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第6章 浄化の儀式

327★儀式の場所は決まりました

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 うっ……和輝達について行けば良かった……俺、するコトない

 楽しそうに布やらアクセサリーに戯れる女性陣と竜也の姿に、手持無沙汰となった輝虎は周囲を見回し、構ってもらえなくて残念という風情で、おとなしく伏せている3頭を見つける。

 そうだ…こいつらを綺麗にしてやろう
 俺が、今できるコトなんて、それぐらいだしな

 輝虎は、一縷の救いを求めて、儀式に参加させる3頭のボルゾイのブラッシングを一心不乱にするのだった。

 特に、激痩せしている〈カオス〉には、身体の血液循環が良くなるようにと、丹念なマッサージまでしていたのは言うまでもない。

 そして、場所を決める為に出て行った和輝や紅夜、布に戯れる優奈と真奈と桜に放置され、つまらなぁ~いと思っていた3頭が、輝虎のブラッシングを喜んだのは確かな事実だった。

 その頃、そんな輝虎の哀愁を知らない紅夜と和輝は、庭を歩きながら会話をしていた。

 「なぁ~…和輝ぃ~…竜也のヤツ…真っ当なモン作れるのかぁ?」

 『俺、ビラビラの得体の知れない衣装はイヤだぞ』と言外に言う紅夜に、和輝はシレッという。

 「ああ、ソコは大丈夫だぞ、決まり切ったデザインのモノなら
  あいつは、正確無比で作り上げるからな

  まして、和服なんだからさ………そんなに心配すんなよ
  それよりも、どの辺で儀式をやりたいんだ?

  紅夜達が隠したい場所は、使うつもりは無いからさ、安心しろよ」

 和輝からのさりげない気遣いの入った言葉に、紅夜は少しだけ苦笑いする。

 「はははは………わかるかぁ~……」

 言い訳するのもなんだと思い、紅夜はストレートにそう言って肩を竦める。
 そんな紅夜に、和輝も似たような苦笑いを浮かべて答える。

 「どこの家だって、隠したい場所やモノってのはあるもんだ、気にすんな
  ………んで、どの辺が良いんだ?本音で言えよ

  鏡の通信の魔法が使いやすい場所ってあるんだろう?
  おれは、蓬莱邸の庭なら、何処でも良いと思っている

  下手な神社よりも、よっぽど清浄な状態を保っているからな
  後は、儀式を盛り上げてくれるような雰囲気かな?」

 気にしないで、そう言う和輝を、紅夜は一番鏡の通信の魔法が適した場所へと案内する。

 「俺が良いと思っている場所は、この辺りなんだ……ここは………」

 紅夜の説明を聞きながら、和輝は周辺を観察する。

 へぇ~イイじゃん…まさしく浄化と再生の儀式を行うのに最適な場所だな
 ちょっと鬱蒼とした感じの木立に、白々とした月明り…うん、良いな

 それに、水の透明度が高い……地下から湧き水している泉?
 湧き水の波紋が水底から立ち昇ってくるのが見えるしオーケーじゃん

 「ふ~ん良いんじゃねぇ~の……周辺にある木立のお陰で、儀式の光や
  声とかが漏れるコトもねぇ~だろうし、広さも充分にあるしな

  なんつっても、湧き水している泉?があるのが最高だな

  もし、予定よりもアルコールの炎が上がったりしたら
  ここに藤夜さんを、即座に浸け込むっていう手も使えるからな

  オーケー…ここで決まりだな…他を探す必要ねぇ~わ」

 和輝の言葉に、紅夜はホッとしたように言う。

 「そっか…んじゃ、ここで決定で良いんだな
  俺は、爺や達に儀式の場所が決まったって言って来る

  鏡の設置は、俺にはわからないから、爺やに決まったコト言ったら
  俺もすぐに、ゲストハウスに戻るわ」

 紅夜がそわそわしながらそう言うと、和輝も衣装や手順の都合があるので、あっさりと答える。

 「そっか、んじゃ、俺の方は、このまま真っ直ぐゲストハウスに戻るわ
  大鏡を設置し終わったら呼んでくれるように、爺やさんに言ってくれ

  俺は、ゲストハウスに戻って、ちょっと儀式の練習するからさ
  …………んじゃ、そういうコトで………」

 次の行動が決まった2人は頷き合い、紅夜はその場から爺や達の待つ本邸に、和輝はさっさとゲストハウスに向かった。











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