299 / 446
第6章 浄化の儀式
298★桜は何時も通りマイペース
しおりを挟む思い悩む桜を他所に、輝虎はソッと気絶させられた藤夜を寝かせ、着乱れた着物を整えて上掛けを被せていた。
「取り敢えず、ここに寝かせておけば大丈夫ですわ
見たところ、藤夜兄ぃ様に怪我はなさそうですし………
とにかく、和輝の指示した通り、爺やに連絡しなければなりませんわ
本邸で白夜兄ぃ様からの連絡待ちしているはずですから………
藤夜兄ぃ様が座敷牢から抜け出たコトに気付いていなければ
待機部屋にいる筈ですから、呼び出せば来るはずですし………
それに、桜もお腹が空きましたわ………和輝も紅夜もでしょう
リビングで、竜也と輝虎が作ったお料理を食べましょう」
車庫から直帰して、リビングで〈レイ〉と〈サラ〉と〈カオス〉に戯れている優奈と真奈に、ミニフィギュアなどのオマケを入れたエコバックを手渡した和輝は、桜の部屋の隣りの白夜の部屋だと言われたドアに開いているコトに気付き、ソッと入って来たのだ。
白夜の部屋に入って、ベッドに寝かされた藤夜の様子を確認していたところに、桜が振り返って言ったので、肩を竦めて言う。
「ああそうだな、桜………紅夜の体調も、かなりいまいちそうだしな
俺も腹減ったし…なにより〈カオス〉に何か食わしてやらねぇとな」
と、あっさり同意する和輝は、チラッと輝虎へと視線を投げる。
「うむ…確かに、なんか腹が小腹が空いたな
ああ、デザートもあるぞ」
和輝は輝虎の言葉に頷いて竜也へと視線を向ければ………。
「ああ、僕はこの人の様子をもう少し診てから、そっちに行くよ
先にリビングに行ってくれないかな」
竜也の言葉に、桜はちょっと残念そうに言う。
「わかりましたわ、ではみなさん、リビング行きましょう」
そう言って、竜姫や乙姫に視線を向けて、和輝と紅夜の手を引っ張る。
桜に手を引かれた和輝はちょっと苦笑いしながら言う。
「んじゃ、先にリビング行ってるぞ」
「そうねぇ~お腹空いたものねぇ~……ねぇ…乙姫」
「うん、そうだね、竜姫ちゃん
なんか今日は色々なイベントあったから、甘いモノが食べたいねぇ」
そんなコトを言い合いながら、ゾロゾロと白夜の部屋からリビングへと向かった。
桜の指示で白夜のベッドに寝かされた藤夜を、みんながリビングに移動した後も、竜也はしばらく観察していた。
ふむ…呼吸は眠りに入った証しのように、随分と深くなって来たな
竜姫に殴られた後遺症も無いようだし………ふむふむ
青白い肌に血の気もあるようだから大丈夫かな?
この肌の色合いだとかなり長期間、座敷牢とやらに居たようだね
幸いなコトに、和輝の生き血を啜ったコトによる症状は出ていない
どうやら、気持ち悪くなるというコトもなさそうだね
これなら、この人自身の主治医が来るまで、ここに放置してもイイかな
それにしても、生き血を啜ったのに、この人のオーラは綺麗だねぇ~
刷り込みされていても〔バンパイア〕特有の歪みや邪悪な色も無い
普通の人間よりよほど綺麗で、オーラが金色がかっている
どうして、こんな人達が、あの臭い上に、気配が邪悪で淀んでいる
〔バンパイア〕と間違えられるんだろうかねぇ?
はぁ~ヤダヤダ………だから、やたらと妙な自尊心ばかりが強く
自分は常に正しいっていう思い込みの激しい一神教は嫌いなんだよ
今回も、あいつらに逃げられてしまったからねぇ
また、この朝露街に現れる可能性が残ってしまった
あの狂信者集団、何時か、元から絶ってやりたいね、本当に
綺麗さっぱりと、根絶してやりたいよ
さてと、僕もリビングに行こう
和輝が帰って来た時に、直ぐに食べられるように用意したんだから
美味しい夜食を温めなおして出してあげないとね
どうやら、紅夜さんもだいぶお腹空いていたようだし………
衝撃によるショックで悪くなった気分も、少しは治っただろうし
竜也は藤夜の容態に納得し、リビングへと向かう。
一方、リビングで和輝が桜やおとなしく待っていた優奈と真奈に絡まれていたりする。
「おいおい………わかったから………せっかく竜也が用意してくれた
料理を温めなおすから………」
という声に、リビングに戻った竜也はくすっと笑って言う。
「和輝、僕が作った料理だから、僕が温めるよ
それより、ソファーに丸まっている〈カオス〉と
気分が悪くなったらしい彼をみてやったら?」
言いながら、料理を手早く温めなおし始める。
10
お気に入りに追加
371
あなたにおすすめの小説
〈完結〉続々・50女がママチャリで北海道を回ってきた・道南やめてオロロン逆襲のちにスポークが折れてじたばたした話。
江戸川ばた散歩
エッセイ・ノンフィクション
北海道を7月にママチャリで回ること三年目。
今回はそれまでのマルキンのママチャリでなく、ブリヂストン様のアルベルトロイヤルで荷物をしっかりしたバッグに入れて積んでみました。
するとどんなことが起こったか!
