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第5章 一難去っても、また一難
282★もしかして、更に追加で一難ですか?
しおりを挟むう~ん~?………ああそうか、はた迷惑な有名人が向かっているのは
もしかして、俺が向かっている駐車場と同じ区域なのかぁ~…迷惑な
ふむ………仕方が無い、ここは〈カオス〉を1度腕の中から降ろして
何処かで五月蠅い集団をやり過ごすしかないか?
和輝はそう考えて、通路の端どころか壁に沿って歩き、他の通路へと曲がる角で〈カオス〉をソッと床に降ろした。
そこに、後ろから知っている声が、気安く声を掛けて来る。
「よぉ~和輝、イイところであったぜ、これから、家に帰るんだろう?
だったら俺も乗せてってくれよ、早く桜に会いたいんだ
予定が詰まっているから、直ぐには帰れないって言ったらよぉ
思いっきり拗ねられちまったんでよぉ~………
それと、お前が連れてる、そのボルゾイなんだけどぉ~……
なんか〈カオス〉と同じ柄に見えるんだけどぉ~さぁー
もうちょっと顔を見せてくれよ………っ………
和輝、なんで、こんなに〈カオス〉が痩せているんだ?
まぁ…いいや…俺は、こいつと家に帰るから、あんた等はも帰れよ
付いて来られても困るんだよ」
と、自分に付き纏うキャーキャー騒いでいる、トウのたったお嬢さん方に向かって言っていた。
そんな紅夜を見て、和輝は無意識に肩を竦めて思う。
あははは………後ろの五月蠅い集団の原因って、紅夜だったのか
………って、あれ? なんで今、紅夜が成田に居るんだ?
帰国するのは、来週だったはずだろう、どうして?
それと、このボルゾイ、やっぱり間違いなく〈カオス〉みたいだな
見慣れているはずの紅夜が言うだから、とりあえず紅夜に手渡すか?
紅夜の声がする方に振り向き、和輝は〈カオス〉を抱き上げなおして言う。
「紅夜、なんでここに居るんだ?
………ってぇ~のは、ひとまずおいておいてだな
このボルゾイって、やっぱり〈カオス〉なのか?
突然、俺に擦り寄ってきたんだよ
桜からもらった、スマホの中にある写真で姿を確認した限りじゃ
柄が一緒だったんで、そうじゃないかと思ったんだけどな
なんで、こいつが、ここに居たかは知らないんだよな
とりあえず、受け取って紅夜の目で確認してくれよ
歩きながらでも、確認は出来るだろう、駐車場へさっさと行こうぜ
〈カオス〉の為に、空港内にある店でプリンとかを買ってやったから
食べさせてやろうと思ってな
どうやったら、こんなに痩せさせられるんだか………」
和輝から痩せこけたボルゾイを受け取った紅夜は、自分に纏わり付いていたトウのたったお嬢さん方を無視して、早速〈カオス〉であるかを確認する。
いや、あまりに変わり果てた姿だっただけに………ちょっと確信が持てなかったのだ。
〈カオス〉の模様や仕草や懐き方から、自分の知っている〈カオス〉であると、断定して頷く。
「ああ………間違い無い、蒼夜兄ぃの〈カオス〉だ」
紅夜の言葉に、和輝はホッとする。
やっぱり、あの〈カオス〉なのか………いや、写真しか見てないけどな
ダイエット………って言葉が必要なくらいのコロコロしたボルゾイが
なんで、こんなにガリガリになっちまってんだか………
紅夜に張り付いていた騒音の元(野次馬やファン)を一切無視して、和輝はスタスタと駐車場に停めてある車に向かう。
勿論、紅夜もさっさと桜の待つ我が家に帰りたいので、全部無視していた。
一応、一言は断ったので、それ以上はしらんという感じで、けして振り返ったはしなかった。
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