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第6章 浄化の儀式

331★かるぅ~く儀式の練習としきますか

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 桜の話しに顔を見合わせて頷いた竜姫と乙姫に、和輝は溜め息混じりに言う。

 「取り敢えず、藤夜さんの儀式が終わったら、みんなで週明けに行くか?
  それなりの金額が入るだろうから、色々ともらえると思うぞ

  ってコトで、銀行でもらえるキャラクターグッズの話しは後回しな
  取り敢えず、衣装に付けるアクセサリーが決まったか?

  決まったんなら、軽く浄化の儀式から再生の儀式までの手順を通すぞ
  なに、簡単だから、一回ひと通りやれば充分だから………」

 その和輝の掛け声で、一応は着替え終わっている優奈と真奈に、桜を加えた、儀式の内容を知らない者に説明する。

 勿論、中学で友人となった輝虎や、帰国してから知り合った乙姫も、儀式のコトは知らなかったりする。

 ゆえに、儀式を知らない者達は、真剣な表情で和輝の話しを聞いていた。

 そして、ひと通りの儀式の手順の説明をした和輝は、ほとんど、幼稚園のお遊戯会の練習でもするような口調で言う。

 「んじゃ~…かるぅ~く流そうかぁ~………深く考えなくて良いからなぁ
  竜也と竜姫がサポートしてくれるから、大丈夫だぞ
  そんじゃ、やってみっか…………」

 そう言って、和輝の言葉に従い、桜達は楽しそうに儀式ゴッコを始めるのだった。
 どうしてもしなければならない、決まり事は、すべて、和輝と竜也が請負い、その補助に竜姫がまわるので、本当に、簡単な儀式の練習は終わった。

 「ん~…大丈夫じゃねぇ~かな………さぁ~て、桜・優奈・真奈
  まだ、アクセサリー選び終わってないんだろ
  ひと通りの練習は終わったから、時間まで選んでいてイイぞ」

 和輝の言葉に、ちょっと緊張していた3人は、きゃっきゃっと楽しそうに笑い、再びアクセサリーに戯れ始めるのだった。

 ちなみに、和輝達の知らないコトだが、ひと通りの儀式の練習が終わったその頃に、やっと重い腰を上げた蒼夜が、白夜と共に、鏡の通信魔法の為に動き始めていたのだった。

 更に言うならば、2人が鏡の配置場所を決める為に、儀式をすると決まった場所で指示を始めた頃、紅夜はゲストハウスに戻ったのだった。

 そう、紅夜は儀式のひと通りの流れに参加できなかったのである。

 いや、儀式を簡略化して幼稚園のお遊戯会レベルに落として、ビデオの早回しのような通しだったセイもあって、紅夜がゲストハウスに到着した頃には、再びアクセサリーや衣装でキャッキャウフフを始めていたのだ。

 紅夜は、ゲストハウスに到着し、玄関から入って部屋のドアを開けて思わず立ち止まる。

 そう、目の前の光景に、なんとも言えない眩暈めまいを感じたのだ。

 桜を筆頭に、女性陣は巫女装束のようなモノに着替え、様々なアクセサリーを身に着けて、姿見用の鏡の前で、クルクルと入れ替われ立ち代わりをしていたのだ。

 和輝から手渡された民芸品の胸飾りと相性の良いアクセサリーを探しているので、何度も付け替えては、姿見用の鏡の前に立っているのだ。

 そんな様子を見て、紅夜はちょっとなごんでしまう。

 あぁ~…桜も女の子だよなぁ~…めっちゃ嬉しそうにしているぜ
 そういえば、同じ年頃の女の子達とは交友無かったもんなぁ………

 年の近い者や年下の子との交友は、楽しいんだろうな
 姉上達はみぃ~んな忙しいから…年に数回がやっとだしなぁ

 じゃなくって……こんな中に居たのか和輝達…マジで同情するぜ
 いや、なによりも輝虎に、特に同情するわ

 思わず開いたドアの前で立ち止まって、そんなコトを考えていた紅夜の気配を感じた桜は、嬉しそうに振り向き、駆け寄って行くのを、和輝は黙って見ていた。

 クッククク………桜ってば、まぁ~…嬉しそうだことぉ~………
 まぁ~そうだよなぁ~…予定外の繰り上げ帰国だもんな

 俺が、昼休みを利用して、ペットハウスに戻って来た時には
 紅夜が帰国できるのは、早くて来週半ば過ぎって話しだったからなぁ

 いや、マジで、随分とふて腐れていたもんな、紅夜が帰って来ない
 白夜さんも帰って来ない、長兄の蒼夜さんも帰って来ないって………

 それが、こんなに早く自分の元へと戻って来てくれたんだ、嬉しいだろう
 でも、紅夜のヤツ、こっちに戻って来るの、早すぎなんじゃねぇ~か?

 もしかして、桜の元に戻りたい一心で、本来は紅夜がやるべきコトを
 ぜぇ~んぶ爺やさん達に押し付けて、こっちに帰って来たんだったりして

 いや、もしかしたら、転移の魔法陣…または、それに類したモンがあって
 使用人や爺やさんに、的確な指示ができる者を無理やり呼んだとか………

 そう、例えば、当主の白夜さんとか、長兄の蒼夜さんとかいう人を
 桜の希望はなぁ~んでも叶えてやりたい紅夜なら、やりかねない

 そして、そんな弟と妹をこよなく愛する白夜さんとか蒼夜さんが
 呼び出しに応じて、こっそりと一時帰国してたりしてぇ………

 でもって、本邸側の全部を仕切るとか……うわぁ~すげぇ~ありそうだ
 いや、でも、流石に白夜さんとか蒼夜さんが、こっそりと帰国している

 つーのは、俺の考え過ぎかなぁ?……でも可能性は捨てきれないよな
 なんせ、一応は、まだ人間の範疇にいるはずの、あの狂信者集団ですら

 容易に、転移なんてモンができるんだから……ありかもなぁ………
 まっ…今は、そんなコトどうでもイイかな

 それで、俺達に危害がおよぶコトはないんだから………
 帰国して居るなら居るで、いざという時に使えるしな

 などと、少し腹黒いコトを考えていたりする和輝だったりする。











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