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第5章 一難去っても、また一難
276★おじさんから、お土産をもらいました
しおりを挟む「うん、大丈夫、予定したモンは全部入っているから………
勿論、いざという時の非常食もね
いっくら便数と流通が増えて、携帯食の種類が豊富になっても
俺が飛び回る地域では、こういう簡単便利で栄養バランスのイイ
非常食は、なかなか手に入らないからね
味が良くて、栄養バランスのイイ携帯食を確実に購入して
携帯するならば、こっちから持って行くしかないんだ」
それを聞きながら、和輝は車を発進させ、今回の予定地を聞く。
「それで、今回は、どこにいくんですか?」
和輝の質問に、何時もと同じ、少しあやふやな言動で答える。
「チベット…というか…ヒマラヤ…っていうか………
まぁ……その辺りでね………ユキヒョウが居る辺りにね
何時ものように、写真が取れたら送るね」
動物好きの和輝は、その言葉に、嬉しそうにお礼を言う。
「ありがとうございます」
そんな和輝の態度に、竜姫の父親は、しみじみと言う。
「はぁ~あ………残念だよなぁ~……竜姫は和輝君と違って
僕が撮る野生動物の写真になんて、興味が全然無いんだもん
竜姫は、身体を鍛える意味で通わせた空手にはまっちゃって
空手バカ一直線だからねぇ………寂しいよ
………ってぇ~のは、まあおいておいて、今月の生活費だって
竜姫にコレを渡してくれないかな………
はぁ~……本音を言うなら、1人暮らしなんて止めて欲しいよ
何時、竜姫がストーカーする男達にぶち切れちゃって
傷害事件を起こすんじゃないかって、心配するのはちょっとね
なまじ、竜姫は空手の才能あって強いから………」
黄昏る竜姫の父親に、和輝はクスッと笑って、竜姫が一緒に住むコトになったコトを教える。
「ああ、それだったら、大丈夫ですよ、ウチに下宿させますから
竜姫達が入れてくれる家賃は、貴重な現金収入ですから………
それに、最近、小学校周辺に変質者が出没しているようなので
俺の方も竜姫が住み込んでくれるのは、助かるんですよ」
和輝は、話しの内容から、竜姫の父親が、8年前の狂信者集団が再び現われたコトを知らないと推測して、そう言う。
これはぁ~…おじさん、全然狂信者集団が現われたコト知らないな
ホント、こういう世間の事情には疎いんだから………
まっ………ある意味では幸いかな?
おじさんて、別の意味で凄く心配性だからなぁ………
あんなモノが現われたコトなんて、知らない方が幸せだろう
そんな和輝の内心を知らない竜姫の父親は、のほほんとした口調で言う。
「そぉーなんだぁ……いや…それなら…ホント、助かるよ
ああ、これで、安心して今回の写真撮影に打ち込めるよぉ~
あっコレは、和輝くんと優奈ちゃんと真奈ちゃんへのお土産
あと、これは今日のタクシー代ね
和輝くんの労働費だから、受け取ってね
帰国したら、成田から家に帰る時も、頼みたいからさ」
竜姫の父親の言葉に、和輝は首を傾げて聞く。
「それで、おじさんの帰国予定日は?」
和輝の言葉に、苦笑いして、またもや曖昧な返事を返す。
「う~ん………実は、わからないんだぁよねぇ~………
だって、ユキヒョウを見つけて、イイ写真が撮れなかったら
僕は帰れないからさぁ………
だから、写真が撮れたら連絡するねぇ~………」
その答えに、和輝はやっぱりと思いながら頷く。
「はぁ~…わかりました…それと、お土産ありがとうございます
後で、優奈や真奈にも電話させます…ぅん?…あれ、竜姫には?」
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