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第6章 浄化の儀式
298★桜は何時も通りマイペース
しおりを挟む思い悩む桜を他所に、輝虎はソッと気絶させられた藤夜を寝かせ、着乱れた着物を整えて上掛けを被せていた。
「取り敢えず、ここに寝かせておけば大丈夫ですわ
見たところ、藤夜兄ぃ様に怪我はなさそうですし………
とにかく、和輝の指示した通り、爺やに連絡しなければなりませんわ
本邸で白夜兄ぃ様からの連絡待ちしているはずですから………
藤夜兄ぃ様が座敷牢から抜け出たコトに気付いていなければ
待機部屋にいる筈ですから、呼び出せば来るはずですし………
それに、桜もお腹が空きましたわ………和輝も紅夜もでしょう
リビングで、竜也と輝虎が作ったお料理を食べましょう」
車庫から直帰して、リビングで〈レイ〉と〈サラ〉と〈カオス〉に戯れている優奈と真奈に、ミニフィギュアなどのオマケを入れたエコバックを手渡した和輝は、桜の部屋の隣りの白夜の部屋だと言われたドアに開いているコトに気付き、ソッと入って来たのだ。
白夜の部屋に入って、ベッドに寝かされた藤夜の様子を確認していたところに、桜が振り返って言ったので、肩を竦めて言う。
「ああそうだな、桜………紅夜の体調も、かなりいまいちそうだしな
俺も腹減ったし…なにより〈カオス〉に何か食わしてやらねぇとな」
と、あっさり同意する和輝は、チラッと輝虎へと視線を投げる。
「うむ…確かに、なんか腹が小腹が空いたな
ああ、デザートもあるぞ」
和輝は輝虎の言葉に頷いて竜也へと視線を向ければ………。
「ああ、僕はこの人の様子をもう少し診てから、そっちに行くよ
先にリビングに行ってくれないかな」
竜也の言葉に、桜はちょっと残念そうに言う。
「わかりましたわ、ではみなさん、リビング行きましょう」
そう言って、竜姫や乙姫に視線を向けて、和輝と紅夜の手を引っ張る。
桜に手を引かれた和輝はちょっと苦笑いしながら言う。
「んじゃ、先にリビング行ってるぞ」
「そうねぇ~お腹空いたものねぇ~……ねぇ…乙姫」
「うん、そうだね、竜姫ちゃん
なんか今日は色々なイベントあったから、甘いモノが食べたいねぇ」
そんなコトを言い合いながら、ゾロゾロと白夜の部屋からリビングへと向かった。
桜の指示で白夜のベッドに寝かされた藤夜を、みんながリビングに移動した後も、竜也はしばらく観察していた。
ふむ…呼吸は眠りに入った証しのように、随分と深くなって来たな
竜姫に殴られた後遺症も無いようだし………ふむふむ
青白い肌に血の気もあるようだから大丈夫かな?
この肌の色合いだとかなり長期間、座敷牢とやらに居たようだね
幸いなコトに、和輝の生き血を啜ったコトによる症状は出ていない
どうやら、気持ち悪くなるというコトもなさそうだね
これなら、この人自身の主治医が来るまで、ここに放置してもイイかな
それにしても、生き血を啜ったのに、この人のオーラは綺麗だねぇ~
刷り込みされていても〔バンパイア〕特有の歪みや邪悪な色も無い
普通の人間よりよほど綺麗で、オーラが金色がかっている
どうして、こんな人達が、あの臭い上に、気配が邪悪で淀んでいる
〔バンパイア〕と間違えられるんだろうかねぇ?
はぁ~ヤダヤダ………だから、やたらと妙な自尊心ばかりが強く
自分は常に正しいっていう思い込みの激しい一神教は嫌いなんだよ
今回も、あいつらに逃げられてしまったからねぇ
また、この朝露街に現れる可能性が残ってしまった
あの狂信者集団、何時か、元から絶ってやりたいね、本当に
綺麗さっぱりと、根絶してやりたいよ
さてと、僕もリビングに行こう
和輝が帰って来た時に、直ぐに食べられるように用意したんだから
美味しい夜食を温めなおして出してあげないとね
どうやら、紅夜さんもだいぶお腹空いていたようだし………
衝撃によるショックで悪くなった気分も、少しは治っただろうし
竜也は藤夜の容態に納得し、リビングへと向かう。
一方、リビングで和輝が桜やおとなしく待っていた優奈と真奈に絡まれていたりする。
「おいおい………わかったから………せっかく竜也が用意してくれた
料理を温めなおすから………」
という声に、リビングに戻った竜也はくすっと笑って言う。
「和輝、僕が作った料理だから、僕が温めるよ
それより、ソファーに丸まっている〈カオス〉と
気分が悪くなったらしい彼をみてやったら?」
言いながら、料理を手早く温めなおし始める。
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