旅行中に書いたそのまんまの手記です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
白鬼
藤田 秋
キャラ文芸
ホームレスになった少女、千真(ちさな)が野宿場所に選んだのは、とある寂れた神社。しかし、夜の神社には既に危険な先客が居座っていた。化け物に襲われた千真の前に現れたのは、神職の衣装を身に纏った白き鬼だった――。
普通の人間、普通じゃない人間、半分妖怪、生粋の妖怪、神様はみんなお友達?
田舎町の端っこで繰り広げられる、巫女さんと神主さんの(頭の)ユルいグダグダな魑魅魍魎ライフ、開幕!
草食系どころか最早キャベツ野郎×鈍感なアホの子。
少年は正体を隠し、少女を守る。そして、少女は当然のように正体に気付かない。
二人の主人公が織り成す、王道を走りたかったけど横道に逸れるなんちゃってあやかし奇譚。
コメディとシリアスの温度差にご注意を。
他サイト様でも掲載中です。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎ 〜Romance in Abū Dhabī〜 【Alphapolis Edition】
佐倉 蘭
キャラ文芸
都内の大手不動産会社に勤める、三浦 真珠子(まみこ)27歳。
ある日、突然の辞令によって、アブダビの新都市建設に関わるタワービル建設のプロジェクトメンバーに抜擢される。
それに伴って、海外事業本部・アブダビ新都市建設事業室に異動となり、海外赴任することになるのだが……
——って……アブダビって、どこ⁉︎
※作中にアラビア語が出てきますが、作者はアラビア語に不案内ですので雰囲気だけお楽しみ下さい。また、文字が反転しているかもしれませんのでお含みおき下さい。
おしごとおおごとゴロのこと
皐月 翠珠
キャラ文芸
家族を養うため、そして憧れの存在に会うために田舎から上京してきた一匹のクマのぬいぐるみ。
奉公先は華やかな世界に生きる都会のぬいぐるみの家。
夢や希望をみんなに届ける存在の現実、知る覚悟はありますか?
原案:皐月翠珠 てぃる
作:皐月翠珠
イラスト:てぃる
~後宮のやり直し巫女~私が本当の巫女ですが、無実の罪で処刑されたので後宮で人生をやり直すことにしました
深水えいな
キャラ文芸
無実の罪で巫女の座を奪われ処刑された明琳。死の淵で、このままだと国が乱れると謎の美青年・天翼に言われ人生をやり直すことに。しかし巫女としてのやり直しはまたしてもうまくいかず、次の人生では女官として後宮入りすることに。そこで待っていたのは怪事件の数々で――。
太夫→傾国の娼妓からの、やり手爺→今世は悪妃の称号ご拝命〜数打ち妃は悪女の巣窟(後宮)を謳歌する
嵐華子
キャラ文芸
ただ1人だけを溺愛する皇帝の4人の妻の1人となった少女は密かに怒っていた。
初夜で皇帝に首を切らせ(→ん?)、女官と言う名の破落戸からは金を巻き上げ回収し、過去の人生で磨いた芸と伝手と度胸をもって後宮に新風を、世に悪妃の名を轟かす。
太夫(NO花魁)、傾国の娼妓からのやり手爺を2度の人生で経験しつつ、3度目は後宮の数打ち妃。
「これ、いかに?」
と首を捻りつつも、今日も今日とて寂れた宮で芸を磨きつつ金儲けを考えつつ、悪女達と渡り合う少女のお話。
※1話1,600文字くらいの、さくさく読めるお話です。
※下スクロールでささっと読めるよう基本的に句読点改行しています。
※勢いで作ったせいか設定がまだゆるゆるしています。
※他サイトに掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる