上 下
344 / 446
第6章 浄化の儀式

343★幼馴染みや妹達の俺の評価がおかしいんだけど

しおりを挟む


 竜也の言葉に、ちょっとだけ竜姫が異議ありと言う。

 「う~ん……それって無理だと思うわよぉ
  だって、ここには優奈ちゃんと真奈ちゃんしか居ないから……

  ほらぁ……非常識に慣れている2人に聞いてもねぇ……
  ふ・つ・う、の答えは出ないと思うしねぇ………

  それに、竜也は子供の意見って言うけど、この家には
  その子供がそもそも居ないって感じじゃない?

  たぶんに、血統維持だとかいう老害のセイで、血族婚をし過ぎてさぁ
  その子供が、生まれなくなったんじゃないのかなぁ~………

  ほら、田舎の旧家って、まず長男教だわ、純血主義だわでさ
  外腹の子がぁ~…とか…同じ血統の正妻の子がぁ~とかやるじゃない

  とくに、老害の『〇〇家は何代前の当主筋で……』とか言う
  血筋に変な誇り持った、妄執のように凝り固まったの居てさ

  結構、それで次代が生まれなくて、滅びかけている家ってあるし
  たぶんに、この蓬莱家も似たり寄ったりなんじゃないかな?」

 竜姫のもっともな意見に、和輝も頷く。

 「確かに、蓬莱家にバイトに入ってから、子供の姿なんて見て無いな
  唯一、それに準じる年頃の子供って桜ぐらいかな

  紅夜を子供に含めるには、ちょっととうがたちすぎているしな
  桜と紅夜に子供が居ないのは、年齢的に?まだだろうけど

  長男の蒼夜さんにも、当主の白夜さんにも子供はいなさそうだし
  お姉さんいるみたいだけど、子供っているのかな?」

 和輝の言葉に、竜也は首を振る。

 「でも、確か桜ちゃんは、一族外の子なんだよね
  白夜さんって人の亡くなった奥さんの妹って話しだし

  だから、紅夜君と恋人同士なんでしょ……つーコトで、除外
  でもって、真奈ちゃんも優奈ちゃんも、血族じゃないから除外

  当然、ボク達も、蓬莱家だっけ、の血族外だから意味ないしね
  そういう意味じゃ、あんまり参考にならないかもね

  でも、大変だねぇ~……血族婚やりすぎて血脈が淀んじゃったんだね
  皆さん、一族外の人と婚姻しないと……本当に、滅びちゃうね

  だから、桜ちゃんと紅夜君は認められているんだろうけど………
  ちゃんと、新しい血は入れて、更新しないとねぇ………」

 クスクスと嗤って言う竜也の直ぐ側で、乙姫が珍しく自己主張をしてみせる。

 「だからって、和輝君は絶対にあげないからね
  和輝君は、私と竜姫ちゃんのだから……」

 乙姫の言葉に、竜姫もにっこりと嗤って言う。

 「そうね、和輝の婚約者は、アタシだし、乙姫とアタシのどちらか
  先に孕んだ方が正妻ねって約束だもんね」

 楽し気に乙姫と笑い合って言う竜姫に対して、竜也が溜め息混じりに言う。

 「まだ諦めてないんだね…竜姫を、お義姉さんって呼ぶくらいなら
  乙姫さんの方が、ボクとしてはマシだね……ねっ輝虎くん」

 話しを振られた輝虎は、乙姫と竜姫を見てから、和輝を見て、首を傾げながら答える。

 「う~ん…俺は、和輝が選ぶんだったら、誰でもイイと思うけど………
  真奈ちゃんは、どうかな?」

 和輝から、暫定ではあるが『お前の婚約者な』と言われている真奈は、輝虎の意見に賛成する。

 「アタシも、和輝兄ぃが選ぶ人なら誰でもイイよ…ねっ優奈」

 そのまま真奈は双子の片割れである優奈へと話しを振る。

 「うん…誰を選んでも、きっと綺麗な人だから、大丈夫だと思うな」

 優奈の言葉に、真奈もちょっと皮肉気に嗤って頷く。

 「だよねぇ~…和輝兄ぃってば、面食いだからぁ~………」

 妹達の評価に、和輝は大きく溜息を吐き、ひとつ大きく首を振って、紅夜を振り返る。

 「はぁ~…本題からズレた与太話しは、その辺にしてくれ
  紅夜、正気に戻った藤夜さんを本邸に連れて行ってくれ

  ゲストハウスやペットハウスよりも、色々と整っているだろ
  連れて行ったら、まず風呂に入れてやれよ

  流石に、色々と手を施してあろうと、身体が冷えてや風邪を引くぞ
  それじゃなくても、かなり衰弱しているし…脂肪ものって無いからな

  つーことで、竜也」

 呼ばれた竜也は、藤夜の身体に隈なく塗った耐水・耐火の薬剤を落とすための溶液を和輝に手渡す。

 手に乗せられた瓶のラベルを確認し、ちょっと振って、中身の量がたっぷりあるコトを確認した和輝は、紅夜に向き直って言う。

 「これな、藤夜さんの身体に塗った、防水・防火の薬剤を落とすヤツな
  もう、正気になっているから、使用人でも充分だろ

  つーことで、防水・防火の薬剤の後、特濃の食塩水を塗ってあるから
  まずは、普通に、ちょっと高めの温度のシャワーでも使って

  食塩水をちゃんと、念入りに洗い流してくれな
  特に生殖器官とか、耳の根本とか、指の付け根にあたる部分とかな

  そしたら、この解除液を全身隈なく、同じようにまぶして………
  10分待つだったけか?竜也?」













しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あやかし第三治療院はじめました。 

にのまえ
キャラ文芸
狼環(オオカミ タマキ)はあやかしの病魔を絵でみつける、病魔絵師を目指す高校生。 故郷を出て隣県で、相方の見習い、あやかし治療師で、同じ歳の大神シンヤと共に あやかし第三治療院はじめました!! 少しクセのある、あやかしを治療します。

〈完結〉続々・50女がママチャリで北海道を回ってきた・道南やめてオロロン逆襲のちにスポークが折れてじたばたした話。

江戸川ばた散歩
エッセイ・ノンフィクション
北海道を7月にママチャリで回ること三年目。 今回はそれまでのマルキンのママチャリでなく、ブリヂストン様のアルベルトロイヤルで荷物をしっかりしたバッグに入れて積んでみました。 するとどんなことが起こったか! 旅行中に書いたそのまんまの手記です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彩鬼万華鏡奇譚 天の足夜のきせきがたり

響 蒼華
キャラ文芸
元は令嬢だったあやめは、現在、女中としてある作家の家で働いていた。 紡ぐ文章は美しく、されど生活能力皆無な締め切り破りの問題児である玄鳥。 手のかかる雇い主の元の面倒見ながら忙しく過ごす日々、ある時あやめは一つの万華鏡を見つける。 持ち主を失ってから色を無くした、何も映さない万華鏡。 その日から、月の美しい夜に玄鳥は物語をあやめに聞かせるようになる。 彩の名を持つ鬼と人との不思議な恋物語、それが語られる度に万華鏡は色を取り戻していき……。 過去と現在とが触れあい絡めとりながら、全ては一つへと収束していく――。 ※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。 イラスト:Suico 様

白鬼

藤田 秋
キャラ文芸
 ホームレスになった少女、千真(ちさな)が野宿場所に選んだのは、とある寂れた神社。しかし、夜の神社には既に危険な先客が居座っていた。化け物に襲われた千真の前に現れたのは、神職の衣装を身に纏った白き鬼だった――。  普通の人間、普通じゃない人間、半分妖怪、生粋の妖怪、神様はみんなお友達?  田舎町の端っこで繰り広げられる、巫女さんと神主さんの(頭の)ユルいグダグダな魑魅魍魎ライフ、開幕!  草食系どころか最早キャベツ野郎×鈍感なアホの子。  少年は正体を隠し、少女を守る。そして、少女は当然のように正体に気付かない。  二人の主人公が織り成す、王道を走りたかったけど横道に逸れるなんちゃってあやかし奇譚。  コメディとシリアスの温度差にご注意を。  他サイト様でも掲載中です。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎ 〜Romance in Abū Dhabī〜 【Alphapolis Edition】

佐倉 蘭
キャラ文芸
都内の大手不動産会社に勤める、三浦 真珠子(まみこ)27歳。 ある日、突然の辞令によって、アブダビの新都市建設に関わるタワービル建設のプロジェクトメンバーに抜擢される。 それに伴って、海外事業本部・アブダビ新都市建設事業室に異動となり、海外赴任することになるのだが…… ——って……アブダビって、どこ⁉︎ ※作中にアラビア語が出てきますが、作者はアラビア語に不案内ですので雰囲気だけお楽しみ下さい。また、文字が反転しているかもしれませんのでお含みおき下さい。

笛智荘の仲間たち

ジャン・幸田
キャラ文芸
 田舎から都会に出てきた美優が不動産屋に紹介されてやってきたのは、通称「日本の九竜城」と呼ばれる怪しい雰囲気が漂うアパート笛智荘(ふえちそう)だった。そんな変なアパートに住む住民もまた不思議な人たちばかりだった。おかしな住民による非日常的な日常が今始まる!

処理中です...