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第5章 一難去っても、また一難
277★ガリガリのボルゾイと遭遇したけど………
しおりを挟む和輝の質問に、竜姫の父親はちょっと悲しそな口調で言う。
「ふふふふ……僕のお土産に、竜姫は何時も文句しか言わないんだ
だから、生活費に余分に小遣いを入れたんだよぉ~………
僕には、竜姫が理解できないんだよぉ~」
そんな竜姫の父親に、和輝は素直に謝る。
「すみません、余分なコト言って………
それと、タクシー代もどきは、ありがたくいただきます」
そういうちょっと微妙ながらも、無難な会話をしながら、和輝は抜け道を通って、予定時間に充分間に合うように成田空港に、あっさりと着いたのだった。
よし、予定通り………より、早く着けたな
「ありがとう、和輝くん」
「いいえ、それより時間の方は、大丈夫ですか?」
そんな他愛ないやり取りをしながら、和輝は駐車場へと滑り込ませ、空いている場所に停める。
竜姫の父親は、腕時計で時間を確認して頷く。
「うん、大丈夫だよ………余裕余裕………」
そうイイながら、まずお気に入りのカメラセットを首にかけ、カバンに予備のカメラと非常食が入っているコトを確認して背負う。
そして、詰められるだけ詰めた携帯非常食が入った手提げのカバンを手にした竜姫の父親に、和輝はクスッと笑って言う。
「おじさん、空港ン中までは運んでやるよ」
「いや、悪いねぇ~………」
そう言いながら、竜姫の父親は和輝に手提げカバンを手渡した。
「今、治安があまり良くないようだから、気をつけて下さいね」
「う~ん大丈夫だよぉ~…何時もの案内人が付いてくれるから
今回はねぇ~…もしかしたら、子供の写真撮れるかもなんだぁ
産まれて間もなさそうなのが3匹見かけたっていう話しだし」
と、嬉々として語る竜姫の父親に、和輝はちょっと苦笑いする。
ほんと、おじさんってば好きだよなぁ~………
いや、俺も大好きだけどさ……ユキヒョウの子供かぁ~………
俺も直にナマで見て見たいなぁ~………夢だけどさ
そんな会話をしながら、和輝は竜姫の父親と空港内へと向かった。
そして、2人で空港内に入り、和輝は見送りの挨拶をして、竜姫の父親に手提げカバンを手渡し、搭乗手続きに向かう後ろ姿をに、ちょっとホッとして肩を竦める。
「まっ………不死身の異名を持つおじさんだからなぁ
どんな危険区域に行っても、五体満足で戻って来る男だし
そんなキケンな目に合うコトは無いだろうけど………
流石に、ああいうの(狂信者集団)が出た後だと
ちょっと心配になるよな」
搭乗手続きの受け付け場所へと向かう背中を見送った和輝は、さっさと桜の待つ蓬莱邸に戻ろうと、車を置いた駐車場へときびすを返した。
そして、少し前に竜姫の父親と共に歩いた広い航空内を通り抜けて、駐車場に向かう和輝は、痩せこけて肋骨や腰骨が浮きまくった、もろに骨と皮というような貧相な犬に擦り寄られた。
「…ふんふん……くぅぅぅ~ん……くぉぉ~ん…すりすり………」
どう考えても、大きな洋犬が放れて、独りで歩いているのはおかしい場所で思いっきり懐かれた和輝は、それでもかなりズレたコトを考えていた。
えっとぉ~…コレ…骨が浮きまくっているけど、ボルゾイ…だよな
あれ……桜の話しじゃ…ボルゾイの匂いをさせていると
大概の犬に嫌われるって言ってたのに………
俺に懐いて来たのって、同じボルゾイの匂いだからかぁ?
いや、まてまて、なぁ~んか引っかかるんだけど………
この白黒茶のまだらなボルゾイ………ガリッガリだけどぉ~
こう、なぁ~んか、妙に記憶に引っかかるんだよなぁ~………
白黒茶のまだら模様のボルゾイ
どっかで聞いたか? 見たかしたボルゾイなのかなぁ? う~ん?
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