350 / 446
第7章 儀式という夢の後
349★敷地内の浄化はまだまだ続くようです*side蓬莱家*
しおりを挟む爺やに連れられて本邸に戻った紅夜は、兄竜の待つ居間へと真っ直ぐに向かう。
勿論、紅夜をペットハウスに迎えに来た爺やは、本邸の玄関を潜った段階で、紅夜の側からから下がる為の挨拶をする。
「それでは、紅夜様わたくしめは、まだ彼らへの指示がありますので
ここで失礼させていただきます」
爺やの挨拶に、紅夜は小さく舌打ちする。
あっ…そっか…敷地内の浄化作業………まだ終わって無かったのか……
まぁ~…そうだよなぁ…藤夜兄上の浄化と再生の儀式を優先したから
そういう意味で、ほとんど綺麗な和輝達の仲間は良いとしても
泊まらずに帰って行った2人だって、ほとんど穢れとか無かったけど
色々な、世の穢れというモノを、うっすらとはいえ纏った警察官達が
敷地内にまき散らしたモノの後始末……終わっているはずねぇ~よな
敷地内にわらわらと乱入して来た、ドロドロと澱み穢れた霊気を持つ
【狩る者】達がまき散らしていった穢れを浄化するのは大変だよな
俺、そういうの得意じゃないからなぁ…そういう意味じゃ手伝えないし
はぁ~……マジで、こんな時じゃなけりゃなぁ………
分刻みで躍起ンなって、空間の浄化作業をしなくても良いんだけど
居間は、桜が一族の者へと変化している真っ盛りだからなぁ………
何時でも、和輝が桜の側に居てくれるなら、その類稀な優しいオーラで
桜をすっぽりと包んでいてくれるから、何も心配しなくて良いんだけど
爺やの見解からすると………
和輝の側か、その視界に入っている時にしか有効じゃないんだよな
俺は、そういうの良く判らないから、後で蒼夜兄上に確認してもらおう
和輝のオーラの保護が、何処まで有効範囲から知っておきたいしな
そんなコトを考えつつ、紅夜は少しだけ苦い顔をして頷く。
「おう…特に、車で出入りする門周りは、念入りに頼むな
今回は、あの【狩る者】達や一般人(警察官達含む)が乱入したから
桜の体調の問題もあるから、頼むな
本当は、ずっと和輝の側に、桜が張り付いて居られたら良いんだけど
流石に、理由もなしにそんなコトできないしなぁ………」
同じ思いで頭の痛い爺やは、紅夜に同意しつつ、深々と頭を下げる。
「はい、本当に、そう出来れば良いのですが……如何にせん
桜様は不用意な発言と行動が多いですからねぇ………
いや、彼は全部容認しているようですけど
それでも、一族の危険はできるだけ避けねばならませんし
……と、では、わたしくめは、指示に行きますので、失礼します」
そう言って、爺やは自分の指示を待っているだろう者達が待機する場所へと向かうのだった。
紅夜は、その後ろ姿を見送り、小さく嘆息する。
はぁ~……流石に、一日のイベントが盛りだくさんだったからなぁ……
一族の者達以外の人間が、一時に、あんなに強固な結界を張ってある
敷地内に乱入するコトなんて、過去に例も無いし……
いや、流石に和輝達の友人が持っていたモノはたかが知れていて
直ぐに、綺麗に浄化できたようだったけどなぁ………
あの警官達が持つ穢れや澱みは、マジで普通だったけどな
今の変化中の桜には、ちょぉ~と不味いかなで済む
けど、流石に【狩る者】達の穢れや澱みは、半端なかったからなぁ……
和輝の側に居たお陰で、なんの影響も無かったから良かったけど
まさか、あんなに強固に張られていた清浄の結界を破って侵入するとはな
一応、破壊された場所は補修し終わっているようだけど………
その分、穢れで汚された空間のお掃除が大変なようだな
爺やも視る力あるから、指示をしに行っちまったし
爺や達の言うところの普通の人間達が、敷地内を広範囲にうろつき回ったコトによる、後始末に奔走しているのだ。
勿論、和輝達兄妹や、その友人達に、警察官達及び救急隊員達、それに澱みと穢れが物凄い【狩る者】達を含めた、真族以外の者達すべてが、一時に乱入したコトで崩れた結界内の調和を取り戻す為、みんな寝ずに浄化や修復にあたっているのだ。
その空間に色彩がついていたなら、色々な色を混ぜこぜした不規則なマーブル模様を描いていたコトだろう。
蓬莱家が所有するこの地は、和輝達が言うように、ある種の神域なのだ。
それゆえに、霊的に神域となっている場所のすべて、蓬莱家が所有する敷地内を、清浄に保つ為に、紛れ込んだ雑多な《気》などを祓い清めなければならないのだった。
それも早急に行わないと、強固な結界が張られている為に、自然に結界内から外へと排除されるコトが無い為、空間の一部に、部分的な澱みが出来てしまうのだ。
それも、敷地内の広範囲に乱入された為に、そこかしこに出来てしまう可能性があるのだ。
一般人が気付くことなく、普段何気なく連れ歩いている?霊魂。
この場合の霊魂とは、水子霊から浮遊霊まで、その他諸々のコトをさす。
その上で、白夜達が【狩る者】と呼ぶ、和輝達が言うところの狂信者は、文字通り狂信的に自分の信じる【神】を崇めているが故に、妙な《気》の歪みを発散しているのだ。
勿論、理不尽に追い立てられて、むごたらしく殺された者達の怨念が渦巻いているので、その澱みたるモノは言葉に言い表せない程に酷かった。
そんな狂信者集団が敷地内へと乱入した為、ある種の邪念に近いモノを盛大にまき散らされてしまったのだ。
10
お気に入りに追加
371
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
小児科医、姪を引き取ることになりました。
sao miyui
キャラ文芸
おひさまこどもクリニックで働く小児科医の深沢太陽はある日事故死してしまった妹夫婦の小学1年生の娘日菜を引き取る事になった。
慣れない子育てだけど必死に向き合う太陽となかなか心を開こうとしない日菜の毎日の奮闘を描いたハートフルストーリー。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
イケメン歯科医の日常
moa
キャラ文芸
堺 大雅(さかい たいが)28歳。
親の医院、堺歯科医院で歯科医として働いている。
イケメンで笑顔が素敵な歯科医として近所では有名。
しかし彼には裏の顔が…
歯科医のリアルな日常を超短編小説で書いてみました。
※治療の描写や痛い描写もあるので苦手な方はご遠慮頂きますようよろしくお願いします。
幽閉された花嫁は地下ノ國の用心棒に食されたい
森原すみれ@薬膳おおかみ①②③刊行
キャラ文芸
【完結・2万8000字前後の物語です】
──どうせ食べられるなら、美しく凜々しい殿方がよかった──
養父母により望まぬ結婚を強いられた朱莉は、挙式直前に命からがら逃走する。追い詰められた先で身を投げた湖の底には、懐かしくも美しい街並みが広がるあやかしたちの世界があった。
龍海という男に救われた朱莉は、その凛とした美しさに人生初の恋をする。
あやかしの世界唯一の人間らしい龍海は、真っ直ぐな好意を向ける朱莉にも素っ気ない。それでも、あやかしの世界に巻き起こる事件が徐々に彼らの距離を縮めていき──。
世間知らずのお転婆お嬢様と堅物な用心棒の、ノスタルジックな恋の物語。
※小説家になろう、ノベマ!に同作掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる