、全身が温かい《気》が包んでくれるのだ。

 そんな中、和輝と輝虎の気配が消えるとほぼ同時に、何処からともなく高嶺の配下が現れる。
 高嶺は、配下の者に取り敢えずの指示を出して、嘆息する。

 和輝達の認識では、狂信者集団。
 桜達真族にとっては【狩る者】達が振りまいた淀んだ邪気と、警察官に救急隊員などが纏っていた粗雑な霊気に穢された場所を、そっと影に隠れながら一生懸命に清め祓っていた者が倒れたという知らせを持って来た。

 「すみません、高嶺様、彼らが来る前に、ここの清め祓いをしていた
  酒樹が倒れまして………だいぶ衰弱してしまったようです」

 そう報告しているところに、当の酒樹がヨロヨロと現れる。

 「………大丈夫なのか?酒樹?」

 高嶺の言葉に、酒樹は苦笑いしながら、答える。

 「すみません、思っていた以上に穢れが酷くて………
  ちょっと、思いのほか《力》を使ってしまい…倒れてしまいました

  ですが、そんなコト言ってもいられませんので……まだまだ時間が
  どう考えても、ここに固着してしまう前に祓い清めないと………

  ただ、私ひとりだけでは到底、この濃密に穢れ淀んだこの場所を
  祓い清めきれませんので、応援が欲しいです

  後2人は必要だと思います…ここに邪気混じりの澱みが固着する前に
  下手をしますと、穢れ場になってしまいます」

 青い顔でそう言う酒樹に、高嶺は逡巡した後、和輝にもらった《光珠》
をひとつ手渡して言う。

 「そうか、理解わかった……だから、無理を押してきたのか
  早急に、他の場所を終わらせてココを祓い清めに来させよう

  取り敢えず、神咲さんから、いただいた《光珠》がある
  コレを吸収して、早急に祓い清めてくれ

  確かに、一番ここが酷そうだから、他の場所を祓い清めている者にも
  こちらの応援を頼みに行って来る」

 《光珠》を受け取った酒樹は、手のひらからふんわりと全身を包み込む、高濃度の清らかな《気》に一瞬陶然となってから、自分の役割を思い出す。

 「貴重なモノを、ありがとうございます、高嶺様
  では、さっそく《光珠》をいただき、祓い清めを再開したします」
  
 酒樹は、吸収してしまうのを、ちょっと惜しいと思いつも、もらった《光珠》を口に放り込んだ。

 できるなら、ゆっくりじんわりと浸透するのを楽しみたいところだが、コトは急をようする為、酒樹は《光珠》を吸収し、早速、祓い清め始める。

 祓い清めを再開した酒樹の様子を見ていた高嶺は驚く。

 そして、高嶺は、独断で悪いと思いつつ、当主の白夜や長兄の蒼夜に知らせるコトなく、和輝にもらった《光珠》を祓い清めを担当している者達へと配ったコトは言うまでもない。

 ちなみに、祓い清めを担当していたのは5人だったので、ひとつづつ《光珠》を与えた高嶺だった。
 最後のひとつは自分で食べたが、お気に入りの配下には口付けでおすそ分けしたのは確かなコトだった。

 和輝の《光珠》という助けがあったお陰で、蓬莱家の敷地内の澱み穢れた空間や場所に内包する空気にいたるまで、綺麗さっぱりと祓い清められたのは確かな事実だった。

 勿論、全部消費してからだが、和輝から《光珠》をもらったコトをちゃんと報告した高嶺だった。

 そう、その六つの《光珠》がなければ、神域化していた敷地内に入り込んだ澱みやら、穢れやらを、祓い清めるコトが到底できなかったコトと共に………。

 その際に、貴重な祓い清めのできる者達を、実は失っていたかも知れないコトも付け加えて報告したのは確かな事実だった。

 事実、もっとも能力の高い酒樹は、自分の《生命力》まで消費して祓い清めを続行した為に、意識を一度失ったのだから………。

 ここでも、和輝の預かり知らないところで《光珠》は大活躍していたのは、もらった者達だけが知る事実だった。















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