上 下
361 / 446
第7章 儀式という夢の後

360★困っていたら、高嶺さんが来たので頼んでみました

しおりを挟む


 和輝の要望に、その理由を知って納得した高嶺は、即応する。

 「ああ…それは失礼しました……すぐに開けられるようにしますね
  ……その…すみません…我々も…その雑務が多くて気が回りませんで」

 高嶺の妙に腰の低い対応に、そのガタイがイイだけに、なんか微妙なモノを感じつつも、和輝はちょっと肩を竦めで首を振る。

 「しょうがねぇ~さぁ……あんな、穢れたモンに狙われたんだからさ
  お陰で、せっかくの神域に雑多な《気》が混じっちまってよぉ~……

  なんか…こう…勘に触って…気分的に鬱陶しいモンを感じるもんな
  流石に、こんだけ乱れちまうと、浄化作業も楽じゃねぇ~よなぁ~」

 和輝の言葉に、輝虎もうんうんと頷く。

 「そういうのも、才能と向き不向きがあるからな
  この神域の汚れを祓うのは大変だよな」

 口数があまり多くない輝虎の発言に、高嶺はどう対応して良いかと、しばし困惑するが、直ぐに自分のするべきコトを思い出す。

 「ええ…本当に………と、ちょっと待ってくださいね
  車庫の電源は、根元の方で落としていますので………

  本邸の警備室で待機している物に、電源を入れてもらいますから
  あと、ゲストハウスのコトも連絡し、人手を向かわせますね」

 そう言って、高嶺はスマホを出して、リーダーである清瀬に指示を仰ぎつつ、和輝の要望を伝えた。

 「こちら、高嶺………」

 和輝は、高嶺が本邸の警備室に連絡を入れた段階で、輝虎へと向き直る。

 「なぁ~…あん時、部屋ン中…すごいコトになっていなかったか?
  今更だけど、ものすごぉ~く色々なモノが散乱していたよな」

 輝虎は、和輝の言葉にコクッと頷いて、儀式前に部屋から出る時に見た光景を思い出して言う。

 「ああ、まだ部屋に入ってないから実際はわからないが、確かに
  儀式へと向かう前にリビングを振り返った時、凄いコトになっていたぞ

  そこいらじゅうに、アクセサリー類とかが散らばっていたな
  あと、布の山が色々とあったな…それから、化粧品類も………」

 その言葉に、和輝は自分の記憶違いで無いコトを確認し、苦笑いを浮かべる。
 当然、輝虎もにたような表情になる。

 これから、車に置き忘れた着替えを持って帰っても、すぐには休むコトが出来ないという事実の為に………。

 そんな2人の様子に気付く余裕のない高嶺は、スマホでリーダーである清瀬から指示を受ける。

 「………はい、了解しました………と、神咲さん、佐藤さん、あちらで
  電源を入れてもらいましたので、もう開きますよ」

 そう高嶺に声を掛けられた和輝と輝虎は素直にお礼を言う。

 「ああ、すみません…ありがとうございます、高嶺さん
  んじゃ、さっさと着替えを回収して、部屋に返って片付けだな」

 和輝の言葉に、輝虎も頷いて、高嶺にお礼を言う。

 「ありがとう、高嶺さん……それでは、みんなの着替えを取って来ます」

 2人は、そう言ってから、和輝の方が慣れた手つきで車庫の開閉スイッチを入れる。
 と、電源が復活した車庫の扉は、あっさりと反応して開いた。

 「それでは、私は、ここで待っておりますから………」

 高嶺の言葉に頷き、和輝と輝虎はスルリッと車庫の中へと入る。
 そして車庫の中の照明のスイッチを押し、明るくしてから、狂信者集団に襲われた時に乗っていた車へと向かう。

 色々な車種の車が並ぶ中を通って、みんなで乗って来た車ののドアをガチャッと開ける。

 「えぇ~とぉ………これが竜姫で、こっちの二つが優奈と真奈のだな
  それと、乙姫のがコレだろ……ほい、これはお前のだな、輝虎
  んで、これが竜也ので、俺のがコレ…回収しはぐりは無いな、よし」

 和輝が荷物を出した後、輝虎も上半身を突っ込み、車内を確認する。

 「ああ、それで全部みたいだな」

 輝虎の確認後、和輝は頷いて言う。
 
 「んじゃ、閉めるぜ」

 「ああ」

 パタンっとドアを閉め、和輝は輝虎と2人で、全員分の着替えという荷物を持って、高嶺が待つ車庫の外へととっとと出る。
 勿論、車庫内を照らした照明もちゃんとスイッチを切ってから、車庫の外とへと出たコトは言うまでもない。

 「ありましたたか?」

 ありきたりな高嶺の言葉に、和輝はにっこりしながら答える。

 「ああ、あったぜ…その手数かけて悪かったな…サンキューな高嶺さん」

 和輝の明るい対応に、高嶺もにっこり笑って応じる。

 「良かったですね……ああ、ゲストハウスの荷物の件ですが
  私は、まだ、ここでやらなければならないコトがありますので

  他の者にですが、取りに行くようにと手配しましたので
  ほどなく、そちらにうかがうと思います

  布で大雑把にでも纏めて、玄関の外にでも、出しておいていただければ
  回収しておきますので、そのまま、外にポイしてください

  幸い、ここは蓬莱家の敷地内ですから…天気も大丈夫そうですし……」

 にこにこしながら言う高嶺に、和輝は、ありがたく頷く。

 
 







 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小児科医、姪を引き取ることになりました。

sao miyui
キャラ文芸
おひさまこどもクリニックで働く小児科医の深沢太陽はある日事故死してしまった妹夫婦の小学1年生の娘日菜を引き取る事になった。 慣れない子育てだけど必死に向き合う太陽となかなか心を開こうとしない日菜の毎日の奮闘を描いたハートフルストーリー。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

女官になるはずだった妃

夜空 筒
恋愛
女官になる。 そう聞いていたはずなのに。 あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。 しかし、皇帝のお迎えもなく 「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」 そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。 秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。 朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。 そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。 皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。 縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。 誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。 更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。 多分…

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。

夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。 陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。 「お父様!助けてください! 私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません! お父様ッ!!!!!」 ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。 ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。 しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…? 娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)

処理中です...