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第6章 浄化の儀式

325★通信という意味では、スマホも魔法も相性があるようだ

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 和輝が酒の匂いを確認している姿を見て、何時、どういう風に、和輝達に兄達一族の者達が、鏡の通信の魔法で、藤夜の為の浄化と再生の儀式に参加したいって言おうかと悩んでいた紅夜は、悩むコトを放棄する。

 きっと、和輝達なら大丈夫なはず

 そう思った紅夜は、そのままズバリを口にする。

 「あっそうだ……白夜兄上に、藤夜兄上を正気に戻す為の儀式するって
  連絡したらさぁ……兄上達や姉上達がさぁ…鏡を使った通信の魔法で

  藤夜兄上の為の浄化と再生の儀式に、参加したいって言ったんだ
  参加してもイイよな?」

 かなぁ~り説明的な単語を抜いた紅夜の言葉に、和輝は首を傾げながら確認する。

 「兄上達に姉上達ねぇ…いや、鏡の通信の魔法?…って、どんな奴だぁ?
  もしかして、ファンタジー小説なんかに定番で出てくるようなモンか?

  水盤に清い水を張った水鏡のようなモノかな?
  それの鏡バージョンって解釈で良いのか?」

 和輝からの質問に、なんて答えてイイかわからない紅夜の言葉に、曖昧に頷く。

 流石に、ちょっとやそっとのコトじゃ動じない和輝だよなぁ~……
 いやぁ~ホッとするぜ

 突然、俺が、兄上達や姉上達が、鏡の通信の魔法を使って藤夜兄上の
 再生の儀式に参加したいって話しをしても、全然驚かないんだもんなぁ

 いやぁ~本当に良かったぁ~……いや、マジでさ
 けど、和輝は鏡の通信の魔法を、そういう風に解釈するのかぁ

 まぁ~…俺には、鏡の通信の魔法の具体的な説明なんて出来ないし
 だって、まだ習得してないから、俺にはなんとも言えないんだよなぁ

 「うぅ~…まぁ~…そんなモンかなぁ?
  とにかく、大鏡を使って、遠距離通信ができるヤツなんだ
  映像だけじゃなくて、普通に会話とかも可能で………」

 説明に困り、口ごもる紅夜に、竜也が口をはさむ。

 「身内が、紅夜さんと桜ちゃんしか参加してなかったって
  後々ごねられたら迷惑だからね

  大鏡の通信での儀式への参加……いいんじゃないかな
  たぶんに、水鏡と似たような構造だろうしね

  う~ん…そうだねぇ~……電話などの通信手段の為に、そこかしこに
  張り巡らせた電線や、地中に埋め込まれた無数のケーブルの代わりに
 
  通信したいという思念が空間を繋ぐモノって考えられるね
  等身大の鏡に、会話可能な立体映像が出るモノって考えてイイのかな?

  ふむ……それだと、ひと昔前のテレビ電話か、パソコンにマイク内蔵の
  ウェブカメラが付いたモノみたいな感じかな?紅夜さん?」

 竜也の言葉に、どうやって説明しようと思い悩んでいた紅夜は、嬉しそうにコクコク頷く。

 和輝にしても、この竜也にしても、詳しい説明が必要ないってのは助かる

 「ああ……そうだ、そんな感じかな?大画面でのテレビ電話みたいな
  俺は鏡の通信魔法ってやつ、習得してないから使えないけど

  兄上達や姉上達は、使えるんだ

  なんか、初心者の頃は、穢れていない宝石の媒体が必要だって言ってた
  慣れれば、それ宝石も必要なくなるって聞いたコトはある

  ただ、今は、そういうモンが必要のない時代になったろう
  俺達には、携帯やスマホって便利道具あるし………

  電波が通る場所なら、何処にいても、大概のところは通信できるし
  だから、必要性を感じないから、お前達には出来ないかもなって……

  そう言われたコトあるんだよなぁ………
  まっ…実際、スマホを使ってるから、習得する意味ないしな」

 紅夜の言葉に、桜も頷く。

 「うん、桜も白夜兄ぃ様に、そう言われましたわ
  今更、面倒な修行をしなくてもスマホがあるから充分だと
  それに、向き不向きもあるから、無理して習得する必要はないと」

 紅夜と桜を見て、その性格を考え、竜也はクスッと笑う。

 「確かに、ファンタジー小説に出てくる、水鏡と同系列のモノだろうね
  鏡の通信の魔法とかいうモノは、今の時代にそぐわないかもね

  これだけ携帯電話やスマホが蔓延っていると、使える意味が無いからね
  誰だって、簡単便利な方を選ぶしね」

 竜也の言葉に、肩を竦めて和輝は首を振る。

 「まっ…確かにそうだろうな
  たぶん、見た目は大型のテレビ電話と変わらないモノだろう

  それが大鏡になるだけだから、さほど違和感を感じるコトもないだろう
  別に、儀式に師匠が出るコトもなさそうだし、それは構わないぜ

  かえって、その方が、藤夜さんの感覚を刺激しなくてイイかもな
  それに、俺も白夜さんとは、スマホだけでしか喋ったコトないからな

  挨拶できるんなら、しておきたいしな」

 良かった…和輝達が、鏡の通信の魔法に対して、納得してくれて……
 本当に、大概のことは気にもしないから…マジ、助かる

 和輝の言葉に、紅夜は頷きながら言う。


 「藤夜兄上にする浄化と再生の儀式の場所が決まり次第、通信できる
  大きな鏡を、参加できる兄弟姉妹分を設置するからさ

  取り敢えず、場所とか進行の予定とかを教えてくれよ
  それで、爺や達に鏡の設置場所を考えて指示出すから………

  場合によっては、儀式の場所とか移動してもらうコトになるかもだし
  ほら、携帯やスマホでも通信の良い場所と悪い場所ってあるじゃん

  どうしても通信がダメな場所っていうのもあるからさ
  あれと一緒で、鏡の通信の魔法も場所に左右されるからさ

  まぁ~…ウチの敷地内なら、だいたいは大丈夫だと思うけど…一応な」










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