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第6章 浄化の儀式
333★もしかして、バレている?
しおりを挟む不安気に和輝を見る紅夜に、竜姫は笑いながらこちらも軽い感じで言う。
「クスクス……そんなに心配しなくても、だぁ~いじょうぶだって
アタシも竜也も、和輝と一緒に[バンパイア〕になったっていう
ものすごぉ~い、思い込みした人どころか、肉体を失った
本物の〔バンパイア〕の邪霊魂に取り憑かれた人達を
何度も、肉体から除霊して、浄化の火焔で焼いているから大丈夫よ
それに、藤夜さんのように、自分が〔バンパイア〕になったっていう
酷い思い込みをして、騒ぎを起こした人達を、なんとか元に戻して
周りの住人にも、そのコトを納得させるって儀式もしたコトあるから
なにかアクシデントが起きても、それなりに対処できるしね
ようは、紅夜君が落ち着いて、藤夜さんに飲ませられれば大丈夫
あとは、ちゃんと和輝の指示に従って行動できれば充分よ
ちょっと、藤夜さんがアルコールで燃える時が心配かな?
絶対に大丈夫だから、動揺して余分な動きはしないように言ってね
あと、鏡の通信の魔法だっけか…動揺して鏡を割らないようにね」
竜姫の言葉に、竜也も不安気な紅夜をクスクスと笑って言う。
「そうだよ、紅夜くん、安心したまえ
その辺の霊能力者よりも、ボク達の方が数段《力》があるよ
否応もなく、たぁ~ぷりの経験を積んでいるからね
勿論、カソリックのエクソシストを超える《力》があると思っているよ
当然、おごりじゃなく、経験でね……そう、何度ものね
人間、誰だって、自分の命がかかれば、なんでもやれるようになるよ
下手すっと、魂にまでキケンがおよぶからね
死んだら終わりじゃないって経験は、ほんっとぉ~にキツかったよ
ああいう、臭い奴らに、魂魄が塵と消えるまでの間
未来永劫に縛られて、使役され続けるなんて冗談じゃないからね
そういうギリギリの極限を、何度も経験しているからね
自分の身は自分で護れるし、ああいう奴らを排除いる方法も学んだよ
和輝の説明って、いっけん大雑把に感じるかもしれないけど
的確に、要所要所は押さえているから、なんの心配もないよ」
竜也の言葉に、竜姫も賛同する。
「そうそう本当にね、思い込みが激しい、神への信仰心なんかよりも
自分の命と生活がかかってやっている方が、どうしたって強くなるって」
2人の言い分をそこそこ聞いてやった和輝は、軽く手を叩いてやめさせる。
「はいはい、そこでやめような、2人とも
俺達が、過去にどんなものすごぉ~い生活していたんだって
桜と紅夜に突っ込まれるからさ
おれは、あんなハードな生活を思い出したくないんだ
もう、2度と御免だぞ」
和輝の言葉に、ハッとした竜也と竜姫は、肩を竦める。
「そうだね、ボク達の苦労は、ボク達にしか理解らないよね
それに、解決する為に、一番苦労したのは、和輝だから………
というコトで、紅夜君、大丈夫だからね」
「紅夜君のお兄さんは、ちゃんと、和輝が正気に戻すから大丈夫
アタシ達は、そのサポートをしっかりすればイイだけなんだから
落ち着いてやろうね」
竜姫が紅夜の肩をポンポンと叩いてそう言うのを見ながら、竜也は建設的なコトを言う。
「まっ…それは、ひとまず横に置いておいて………
取り敢えずは…君も衣装を着てみてくれないかな?
動きに支障は無いと思うけど……藤夜さんが、飲むのを嫌がったり
暴れたりするのを、力尽くで抑え込む必要があった場合を想定して
出切るだけ動きやすい状態にしておく必要があるからね
それに、爺やさんとかが、準備が整ったって、呼びに来た時に
すぐに、その場所に行ける格好になっていた方がイイから
着替えてくれないかな」
やんわりとした口調で、そういう竜也に、紅夜もひとつ溜め息を吐いて頷く。
「ああ、わかった……すぐに、用意された衣装に着替えるよ
和輝、今の大雑把な進行予定、爺やに連絡して良いか?
一応、向こうでも、準備できる分はしておきたいからよぉ」
紅夜の言葉に、頷いて言う。
「ああ、そう最初から言っただろ、一応、映像もあるからな
紅夜も見て確認したら、爺やさんにデーターを送れよ
言葉での説明も確かに必要だろうが、見ると聞くじゃ雲泥の差だからな
百聞は一見に如かずっていうだろ」
そう紅夜に和輝が話しかければ、紅夜への説明は終わったと判断し、各々が再び衣装やアクセサリーへと意識が向いていた。
そこで、 悪戯心が湧きあがった和輝は、先刻ちょろっと考えたコトを、紅夜にコソッと小さな声で囁くように言う。
『紅夜、お前、早く帰って来すぎだぞ
どうせ、桜の元にすぐに戻りたい一心だったんだろうけど
それに、いちいち細かく指示するのが面倒くさいからって
白夜さんや、蒼夜さんて人を、転移なんかで呼び出して
向こうでの儀式の準備を押し付けてきたんだろぉ~………
お前、マジで早く帰って来すぎなんだよ
きちんと、爺やさん達に指示してきたなら、もっと時間かかるって
そこも考えた方が良いぞ
まっ…幸いなコトに、俺は…いや、超常現象に慣れている俺達は
白夜そん達が帰って来ていたとしても、誰も気にしないけどな
ああいう、一応まだ人間の範疇の狂信者集団でさえ出来るんだし
ただ、儀式には、鏡の通信の魔法で参加してくれた方が都合イイけどな
身内の気配が多すぎると、藤夜さんの気が散るだろうしな
何人、そういう手段で帰って来ているのかは知らないけれど
儀式の場を乱さないようにとだけは、言っておいてくれな
俺達は、そういうのそういう意味じゃ気にしないからさ
なんてな……まっ…爺やさんへの連絡は小まめにしておけよ
ついでに、儀式の映像もちゃんと向こうに送っておけよ』
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