272 / 446
第5章 一難去っても、また一難
271★どうして、みんな桜の瞳のコトを気にしないのでしょう?
しおりを挟む真奈と優奈が〈サラ〉と〈レイ〉のお世話に向かったのを確認した和輝は、ソファーに座ってボォーっとしている桜に、試飲の為に口を開けたスポーツ飲料を差し出して言う。
「落ち着いたか、桜?
これな、俺達が水分補給用に選ぶ時に試飲したヤツ
冷やしておいたから、とりあえず飲んでみてくれ
スポーツ飲料も、相性ってモンがあるからな
こっちの5本は、1箱(6本)づつ買って来た
でもって、こっちの5本はとりあえず保留ってコトで
購入を見合わせたヤツだ
ご飯の準備が整うまでに、試飲しておいてくれないか
それで、どれが桜の口にあったか、後で教えてくれ
相性の良いモノを少し余分に買い置きして置きたいからな
いざって時ようのストックは大事だからな
んじゃ、俺はご飯作りに戻るな」
そう言って、和輝は冷蔵庫から口を開けたスポーツ飲料10本と、冷水を出して、桜の前に置いて、ご飯作りへと戻った。
桜は和輝に頷き、目の前に置かれたスポーツ飲料の内容と味を、1本1本確認しながら、小首を傾げていた。
和輝の妹達、真奈ちゃんと優奈ちゃん、それに友人達全員
桜の瞳の色が紅くなったのに、何も言わなかった
ただ、和輝の説明に納得しただけ………あっ…これ美味しいわ
でも、桜は弱虫だから、どうして?って聞けない…怖いから
それに、下手に聞くと、別の意味でやぶ蛇になりそうだから
聞く勇気が出ないわ
後で、和輝だけになった時に、聞くしか無いわね
でも《生気》の塊である《光珠》や結晶体のコトを
和輝と、その幼馴染みが知っていたのはラッキーだったわ
桜が《光珠》の結晶体を飲んでも、誰も不審に思わなかったもの
あの竜也という少年は、身体が弱かったから、幼少期に和輝から
《光珠》をもらって飲んでいたっていう話しだし………
いったい、それは何時の頃の話しなのかしら?
すごく興味深いのよねぇ~………
和輝は、ほんの子供の頃から、普通の人間からかけ離れていたのね
きっと、あの竜也や竜姫という少女も、桜の子供時代よりも
かなり過酷な状態にいたのは確かね
だから、桜のコトを変だと思わないのかもしれない
問題は、あっちの水鳥と啓太と呼ばれた2人よね
和輝の学校での友達だって話しだけど………
桜の変化に、あんまり反応して無かったのよね、何故なのかしら?
スポーツ飲料をコクッと飲み、眉を顰めて首を傾げる桜に気付き、そういう気配に敏感な水鳥が振り返って聞く。
「どうしたの? ソレ、もしかしなくても美味しくなかった?
それとも、僕達に何か聞きたいコトあるのかな?」
結構鋭い観察眼を持つ水鳥に、そう聞かれた桜は、本人が自覚している以上にボォーっとしていたので、何気なく聞いてしまう。
「うん………なんで、桜の瞳が紅くなったのに、和輝の周りの人は
誰も気にしないのかなって………コレ(紅くなる瞳)のセイで
あんなのが襲ってきたりするのに………」
桜の素朴な質問に、クスッと水鳥は笑って言う。
「それはね、僕の目の色も変わるからだよぉ
まっ、僕は和輝達みたいに簡単に変化するコトはないけどね
僕の名前の由来って、御祖母様が生まれたばかりの僕を見てね
それが、綺麗な瞳の色だったからなんだって………
ただ、翠とか緑じゃつまらないから、自由にって意味も込めて
水鳥って付けたって、聞いたんだ
ちょっとヒネタところのある御祖母様だったけどね
優しい人だったよ」
10
お気に入りに追加
370
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
あやかし民宿『うらおもて』 ~怪奇現象おもてなし~
木川のん気
キャラ文芸
第8回キャラ文芸大賞応募中です。
ブックマーク・投票をよろしくお願いします!
【あらすじ】
大学生・みちるの周りでは頻繁に物がなくなる。
心配した彼氏・凛介によって紹介されたのは、凛介のバイト先である『うらおもて』という小さな民宿だった。気は進まないながらも相談に向かうと、店の女主人はみちるにこう言った。
「それは〝あやかし〟の仕業だよ」
怪奇現象を鎮めるためにおもてなしをしてもらったみちるは、その対価として店でアルバイトをすることになる。けれど店に訪れる客はごく稀に……というにはいささか多すぎる頻度で怪奇現象を引き起こすのだった――?
毒小町、宮中にめぐり逢ふ
鈴木しぐれ
キャラ文芸
🌸完結しました🌸生まれつき体に毒を持つ、藤原氏の娘、菫子(すみこ)。毒に詳しいという理由で、宮中に出仕することとなり、帝の命を狙う毒の特定と、その首謀者を突き止めよ、と命じられる。
生まれつき毒が効かない体質の橘(たちばなの)俊元(としもと)と共に解決に挑む。
しかし、その調査の最中にも毒を巡る事件が次々と起こる。それは菫子自身の秘密にも関係していて、ある真実を知ることに……。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
後宮の裏絵師〜しんねりの美術師〜
逢汲彼方
キャラ文芸
【女絵師×理系官吏が、後宮に隠された謎を解く!】
姫棋(キキ)は、小さな頃から絵師になることを夢みてきた。彼女は絵さえ描けるなら、たとえ後宮だろうと地獄だろうとどこへだって行くし、友人も恋人もいらないと、ずっとそう思って生きてきた。
だが人生とは、まったくもって何が起こるか分からないものである。
夏后国の後宮へ来たことで、姫棋の運命は百八十度変わってしまったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる