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第5章 一難去っても、また一難

284★紅夜の様子もおかしいです

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 『うん、わかったわ和輝
  〈カオス〉の飼い主である蒼夜兄ぃ様に、すぐに連絡するわ
  ところで、和輝は今どこにいるの?』

  桜の質問に、和輝はあっさりと答える。

 「えっ何処って、成田空港の駐車場に停めた車ン中だけど
  とりあえず、飼い主と連絡が付いたら、桜の代わりに手続きして
  〈カオス〉をそっちに連れて帰るよ」

 和輝の言葉に、桜は素直に頷く。

 『うん、蒼夜兄ぃ様に連絡するから、ちょっと待っていてね
  直ぐに、どういうコトか聞いてみるから………』

 そう言う和輝に、ペロリッとプレートに盛られたモノを食べ終わった〈カオス〉は、まだもうひとつプリンが残っているコトを知っているので、和輝の手首に自分の手首を引っ掛けるようにして、引きながら甘えたように鼻を鳴らす。

 「ぴぃ~すぴぃ~す」

 和輝はそんな〈カオス〉の頭を撫でて言う。

 「この電話が終わったら、残したプリンだしてやるから
  ちょっとだけまっていろな

  つーことで、早急に確認してくれよ………っと、そうそう
  今、プリンとスフレケーキと水はやったけど………

  だいぶ腹減ってるようだから…〈カオス〉用のご飯を作ってくれって」
  竜也に頼んでおいてくれるか?

  俺が送った今の〈カオス〉の画像………痩せこけた姿を見せれば
  竜也なら、何が今必要かわかるからさ

  とにかく〈カオス〉の隊長を考慮したのを頼むって言っといてくれよ」

 『うん、そうするわ』

 「んじゃ、よろしく」

 そう言ってスマホの電話を切った和輝は、まず〈カオス〉の要望通りに、もうひとつのプリンをプレートに盛る。
 残っているのはプリンだけだったので、今回はプリンひとつである。

 〈カオス〉専用プレートにプリンを盛って、スッと〈カオス〉に差し出した和輝は、それまで黙っていた紅夜を振り返り聞く。

 「ところで、紅夜
  なんで、今の時間帯に、成田空港に居たんだ?

  桜から、紅夜が次に帰国するのは、来週の水曜日か木曜日辺りだって
  聞いていたんだけど、俺は」

 和輝のもっともな質問に、それまでおとなしくしていた紅夜が、ガバッといきなり抱きつく。

 うげっ…またかよ………っつーか、もしかしてなんかあったか?
 ホント、こうなると、でっけぇ~子供だらなぁ~…はぁ~…困った

 とりあえず、紅夜の機嫌を宥めねぇ~と、全然話しにならねぇ~
 まずは、そこからだな、これは………はぁ~めんどい

 和輝は、紅夜にギュウギュウに抱きつかれて、げんなりしながらも、何時ものおふざけと様子が違うコトを感じ取った。
 だから、しょうがないと思いながら、和輝は紅夜の荒れているらしい精神を安心させる為に、その身体をギュッと抱きしめてやってから、その背中を軽く撫でてやる。

 一方、和輝に抱き付いて、その身体から発散する豊かな《生気》に包まれた紅夜は、何ともいえない安堵感に、ほぉ~としていた。

 はぁ~あ………桜が、和輝に抱きつくの理解(わか)るなぁ~………
 ホント、和輝の身体から発散される《生気》は気持ちイイもんなぁ~

 その心地良さに、紅夜は和輝の首筋に顔を埋めて、スリスリする。
 そう、ちょっと前の〈カオス〉と変わらないコトをする紅夜に、和輝は溜め息を吐くのだった。



 






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